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主将が夏に大怪我…重圧の中で穴を埋めた昌平2年生DF坂本航大「来季は自分がチームを引っ張れるように」

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昌平高DF坂本航大(2年)

[1.4 選手権準々決勝 青森山田 4-0 昌平 浦和駒場]

 昌平高は昨年7月末、主将のDF石川穂高(3年)が左膝前十字靭帯断裂の重傷を負い、頼れるDFリーダーを欠いてシーズン終盤戦を戦うことになった。そこで代役に抜擢されたのがDF坂本航大(2年=FC LAVIDA)。高円宮杯プレミアリーグEAST、選手権予選を通じて成長を重ねてきた2年生CBは全国舞台でも定位置を守り抜き、縦パスと粘り強い守備で大きな重責を全うした。

 坂本は今大会、1回戦の奈良育英高戦から4試合連続でフル出場。代わりにゲームキャプテンを担ったDF佐怒賀大門(3年)と共に最終ラインを支え続けた。

「穂高が抜けてから最初は自分がその穴を埋めることだけで精一杯だったけど、穂高のアドバイス、大門の声かけがあってプレミアでも試合を重ねることができて、成長して来られたので今の自分がある」

 石川の負傷を経てトレーニングに臨む覚悟が変わった。「前は一つ上の選手の中に入ると遠慮しがちだったけど、球際とかで日々の練習からバチバチにぶつかり合ってこられた」。主将の穴を埋める責任、先輩の思いを背負う重圧に襲われることもあったが、やるべきことを続けてきた。

 全国舞台では大津高のFW碇明日麻(3年、水戸内定)、青森山田高のFW米谷壮史(3年)といった世代を代表するストライカーとも懸命に渡り合った。時にはパワーで押し負けそうな場面もあったが、先に身体を当てて相手を自由にさせなかったり、セカンドボールにいち早くアプローチしたりと、クレバーな守備対応で失点を最小限に抑えた。

 また攻撃では持ち味のビルドアップでリズムを作り、縦パスで攻撃のスイッチを入れる姿が目立った。青森山田戦の前半18分、FW鄭志錫(2年)に通したクサビのパスはまさに狙いどおりのプレー。「縦パスは自分の武器でもある。選手と目を合わせることを意識しつつ、どこで欲しがっているか、どんなパススピードがいいかを考えて出すようにしている」。全国屈指の強敵相手にもその武器は通用していた。

 最後は青森山田に0-4の完敗に終わり、他の試合も含め、今大会の失点それぞれに反省点は残った。それでもこの貴重な経験を未来に活かしていくことで、先輩たちへの恩返しをしていくつもりだ。「すごいFWとやらせてもらって、すごく貴重な経験を3年生にさせてもらった。また来年、自分がチームを引っ張れるように頑張ります」

 来季は坂本や鄭の他、GK佐々木智太郎(2年)、左SB上原悠都(2年)、MF大谷湊斗(2年)、MF山口豪太(1年)、MF長璃喜(1年)ら多くの主力選手が引き続き中心を担う見込み。また大半が所属したFC LAVIDAの中学時代には、21年の高円宮杯JFA全日本U-15選手権大会で並み居るJクラブユースを退け、準優勝に上り詰めた成功体験もある期待の世代だ。

「自分たちの代は高円宮杯で準優勝できて、技術的にも優れている選手が多いので、プレミア、インターハイ、選手権で当たったら山田を倒したいし、3冠を目指して頑張っていきたい」。目指すは初の日本一ではなく、リーグ戦と夏冬カップ戦の3大タイトル制覇。大きな野望を抱きながらシーズンをスタートさせていく。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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