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3週間の練習参加から持ち帰った悔しさ、課題…大津MF碇明日麻主将は残りの高校生活で進化を続け、「『碇は凄いな』と見せつけて」水戸へ

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大津高の水戸内定MF碇明日麻主将(3年=FCK MARRY GOLD AMAKUSA U15)が右足シュート

[9.3 高円宮杯プレミアリーグWEST第12節 静岡学園高 0-2 大津高 エスプラットフジスパーク]

 進化して、結果を残して、水戸へ戻る。大津高(熊本)の水戸内定MF碇明日麻主将(3年=FCK MARRY GOLD AMAKUSA U15出身)は、プレミアリーグWEST首位の静岡学園高戦で先発フル出場。1-0の後半42分、左クロスを頭で競ってダメ押し点を演出した。

 この日は「この夏休み、水戸に練習参加した時もヘディングの部分は通用したというのがある」と語る長所のヘディングで幾度も競り勝ち、ボールの収まりどころにもなっていた。多少難しく映るようなボールをピタリと止め、会場の人々を唸らせていたほか、肩でのボールコントロールも。余裕のあるキープ、ドリブルからシュート、スルーパスへ持ち込んでいた。

 一人でシュート3本を放ったが、相手のU-18日本代表GK中村圭佑主将(3年)の好守にあったほか、クロスへの跳躍タイミングが合わないシーンもあって無得点。現在プレミアリーグWEST得点ランキング首位の14得点から上乗せすることはできなかった。

 それでも、「(得点ランキング2位タイだった静岡学園FW)神田が出ていなくて、ちょっと点差をつけたいのはあったんですけれども。力が入りすぎたかなというのはあるんですけれども、最後自分が競って追加点を取れたのは良かった」。主将はチームが勝てたこと、その勝利に貢献できたことを喜んでいた。

 碇はファインゴールを決めながらも敗れたインターハイ初戦(対市立船橋高、7月30日)の翌日、チームを離れて内定先の水戸へ。3週間に渡り、練習参加してきた。特別指定され、Jリーグデビューを目指したが、ベンチに入ることは叶わなかった。その悔しさを大津でのトレーニング、そしてプレミアリーグ再開初戦の東福岡高戦(8月26日)とこの日の静岡学園戦にぶつけたという。

「プレッシャーとか、自分の力の無さに気づいて、東福岡戦や今日の静学戦までトレーニングをやって、自分の身体も動けたので、高校生とプロの違いを練習から出せたと思います」。だが、自身に求める基準はまだまだ高い。

 水戸では柏との練習試合に出場。万能型MFはボランチとして出場し、展開力や攻撃参加を発揮することはできたという。だが、前に出て奪い切る力が不足していることなどを痛感した。一方、チームに長期帯同したことで、ピッチ外での過ごし方や練習前の調整の仕方、プロの選手たちが普段どのようなドリンクを選んでいるのかなどを学ぶことができたようだ。公式戦に出られなかった悔しさだけでなく、先輩のピッチ内外から課題や基準を持ち帰れたことは大きい。

 碇は187cmの高さとスピード、技術力、決定力、CBからFWまで務める万能性を備えた今年の高体連を代表するタレント。「自分の力を過信しすぎて突然J1に行って試合に出れなくて成長しないというところも絶対にあると。(GMの)西村さんの話を聞いて、若手の年代をしっかりと育ててくれる水戸ホーリーホックで自分としても成長して、この水戸でスタメンに定着して、しっかりとステップアップして行きたいと思って決めました」という理由や、多くのJ1選手を輩出し、ハノーファー(ドイツ)と育成業務提携を結んでいることにも魅力を感じて水戸から上を目指すことを決めた。

 高校1年時から全国舞台を経験するなど、育ててもらった大津での活動も残りわずか。「自分の特長は後期もずっと出しつつ、自分の改善するところは伸ばして、もっともっと相手にとって怖い選手、点が取れる選手になっていけたらなと思っています」。そして目に見える活躍をして、プロのステージに挑戦する。

「水戸の選手・スタッフ・サポーターの方々は結果というところが目に一番見えるものなので、結果をしっかり残して、『碇は凄いな』というところを見せつけて、(リーグ戦)後期しっかり積み上げて行って、選手権で優勝して水戸にいきたい」。大津の山城朋大監督は「(水戸から戻ってきて)できることが多くなった」と碇について評価。注目の大器が進化を続け、どの高校生よりも多くの白星を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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