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[MOM4605]佐賀東MF西川葵翔(3年)_待ちに待った全国の舞台で決勝点「県立の土の練習をなめんなよと」

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今大会初先発で決勝点を決めた佐賀東MF西川葵翔(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 選手権3回戦 佐賀東 5-1 富山一 駒沢]

 スタメンは今朝、伝えられた。佐賀東高(佐賀)はここまで2試合出場機会のなかったMF西川葵翔(3年)が今大会初出場初先発。これまでの4-4-2から4-1-4-1にシステムも変更し、166cmの小柄なドリブラーがインサイドハーフの位置に入った。

「全国の舞台は夢だった。それが叶ってうれしい」。1年生だった2年前の大会もMF宮川昇太(3年)、MF江口恭平(3年)らとともにベンチ入りしていた西川だが、そのときも出場機会はなく、最高学年となった今大会もこれまでの2試合は出番がなかった。

 それでも待望の初先発のチャンスにピッチを躍動。所狭しと攻守に駆け回り、ボールを持てば果敢な仕掛けでチャンスをつくった。1-1の同点に追いついた直後の前半30分にはFW宮崎空夢(3年)のスルーパスに抜け出した西川が相手GKの動きをよく見て逆を突いた。

「キーパーがどっちに動くかを見て、最後まで遊び心を持って冷静に逆に蹴れて良かった」。落ち着き払った勝ち越しゴールで2-1と逆転。「自分のゴールでいけると確信を持ったし、3点目でいけるなと思った」。最後は足がつって後半14分に交代したが、終わってみれば5-1の快勝で西川のひと振りが決勝ゴールになった。

「今までベスト8の壁を越えれてなかった。自分たちの代で越えたかったのでうれしい」。佐賀東にとって初の準々決勝進出。新たな歴史を作るとともに、佐賀県の山口祥義知事との“約束”である人工芝のグラウンドも後輩たちにプレゼントすることができそうだ。

「今までなかなか結果を残せなくて、後輩たちにも迷惑をかけてきた。最後の大会で人工芝を残せたというのは大きい」。普段は土のグラウンドで練習している公立校。西川は「私立は人工芝の学校も多いと思うけど、県立でやっている土の練習をなめんなよと。土と芝では走りの質が違う。体力や走る力はより伸びたと思う」と力説した。デコボコのグラウンドで磨いてきたドリブル、パスサッカーを全国の舞台で存分に発揮する佐賀東。国立を懸けた準々決勝で佐賀県勢の歴史も塗り替えるつもりだ。

(取材・文 西山紘平)

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西山紘平
Text by 西山紘平

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