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「夢の中というか…」準Vにも胸張る近江DF西村想大、超攻撃サッカー支える守備力で優秀選手にも選出

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近江DF西村想大(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.8 選手権決勝 青森山田 3-1 近江 国立]

 近江高(滋賀)の快進撃は決勝でストップした。超攻撃的なサッカーを最終ラインで支え続けたDF西村想大(3年)は「勝ちたかったというのが正直な感想。結果は準優勝だったけど、日本一の仲間、スタッフに囲まれて誇らしい」と胸を張った。

 近江らしさは存分に見せた。「(試合前の)ミーティングで後半勝負と言われていて、ハーフタイムに再確認した。後半、一気にたたみかけることを意識していた」。1点ビハインドで折り返した後半開始からスーパーサブのMF山本諒(2年)を投入し、DF金山耀太(3年)が左ストッパーから左ウイングバックにポジションを上げる。すると後半立ち上がり2分に山本が同点弾。“後半に強い”近江が勢いづいた。

「逆転まで行ける雰囲気はあったけど、相手の守備が固くて、流れを相手に持っていかれた」。“ラスボス”と位置付けていた青森山田(青森)に押し返され、後半15分、一瞬の隙を突かれて相手GKのロングキックから失点。後半25分には前がかりになったところでカウンターで3失点目を喫した。

「ここまで勝ち進んできた相手はどこも強かったけど、(青森山田は)一枚上手だった印象がある」。今夏の全国高校総体(インターハイ)4強の日大藤沢、同じくインターハイ王者の明秀日立、さらには選手権前回大会ベスト4の神村学園と、難敵を次々と打ち破ってきたが、今季の高円宮杯プレミアリーグを制した青森山田の牙城は高かった。

 西村には、もう一つ燃える理由があった。卒業後は京都産業大に進学予定で、青森山田のMF福島健太(3年)とはチームメイトになる。「(福島が)京都産業大に行くのは前から知っていた。今日はマッチアップになったので、負けたくない気持ちが強かった」。そんな福島に先制点を決められたことには「悔しいですね」と率直に言った。

 それでも過去2回の出場はいずれも2回戦敗退だった近江にとって、3回戦以降の戦いはすべてが初体験であり、観る者を魅了するサッカーで大会を大いに盛り上げた事実は変わらない。試合後には大会優秀選手34人が発表され、近江からも西村ら5人が選出された。

「大会が始まる前は想像していなかったし、夢の中というか、現実なのかなって」。そう照れ笑いした西村は、大会優秀選手を中心に選出される日本高校選抜の候補ということにもなる。「一度滋賀に帰って、休憩して、もし選ばれたら近江の代表、全国の代表として頑張りたい」と前を見据えた。

(取材・文 西山紘平)

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西山紘平
Text by 西山紘平

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