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[MOM850]新潟医療福祉大FW田中翔太(3年)_大学日本一に王手かける決勝弾、高校日本一を逃した景色は「忘れていない」

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新潟医療福祉大FW田中翔太(3年)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.25 インカレ準決勝 国士舘大0-1新潟医療福祉大 カンセキ]

 歴史を作るゴールとなった。新潟医療福祉大は全日本大学選手権の準決勝で勝利し、同校初の決勝進出、そして全国大会初優勝に王手をかけた。決勝ゴールを挙げたFW田中翔太(3年=青森山田高)は「なにがなんでも勝ちたい」と頂点を睨みつけた。

 豪快にゴールへと突き刺した。前半12分、右サイドからMFオナイウ情滋(4年=正智深谷高/仙台内定)が精度の高いクロスを上げると、ボールはニアサイドへ。田中は瞬時に落下地点に走り込み、縮めた体からボールめがけて頭を叩きつける。「いつも通りに相手の前に入ってヘディングすることを意識した。全国でもあの形ができてよかった」。ゴール右に突き刺し、価値ある先制点を奪った。

 医福大は追加点を狙いつつも、国士舘大に得点を許さない。田中も攻守で体を張り続けて後半42分までプレー。残り時間は味方に託して、1-0の勝利をピッチ外で見届ける。終了と同時にチームは喜びを爆発させた。

 プロ内定選手も多く擁する中、今大会でチームトップの3ゴールを記録した。味方のクロスやFKに対して、得点パターンはすべてヘディングシュート。ゴールへの意識は常に高く、「結果にこだわってプレーをしている。決めるべき選手が決めないとチームは勝てない」と胸を張る。優勝を懸けた大一番でも「自分のゴールで勝たせられるように、意識して入りたい」と目を光らせた。

 高校時代から名を馳せたストライカーだった。名門・青森山田高の9番を背負い、高校の全国大会で8試合7ゴールという決定力。高校最後の選手権でも3得点を挙げ、アニメ『ドラゴンボール』の『ギニュー特戦隊』ポーズの一員にも加わり、一世を風靡した。だが、その選手権を笑顔で終えることはなかった。決勝で静岡学園高に敗れて準優勝。「あの景色は絶対に忘れていない」。だからこそ、インカレ決勝に懸ける思いは強い。「同じ決勝の舞台。なにがなんでも勝ちたい」と力を込める。

 相手の国士舘大は青森山田時代のひとつ上の先輩、GK飯田雅浩(4年=青森山田高/東京V内定)がゴールを守っていた。田中は先輩のゴールを割ったことに「決められてよかった」と喜びも控えめ。一方、飯田は後輩の成長に目を細めた。「関東の先輩に負けたくないと思ったはず。その中で得点を決め、すごくいい選手になっていた。何段階もレベルアップしていた」。

 来年は最終学年となる。田中は「入学のときからプロを目指してやっている」とその意識も高い。まだJクラブから練習参加などの声掛けはないというが、日々続けてきた研鑽は今大会で多くの成果を生み出した。「まだ全然足りない部分が多い。自分のできないところを改善してやっていきたい」。Jクラブへのさらなるアピールは必須。プロの舞台に上がるためにも、まずは自らの手で悲願の優勝を掴み取るつもりだ。

(取材・文 石川祐介)
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