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日本vsブラジル 公式練習後のザッケローニ監督会見要旨

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 16日にポーランド・ブロツワフでブラジル代表と対戦する日本代表は15日、試合会場で公式練習を行った。前日14日は別メニュー調整だったDF今野泰幸(G大阪)、FW清武弘嗣(ニュルンベルク)も全体練習に参加。今遠征で初めて23人全員がそろって練習を行い、前日では異例の公開練習となった。

以下、練習後のザッケローニ監督会見要旨

アルベルト・ザッケローニ監督
―遠征の前にフランスはフィジカル、ブラジルはテクニックのあるチームだと話していたが、技術の高い相手にどこを一番気をつけるか?
「フランスをフィジカルのチームと言ったが、フィジカルだけではなく、高いレベルのクオリティーも持っているチームだと思っている。そのクオリティーを我々との試合でも見せたし、結果はどうであれ、そのクオリティーは試合で見せた。
 ブラジルは世界で一番テクニックのあるチームだと思っている。その技術に加えて積極的な姿勢もバランスよく融合されているし、ダイナミズムも持っている。たくさんの人数をかけて攻撃してくるし、前線のポジションチェンジが激しくて、なかなか的を絞らせてくれない。五輪のあとのA代表の試合を4試合しているが、間違いでなければ、18得点0失点という内容で戦っている。4試合のうち2試合はアジアのチームとやって、一つは8-0、一つは6-0だった。タレント性のある選手がいるばかりでなく、チームとしてもパーソナリティーの強いチームだと思う。
 フランス戦の前の記者会見でも言ったが、我々は成長を促進するためにこの2試合を組んだ。アジアでは我々が主導権を握る戦いがほとんどだが、フランス、ブラジルは我々に対して自分たちが主導権を握ろうとやってくる。ブラジル戦に臨むにあたって日本代表は積極的な姿勢を見せないといけないし、フランス戦の入りのような消極的な戦い方で中盤でスペースを与えてしまってはいけない。数多くのリスクがある戦いにはなると思うが、ピッチ全体で日本が戦う姿勢を見たい。日本の戦い方をしない限り、どこが足りないのか、どこが通用するのかは分からない。自分が代表監督になってからアルゼンチン、フランスという強豪と対戦し、いい戦いができたし、いいテストになったと思っている。明日もそうなると思うが、この時点では非常に難しいテストになるのかなと思っている」

―フランス戦後の選手の反応は? 天狗になるようなことはないか? セットプレーも公開したが、もう隠すことはないので思い切りぶつかるということか?
「天狗になるようなことはないと思うし、このチームにそういう人間はいない。問題となるのは、逆に天狗になりすぎないところというか、アウェーで逆に相手のことを尊重してしまうきらいがある。問題は逆。ホームではいい戦いをするし、勇気を持って90分間戦い続けることができるが、アウェーではまだ足りないのかなと思う。これまでも言い続けてきているが、このチームは高いレベルのバランスと強い勇気を持って試合に臨まないといけない。
 先ほども言ったが、ピッチ全体でタイトに戦う日本を見たい。明日どうなるか。ブラジルはスペインとともに世界のトップ走る存在。14年のW杯もホーム開催となるので、そこに向けて意欲的に準備を進めているチームだと思う。明日の試合もフレンドリーマッチということで、結果より内容を重視したいと思う」

―本田の状態は? 注目度が高い試合でプレッシャーを感じるか?
「本田に関しては、2日しかチームで練習をしていない。今晩、(負傷)箇所のリアクションを見て、明日の午前中に最終的なジャッジを下そうと思っている。明日の午前中に選手本人とも話すつもりでいるし、メディカルチームとも話すつもりでいる。リスクがゼロの場合のみ、本田圭佑は出場する。
 我々はホームで戦うときに注目が高いので、そういったプレッシャーには慣れているし、そういう中でもいい戦いができているので、明日の試合も問題ないと思う。チームが考えるべきことは、相手のストロングポイント、またはウイークポイントを冷静に分析し、試合の中でどこを突いていくのか、どこのリスクを消していくのかということ。それを考えながらプレーすることに徹しないといけない。ブラジルの直近4試合の得点数、失点数を見ると、リスペクトするに値するチームだと思う。私も選手もチーム全体として天狗になるようなことはなく、相手を最大にリスペクトして明日の試合に臨みたい。明日の試合では日本の戦いを前面に出してもらって、どこが足りないのか、どこが通用するのか、世界で自分たちがどこのポジションに現在いるのかを確認したい。このチームのスタート地点のポジションは分かっているし、到達地点もある程度分かっている。そこに向けて現状、どこにいるのかを確認したい」

―チャレンジしなければ足りないところは見えないということだが、何を一番しなければならないか?
「私が就任して2年がたち、このチームができること、このチームの能力は完璧に把握しているつもりだ。この冒険が終わるまでには、まだ時間がある。その時間での伸びしろも分かっている。アウェーではシャイというか、時に消極的な戦いをしてしまう。ホームでのW杯予選や、結果が求められるゲームのときには70分、80分、高いレベル、高いスピードでチームとしての連係プレーを出せるが、国際レベルの舞台に立ったときにも高いリズム、高いスピードで常に攻撃を展開していかないといけない。当然明日の試合もそういうところを出していきたい」

―EUROの会場でもあったスタジアムの印象は?
「残念ながらEUROではこのスタジアムに来たことがなかった。EUROは最後の準決勝、決勝だけを見に来た。素晴らしいスタジアムだなという感想で、ブロツワフの街にも素晴らしい印象を抱いている」

―監督就任後初めての欧州遠征となったが、日本でやることと比べてのメリット、デメリットは?
「いいところは2つある。世界の強豪の2チームと、一つはアウェーの場で戦える。いい経験を積めることが一つと、もう一つはここに来て海外組の人数が増えてきているので、こうして欧州で試合をオーガナイズできると海外組の移動や時差の負担などが軽減される。国内組に関しても、アジア杯はアジアで行われるし、W杯予選もアジアで行われる。親善試合もなかなかアジア大陸から離れない。こういう経験を積むことで国際レベルのサッカーと自分たちを比較できることもいいところの一つに挙げられると思う。悪いところは特に見当たらないと思うが、今回の欧州遠征とは関係ないが、海外組の中でも出場機会に恵まれていないメンバーもいるので、そこのコンディションがどこまで上がってきているかというところに一つの不安がある。ただし、日本のサッカーの歴史がまだ成熟していないのも確かで、時間をかけてゆっくり成熟させていければいいと思う」

(取材・文 西山紘平)

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