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[MOM923]広島大MF中村蒼(3年)_急成長ボランチが夏の王者を沈めるハットトリック

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.7 インカレ1回戦 富士大1-4広島大 浦安]

 広島大(中国)が攻撃的ボランチによるハットトリックで夏の王者を沈めた。

 開始5分にFW瀬口廉太郎(1年=名東高)のゴールで1点を先行した広大は、前半25分、流れるようなパスワークからエリア内でMF中村蒼(3年=帝京長岡高)が縦に抜けると、右足アウトサイドで蹴り込んで追加点を決める。さらに1点を返されて迎えた同40分にも、中村はMF香取潤(2年=広島ユース)のパスで前を向くと、今度は左足でゴール左隅に流し込んだ。

 そして後半32分、スローインの流れからFW酢谷元哉(4年=西尾高)が左から中央に流れながら右足で放ったシュートはポストを叩いたが、こぼれ球に反応した中村が角度のないところから左足で押し込んで、とどめの一発を仕留めた。

「自分の武器は狭いスペースを見つけて、その武器がこの全国大会でも出せた。ボランチだけどシュートをどんどん積極的に狙っていかないとと思っています。(ハットトリックは)今シーズンもリーグ戦で1度あった。普段はアシストが多いので、今日をきっかけにどん欲に行きたいです」

 帝京長岡高時代までは主にCBでプレーしていた中村だが、大学で出会った上泉康樹監督の助言もありボランチに転向。すると1年生の時はトップの試合に出場することはなかったが、オフに行われた中国選抜の選考会で首脳陣の目に留まり、デンソーカップチャレンジに出場する中国選抜のメンバーに大抜擢された。

 発展途上のチームに身を置けたことも、中村には好都合だった。入学してから人工芝グラウンドも完成。フットサルチームの監督をしていた実績がある上泉監督の取り入れる練習もユニークなものが多く、「狭いスペースをみつける」ことを特徴とする中村のプレースタイルにも合っていた。そして何より中村自身がチャンスを確実にものにして、成長に繋げてきた。

 チーム力も着実に向上。昨年は中国大学サッカーリーグで2位の成績を残して24大会ぶりとなる大学選手権(インカレ)出場を果たすと、今季は26年ぶりのリーグ優勝を決めて、中国王者として全国大会にやってきた。そしてインカレ初戦で総理大臣杯を制して夏の日本一に輝いていた富士大に4発快勝。ダークホースになる雰囲気を十分に感じさせている。

 2回戦の相手は富士大と同じ東北勢の仙台大に決まった。ただ中村は「相手が変わろうがやることは変わらない」と強調。「それこそ今まで自分たちのサッカーをやってきたから勝ってきた。それを出せば勝てると思うので、堂々と戦います」と自信満々に話した。

(取材・文 児玉幸洋)


●第72回全日本大学選手権(インカレ)特集
ゲキサカ編集部
Text by ゲキサカ編集部

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