beacon

コロナで全中中止、中学最後の大会は鳥栖に屈辱の大敗…青森山田、それでも信じた高校日本一「努力が報われた試合だった」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[1.8 選手権決勝 青森山田3-1近江 国立]

 雪中サッカーに代表される厳しい環境で鍛え上げてきた6年間は、どこにも負けない努力をしてきたと胸を張れる。青森山田の中高一貫教育で鍛えられたきた選手たちは、口々に「努力が報われた試合だった」と達成感を話した。

 今年の3年生の代は、中学生の時からコロナ禍の影響を大きく受けた代だった。中体連の全国大会である全国中学校サッカー大会が中止。大きな目標を失うと、中学3年生の最後の大会だった高円宮杯U-15では、2回戦で優勝したサガン鳥栖U-15に0-5で大敗を喫していた。

 あれから3年が経過。高校での日本一を信じて、厳しい環境で努力を続けてきた選手たちは、高校年代最高峰のプレミアリーグを優勝すると、そのままの勢いで突入した高校選手権でも頂点に立ってみせた。

 この日のスタンドには、当時青森山田中学校で監督をしていた上田大貴さん(現町田アシスタントコーチ)の姿もあった。上田さんは「全中で出来なかった分、優勝してほしいですね」と愛弟子たちの奮闘を見つめていた。

 悲願を達成した選手たちは充実の表情を浮かべる。GK鈴木将永(3年)は「中学の時は自分たちが思っていなかった形で大会がなくなって、どこに向ければいいか分からない悔しさがあった中で、高校で全国でタイトルを取ろうとチームみんなで積み重ねてこれた」と話す。当時も主将だったDF山本虎(3年)も「キャプテンとして優勝できたことを誇りに思います」と頷く。

 MF後藤礼智(3年)は「高校に入っても国体がなくなったりしたけど、そこで折れずに上を目指せたことがよかったのかなと思います」。そしてMF芝田玲(3年)も「鳥栖に0-5で負ける屈辱的な負けを経験した自分たちだったので、その借りを返したい思いはあった。それと山田は勝って当たり前という周りの認識も、自分たちを奮い立たせてくれた。自分たちではかなり日本一に値するという努力を重ねてきたので、その努力が報われたと思っています」と胸を張った。

(取材・文 児玉幸洋)

●第102回全国高校サッカー選手権特集
児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

TOP