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超絶ミドル弾&土壇場ルーレットで埼スタ沸かせていた昌平MF西嶋大翔、先発昇格で先制点演出「悔いの残らないように」卒業後は美容師の夢へ

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昌平高MF西嶋大翔

[1.2 選手権3回戦 昌平 2-2(PK5-4) 大津 浦和駒場]

 今大会3試合目で初の先発起用となった昌平高MF西嶋大翔(3年=FC LAVIDA)が確かな輝きを放った。

 前半からトップ下のポジションでボールを引き出すと、エースFW小田晄平(3年)への縦パスで次々とチャンスを創出。0-1で迎えた前半アディショナルタイム1分にはわずかなスペースを突いてMF前田大樹(3年)に縦パスを刺し、見事な中央打開から小田の同点ゴールを演出した。

「綺麗な形で崩せて昌平らしさが出せたかなと思います」(西嶋)。最後は勝ち越された直後の後半31分に途中交代となり、「自分の得意なドリブルを見せたかったし、得点も取りたかった」とやり残したこともあったが、後を託したMF長璃喜(1年)のゴールを「璃喜は何かやってくれると信じていたので良かった」と喜んだ。

 今季は主にサイドを主戦場としてきた西嶋はスーパーサブで今大会をスタート。それでも初戦の奈良育英高戦では投入直後にふわりと浮かせたミドルシュートでスーパーゴールを決め、埼玉スタジアム2002を大いに沸かせた。テレビ中継ではクロスボールの可能性も語られていたが、「途中出場で結構点も入っている中、自分も決めたかったし思い切って狙ってみました」と西嶋。完璧な一撃に「あれはバカ気持ちいいっす」と軽やかに振り返った。

 また同じ埼スタで行われた2回戦の米子北高戦では、後半ラストプレーに巧みなルーレットで相手をかわし、劇的同点弾の起点となっていた。「別に何か考えていたわけじゃなく、その時にルーレットが自分から出てきた感じです」という即興の妙技。そうした活躍を経てこの日、先発の座を掴み取り、同校史上最高タイの8強入りに貢献した。

 そんな西嶋だが、第一線でサッカー競技と向き合うのは今大会が最後だという。「サッカーも捨てがたかったけど、美容師になりたいという夢があって思い切って決断しました」。卒業後は美容専門学校に進学し、美容師の夢に向かって新たなスタートを切る。

 現在のヘアスタイルも「特にこだわりはないけど、ちょっと違いを出そうかなというのはありました」と選手権に向けて仕上げてきたものだ。

 サッカー人生の集大成で日本一へ。「最後の大会なのでもう悔いの残らないように最後まで勝ちにこだわってやっていけたらなと。自分の得意なドリブルとか球際で勝って、点も取っていけたらなと思います」。人一倍大きなモチベーションで準々決勝以降に臨んでいくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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