[MOM4607]昌平GK佐々木智太郎(2年)_元日の45分間PK猛特訓が結実「自信しかなかった」憧れは”生まれる前”の90年代レジェンドGK
[1.2 選手権3回戦 昌平 2-2(PK5-4) 大津 浦和駒場]
PKを止めずに勝ち進んだ2日前の複雑な思いも、自らのミスが失点につながった試合中の悔しさも、昌平高の守護神はすべてを糧に2試合連続のPK戦に挑んでいった。「止められる自信しかなかったので、全然来いと」。GK佐々木智太郎(2年=FC LAVIDA)は相手3人目のキックを見事にセーブし、2019年・20年度の最高成績に並ぶベスト8入りの立役者となった。
昨年12月31日の2回戦・米子北高戦でもPK戦を戦った佐々木だったが、勝利は相手のシュートミス2本に助けられた形。それでも中1日の“再戦”に気負いはなかった。
「今日は調子が良かったし、来てるなという感じがあった」。1本目、2本目は読みを合わせながらも止められなかったが、3本目で完璧なシュートストップを披露。「相手の目線を見て、あとは自分を信じて、思い切り飛んだ方向にボールが来た」。これが勝利を手繰り寄せるビッグセーブとなった。
みなぎる自信には確固たる理由があった。米子北戦から一夜明けた元日のトレーニングで、佐々木はGK入江希星(1年)と猛特訓を実施。シュートストップに特化した1時間の練習メニューをこなす中、「米子北戦で1本も止められなかったので、課題をなんとか修正しようと」いう狙いで、そのうち45分間をPK練習に割いていた。キックにテンポを合わせる間合いも、シュートスピードに負けないセーブも、その猛特訓に支えられていた。
また試合中に喫した失点の悔しさも刺激になっていた。前半37分、昌平はクロスから大津に先制ゴールを献上したが、これは佐々木がMF碇明日麻(3年)に競り負けたことがきっかけ。「1失点目は完全に自分のせいで失点したので、試合中からどうにかして借りを返したいと思っていた」。この失点以降、エリア内のハイボールは全て完璧に処理。試合中に修正できるメンタリティーも含め、2年生で強豪校のゴールマウスを任される資質を表現してみせた。
今季は高円宮杯プレミアリーグEASTで出場機会を重ねて自信を深め、「シュートストップだったら高校年代では負ける気はしない」という手応えも得た佐々木。また東日本の強力なストライカーとの対戦だけでなく、世界のGKからも日々学んでいるようだ。
参考にしている選手を聞くと「結構古いんですけど、ピーター・シュマイケルです」と思わぬ回答。主に1990年代にマンチェスター・Uとデンマーク代表の守護神を担った現在60歳のレジェンドGKは、2007年生まれの佐々木が誕生する4年前に現役を引退したが、時代を越えて「自分とプレースタイルが似ているので、手足を使ったセービングを参考にしている」とYoutubeで動画をチェックしているのだという。
そんな独特のセンスを持つ守護神にとって、次の準々決勝は特別な試合となる。取材対応は対戦相手の決定前に行われたが、今季対戦した中で最も印象に残ったストライカーは青森山田高のFW米谷壮史と回答。その米谷は直後、3回戦の広島国際学院高戦で3ゴール1アシストの大活躍を見せ、チームを昌平との準々決勝に導いている。
「あの選手はシュートも強いし、ヘディングも強いので警戒している」と公言するストライカーとの注目対決へ。佐々木は「山田さんを倒さないと日本一にはなれない。自分を信じてやっていきたい」というプレミアリーグ王者へのライバル意識も胸に、決戦に挑んでいく構えだ。
(取材・文 竹内達也)
●第102回全国高校サッカー選手権特集
PKを止めずに勝ち進んだ2日前の複雑な思いも、自らのミスが失点につながった試合中の悔しさも、昌平高の守護神はすべてを糧に2試合連続のPK戦に挑んでいった。「止められる自信しかなかったので、全然来いと」。GK佐々木智太郎(2年=FC LAVIDA)は相手3人目のキックを見事にセーブし、2019年・20年度の最高成績に並ぶベスト8入りの立役者となった。
昨年12月31日の2回戦・米子北高戦でもPK戦を戦った佐々木だったが、勝利は相手のシュートミス2本に助けられた形。それでも中1日の“再戦”に気負いはなかった。
「今日は調子が良かったし、来てるなという感じがあった」。1本目、2本目は読みを合わせながらも止められなかったが、3本目で完璧なシュートストップを披露。「相手の目線を見て、あとは自分を信じて、思い切り飛んだ方向にボールが来た」。これが勝利を手繰り寄せるビッグセーブとなった。
みなぎる自信には確固たる理由があった。米子北戦から一夜明けた元日のトレーニングで、佐々木はGK入江希星(1年)と猛特訓を実施。シュートストップに特化した1時間の練習メニューをこなす中、「米子北戦で1本も止められなかったので、課題をなんとか修正しようと」いう狙いで、そのうち45分間をPK練習に割いていた。キックにテンポを合わせる間合いも、シュートスピードに負けないセーブも、その猛特訓に支えられていた。
また試合中に喫した失点の悔しさも刺激になっていた。前半37分、昌平はクロスから大津に先制ゴールを献上したが、これは佐々木がMF碇明日麻(3年)に競り負けたことがきっかけ。「1失点目は完全に自分のせいで失点したので、試合中からどうにかして借りを返したいと思っていた」。この失点以降、エリア内のハイボールは全て完璧に処理。試合中に修正できるメンタリティーも含め、2年生で強豪校のゴールマウスを任される資質を表現してみせた。
今季は高円宮杯プレミアリーグEASTで出場機会を重ねて自信を深め、「シュートストップだったら高校年代では負ける気はしない」という手応えも得た佐々木。また東日本の強力なストライカーとの対戦だけでなく、世界のGKからも日々学んでいるようだ。
参考にしている選手を聞くと「結構古いんですけど、ピーター・シュマイケルです」と思わぬ回答。主に1990年代にマンチェスター・Uとデンマーク代表の守護神を担った現在60歳のレジェンドGKは、2007年生まれの佐々木が誕生する4年前に現役を引退したが、時代を越えて「自分とプレースタイルが似ているので、手足を使ったセービングを参考にしている」とYoutubeで動画をチェックしているのだという。
そんな独特のセンスを持つ守護神にとって、次の準々決勝は特別な試合となる。取材対応は対戦相手の決定前に行われたが、今季対戦した中で最も印象に残ったストライカーは青森山田高のFW米谷壮史と回答。その米谷は直後、3回戦の広島国際学院高戦で3ゴール1アシストの大活躍を見せ、チームを昌平との準々決勝に導いている。
「あの選手はシュートも強いし、ヘディングも強いので警戒している」と公言するストライカーとの注目対決へ。佐々木は「山田さんを倒さないと日本一にはなれない。自分を信じてやっていきたい」というプレミアリーグ王者へのライバル意識も胸に、決戦に挑んでいく構えだ。
(取材・文 竹内達也)
●第102回全国高校サッカー選手権特集