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[MOM925]東京国際大MF依田籟木(3年)_延長の逆足豪快ミドル弾、ベンチで見守った選手権Vの反骨心を糧に

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東京国際大MF依田籟木(3年=山梨学院高)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.10 インカレ2回戦 東京国際大 3-1(延長) 大阪学院大 三ツ沢公園陸上競技場]

 流れを変える勝ち越しゴールは、利き足とは逆の足から生まれた。東京国際大は開始早々に先制したが、大阪学院大に後半終盤追いつかれる。延長前半6分、MF依田籟木(3年=山梨学院高)が左足ミドルを沈めて勝ち越しに成功。逆足での豪快ゴールに「初めてかもしれないです」と喜びを語った。

 東国大はシードのために2回戦が初戦となった。前半7分にセットプレーから先制に成功。だがその後は大院大の猛攻を跳ね返すも、後半35分に崩される。「初戦ということでみんな固かった。そのなかで先制できたことはよかったけど、後半もそれが続いてしまって失点した」(依田)。90分間で決着はつかず、延長戦に突入した。

「そこからよく盛り返した」と依田が振り返る。他人事のように口にしたため、指摘すると笑顔。均衡を破ったのは依田本人だ。延長前半7分、右サイドからMF熊坂光希(4年=柏U-18/柏内定)がボールを運ぶと、中盤の依田がパスを要求。熊坂のパスを収めた依田は「いつもはパスを選ぶシーンが多かった。だけど今日は打ってみようと」。ゴールの位置を確認すると左足一閃。クロスバー直撃のボールは相手GKの背中に当たってそのままゴールラインを割った。

 指揮官も驚きのゴールだった。前田秀樹監督は「依田はけっこうミドルが決まる。そういう意味では抜け目がない」ともともと決定力を評価していたが、「本来は右利き。左足で打つとは思わなかったけど綺麗に乗った。あれで本当に楽になった」と称賛した。依田自身も「やっぱり、打てば何か起きる」と手応えの一発だった。

 山梨学院高出身の依田は第99回高校選手権で優勝を経験した。だが、実力は認められながらもなかなかレギュラーを奪えず。青森山田高との決勝は延長戦、PK戦までの死闘、そして栄光の瞬間をベンチで見届けた。

 そこで抱いた小さな悔しさは、成長の糧となった。「まぁ見てろよという感じで大学に来ました」。大学には第一志望を落ちた選手、トップチームに昇格できなかった選手もいた。自分と同じ反骨心を抱いた選手とともに成長を誓った。

 高校時代は不貞腐れることも多かったというが、大学進学で意識は変わった。そういった環境の中でプロに進む先輩の背中も見た。「ひたむきにやらないといけないと意識を変えたら、徐々に試合に出られるようになった」。不貞腐れた時代は終わり、「いまは謙虚にやっています」と笑みを浮かべた。

 インカレでは自身の改善にも努める。「熱くなって周りが見えなくなってることがあるので。チームのためにもう少し自分を犠牲にできるように」。勝ち続ければ、自身が目指すプロも近づいてくる。次戦の流通経済大戦に向けて「今日は入りが固かった分、90分で決着がつけられるように頑張ります」と意気込んだ。

(取材・文 石川祐介)
石川祐介
Text by 石川祐介

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