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3年前には想像もできなかった“幸せな結末”…広島国際学院MF渡邊雄太「だから、大満足です」

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広島国際学院高MF渡邊雄太(3年)

[1.2 選手権3回戦 青森山田高 7-0 広島国際学院高 駒場]

 相手は今季のプレミアリーグ王者である青森山田高だった。0-7と大敗を喫した広島国際学院高MF渡邊雄太(3年)は「全然通用しなかったですね。ボコボコにされてスッキリしました」と苦笑。当然悔しさはあったが、その言葉どおりの晴れやかな表情も見せていた。

 前半12分に青森山田に先制点を献上しながらも、その後は追加点を許さずに0-1で前半を折り返した。「試合前には、勝とうとずっと思っていたし、前半で0-1は自分たちとしては良くできていた。県大会でもそういう状況からひっくり返した試合もあるので、後半やってやろうと思っていた」。しかし、後半開始早々の3分に不運なオウンゴールでリードを広げられると、一気に流れを持っていかれた。

「後半から少しずつ自分たちのプレーができるようになったけど、追加点を奪われて、そこから何とか取り返そうと前から行ったら、結果的には1点も取れずに7点も取られて、自分たちはこんなものかと痛感した」。青森山田の実力を肌で感じ、「守備も硬かったし、カウンターがものすごく速くて、自分たちのサッカーが通用せずに打ち砕かれた感じです」と悔しさを滲ませた。

 しかし、チームの新たな歴史を作ったのは間違いない。

 今夏の総体で全国初出場を成し遂げたチームは、選手権予選でも広島県を制して初出場を果たした。総体では1勝も挙げることができずに大会を後にしたが、選手権では開幕戦で早稲田実を2-0で下して全国初勝利。そして2回戦では静岡学園をPK戦の末に退け、3回戦では青森山田と激突と濃い時間を過ごした。「自分たち3年生の役割は、後輩をこういう舞台に連れてくることでもあった。悔しい思いも知れたと思うので、安心して次の代につなげたと思う」。新たな歴史を切り開いてきたチームは解散。新チームへとバトンを託すこととなる。

 3年前に広島国際学院に入学した際、高校サッカーの終わりを、このような形で迎えるとは「まったく思ってもいなかった」という。

「入学したときに『全国大会に行きたい』と言っていましたが、まさか果たせるとは思っていなかった。全国に行けるとは思っていなかったんです。入学したときの自分は。だから、大満足です」

 3年前には予想もできなかった“幸せな結末”。渡邊は「盛りだくさんな3年間でした。この高校生活が送れて幸せだったし、忘れることのない良い思い出になった。3年間頑張ってきて本当に良かったです」と白い歯を見せた。

(取材・文 折戸岳彦)

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ゲキサカ編集部
Text by ゲキサカ編集部

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