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チームのピンチをチャンスに、伊野波「自分が生き残る上で大事な試合」

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 荒れたピッチも、高さのある相手も問題ない。DF今野泰幸が体調不良で前日練習を欠席したことで急きょ代役候補に浮上したDF伊野波雅彦(神戸)。ヨルダン戦(6-0)で右膝を負傷したDF吉田麻也もチームから離脱しており、12日のオーストラリア戦は今野、吉田という主力CB2人をそろって欠く可能性が出てきた。

 今野も欠場となれば、DF栗原勇蔵(横浜FM)と伊野波のコンビで先発する可能性が高い。実際、ヨルダン戦の後半27分からはこの2人がCBに入ってプレーしており、5月23日のアゼルバイジャン戦(2-0)でも先発でコンビを組んでいる。

「栗さん(栗原)とは控えのメンバーとして一緒にやってきているし、試合も何試合かこなせている。お互いの特徴は分かっている」と話す伊野波。試合会場のブリスベンスタジアムは9日にラグビーのオーストラリア代表対ウェールズ代表の国際親善試合が行われたこともあり、ピッチ状態は悪い。ただ、昨夏から約半年間プレーしたクロアチアリーグでも、劣悪なピッチコンディションの中、高さやフィジカルの強い相手と何度も対戦してきた。

「(ピッチ状態は)クロアチアの方が悪いので、似たような感じ。あっちで経験したことも今となっては大きいし、高さのある選手が出てくるという意味でも、クロアチアの経験を、もしチャンスがあれば、生かしていかないといけない」

 チームのピンチを自分自身のチャンスに変える。強い決意には、昨年11月15日、平壌で行われたW杯アジア3次予選・北朝鮮戦(0-1)の苦い記憶がある。直前のタジキスタン戦で最終予選進出を決め、先発を6人入れ替えて臨んだ試合に伊野波も左SBとして先発。CBには今野と栗原が入った。しかし、後半5分に長い距離のFKから守備陣が競り負け、決勝点を献上。同じ失敗は繰り返せない。

「チームとしても個人としも対策は考えている。北朝鮮戦で控えの選手が出て、似たような感じでやられたので、そこの対策はチームとしてもいろいろやっているし、僕自身もそれなりの対応の仕方は考えている」。伊野波はそう明かすと、「一回、北朝鮮戦でやられているので、チャンスがあれば名誉挽回というか、雪辱を晴らしたい。この先、自分が生き残っていく上でも大事な試合。しっかり準備して戦いたい」と力強く語った。6月の3連戦を締めくくる敵地でのオーストラリア戦。自分の存在価値を高めるためには、これ以上の舞台はない。

(取材・文 西山紘平)

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