市立船橋8強へ…星稜は4失点敗戦も大地震から繋がった“サッカーの輪”に感謝「いろんな応援があったから」
[1.2 選手権3回戦 市立船橋4-1星稜 柏の葉]
第102回全国高校サッカー選手権の3回戦が2日に行われ、県立柏の葉公園総合競技場の第1試合では市立船橋高(千葉)が星稜高(石川)を4-1で下した。4日に同地で行う準々決勝では、名古屋高(愛知)と対戦する。
前日1月1日に石川県能登地方を震源とする最大震度7の大地震が発生。そのために星稜応援団の現地からの到着が困難となった。しかし試合前から多くの支援の輪が広がった。対戦校の市立船橋がメガホンなどの貸し出しを行ったほか、SNSで繋がった日大藤沢高(神奈川)ら複数校の選手たちが、星稜のチームカラーである黄色のビニールをかぶって、応援席からイレブンに声援を送っていた。
河合伸幸監督は「ピッチに立てること、この場に立てることに感謝しましょう」と話して、選手らを送り出したという。「帰ってみたら色んな感情が出るんだと思うけど、サッカーをやりに来ている目的があるので、なかなか切り替えられない子もいるかもしれないけど、切り替えよう、サッカーに集中しようと臨みました」。
試合は市立船橋が先制する展開になった。前半18分、MF森駿人(3年)が中央でキープしたボールを左に流すと、DF内川遼(3年)がゴール前に入れる。相手に当たって跳ね返るが、今度は内川がそのまま左足アウトサイドでシュートを狙うと、ボールはゴール右隅に吸い込まれていった。
しかし星稜もすぐに同点に追いつく。前半29分、カウンターからエリア内にボールを運ぶと、左サイドのMF天川達心(3年)が入れたクロスに走り込んだMF山口晴(2年)が合わせて同点弾が決まった。
ただ1-1の同点となったゲームだが、市船が前半のうちに勝ち越しに成功する。36分、右サイドで獲得したCKをMF太田隼剛(3年)が蹴ると、ボール前に入ったMF岡部タリクカナイ颯斗(2年)の頭にピタリ。同点弾を浴びた場面では相手に前に入られて失点に絡んでしまっていた岡部が、ミスを取り返す形になった。
1点リードで折り返した後半も市立船橋のペースで試合は進む。後半4分の場面など、星稜の波状攻撃を受けることはあったが、落ち着いてかわすと、同27分、森の左クロスからMF足立陽(3年)が右足強烈シュートを突き刺して勝負を決めると、終了間際には腰痛の影響を考慮されて途中出場となっていたFW郡司璃来(3年/清水内定)がダメ押しとなる得点を豪快に決めて試合を終わらせた。
この日、プレス控室には「試合以外のことを聞くのはお控えください」という張り紙がされていた。仕方がないことで、試合後の取材で地震の話題が出ないことはなかったが、強豪相手に真っ向勝負を挑めたことで、多くの選手の表情が清々しかったのが印象的だった。また河合監督も「(市船対策は)いろいろ考えましたけど、悩んだ結果、いろんな方々も来ているし、小細工なしで行こうということになった」と明かすと、「いろんな応援があったから、うちらしいことは出来たのかなと思います」と優しい表情を浮かべていた。
(取材・文 児玉幸洋)
●第102回全国高校サッカー選手権特集
第102回全国高校サッカー選手権の3回戦が2日に行われ、県立柏の葉公園総合競技場の第1試合では市立船橋高(千葉)が星稜高(石川)を4-1で下した。4日に同地で行う準々決勝では、名古屋高(愛知)と対戦する。
前日1月1日に石川県能登地方を震源とする最大震度7の大地震が発生。そのために星稜応援団の現地からの到着が困難となった。しかし試合前から多くの支援の輪が広がった。対戦校の市立船橋がメガホンなどの貸し出しを行ったほか、SNSで繋がった日大藤沢高(神奈川)ら複数校の選手たちが、星稜のチームカラーである黄色のビニールをかぶって、応援席からイレブンに声援を送っていた。
河合伸幸監督は「ピッチに立てること、この場に立てることに感謝しましょう」と話して、選手らを送り出したという。「帰ってみたら色んな感情が出るんだと思うけど、サッカーをやりに来ている目的があるので、なかなか切り替えられない子もいるかもしれないけど、切り替えよう、サッカーに集中しようと臨みました」。
試合は市立船橋が先制する展開になった。前半18分、MF森駿人(3年)が中央でキープしたボールを左に流すと、DF内川遼(3年)がゴール前に入れる。相手に当たって跳ね返るが、今度は内川がそのまま左足アウトサイドでシュートを狙うと、ボールはゴール右隅に吸い込まれていった。
しかし星稜もすぐに同点に追いつく。前半29分、カウンターからエリア内にボールを運ぶと、左サイドのMF天川達心(3年)が入れたクロスに走り込んだMF山口晴(2年)が合わせて同点弾が決まった。
ただ1-1の同点となったゲームだが、市船が前半のうちに勝ち越しに成功する。36分、右サイドで獲得したCKをMF太田隼剛(3年)が蹴ると、ボール前に入ったMF岡部タリクカナイ颯斗(2年)の頭にピタリ。同点弾を浴びた場面では相手に前に入られて失点に絡んでしまっていた岡部が、ミスを取り返す形になった。
1点リードで折り返した後半も市立船橋のペースで試合は進む。後半4分の場面など、星稜の波状攻撃を受けることはあったが、落ち着いてかわすと、同27分、森の左クロスからMF足立陽(3年)が右足強烈シュートを突き刺して勝負を決めると、終了間際には腰痛の影響を考慮されて途中出場となっていたFW郡司璃来(3年/清水内定)がダメ押しとなる得点を豪快に決めて試合を終わらせた。
この日、プレス控室には「試合以外のことを聞くのはお控えください」という張り紙がされていた。仕方がないことで、試合後の取材で地震の話題が出ないことはなかったが、強豪相手に真っ向勝負を挑めたことで、多くの選手の表情が清々しかったのが印象的だった。また河合監督も「(市船対策は)いろいろ考えましたけど、悩んだ結果、いろんな方々も来ているし、小細工なしで行こうということになった」と明かすと、「いろんな応援があったから、うちらしいことは出来たのかなと思います」と優しい表情を浮かべていた。
(取材・文 児玉幸洋)
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