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日本vsメキシコ 試合前日のザッケローニ監督会見要旨

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 日本代表は21日、ベロオリゾンテのミネイロンスタジアムで公式練習を行い、22日のメキシコ戦に向けて最終調整した。練習前には公式会見が行われ、アルベルト・ザッケローニ監督が出席した。

以下、ザッケローニ監督の会見要旨

アルベルト・ザッケローニ監督
「最後の試合となった。十分な勝ち点を得ることができず、準決勝に進むことはできなかった。しかし、明日の試合には関心を持っている。前回の試合でも、伸びていることを見せることができた。ブラジル戦ではうまくいかなかったが、イタリア戦ではいいプレーを見せた。メキシコには勝ちたいと思っている。メキシコは尊敬しているチームであり、FIFAランキングでは我々よりも上にる。テクニカルスキルも高い。ゲームをコントロールすることができるチームで、明日はいい試合になると思う。メキシコはイタリア戦、ブラジル戦と、いいパフォーマンスを見せている。両チームがいい選手をそろえているので、いい試合になると思っている」

―ブラジルの政治的、社会的な環境をどう見ているか?
「我々は普段、ブラジルに住んでいないので、問題の深層は理解していない。ブラジルは大きな国であり、各地域がどんな状況なのか、各地方によって違いがあるのかも分からない。私も日本代表も、緊張感があることを残念に思う。それは、国民に不満があることを表しているからだ。どの社会においても、こういうことがあるのは残念に思う。意思決定をする人が、良い形で問題にあたってもらえたらと思う。均衡を取り戻し、ブラジルの状況が良くなるように願っている。全世界の人がブラジルという国を気に入っている。我々は今回の大会を通じてブラジルの美しいところを見てきているので、状況がよくなることを願っている」

―新たに試したい選手もいると思うが、メキシコ戦では結果と経験のどちらに重きを置くか?
「イタリア戦で濃密な試合をした。それからそれほど日にちが経っていない。今日の練習を見て、全員のコンディションをチェックしたい。対戦相手の状況も見て、どれだけ控え選手を使うか見ていきたい。長谷部はイエローカード2枚で出場できない。彼の代わりにだれかを入れないといけないが、それに加えて、チーム全体のコンディションを見ないといけない。昨日が移動日で、今日は休養日であり、公式練習の日でもある。慎重に見ていかないといけない。メキシコには勝ちたい。メキシコも勝ちたいと思っているだろうが、どちらも勝つことはできない」

―メキシコは一つのフォーメーションから別のフォーメーションに切り替えることができるが?
「これまでの2試合を見ると、いくつかのフォーメーションを使っており、いいテクニックを持っている。攻撃に優れたものがあり、1対1、マンツーマン、プレッシャーもそうだ。そして、あきらめない。コンパクトで、かつスペースを使い、勝利へのメンタリティーも持っている」

―CB、センターフォワードに選手層の底上げが必要では?
「DF、MF、FW、どこのポジションを見ても特に改良を加えないといけないとは思ってない。チーム全体で国際経験を積む。それだけだと思う。強豪に近づくには、勝つことを身に付けないといけない。イタリアが我々に勝ったのと同じように。70分間、イタリアは苦しめられた。苦しんで苦しんで、しかし、あきらめなかった。そしてタイミングよく、彼らの経験をもとにチャンスをつかみ、最終的に試合に勝った。そのような質は、ハイレベルな対戦で得られるもの。この大会は我々にとって貴重な経験になる。今後はW杯まで国際試合の機会があまりないが、2013年の残りの期間を使って、できるだけ経験を得たいと思っている」

―来年のW杯に向けて、どんな期待を持っている?
「監督としては毎回、何かを学ぶ。大会によってはより多く、時には少し。期待は、選手と同じであり、日本の期待とも同じだ。日本と世界の強豪の間にあるギャップを埋める。1年でそれが可能かどうかは分からない。イタリア、スペイン、ブラジルと同レベルになるか。その可能性は低いかもしれないが、ギャップは縮まると思う。プレーの能力は、イタリア戦でも見られたように、高いレベルにある。ただ、経験を積んでいくことが必要だと思う」

―明日の試合で3-4-3のオプションを試すつもりは?
「フォーメーションを変える意図はない。よいスピードで、しっかりと的を絞ってプレーしているときは、いい成果を得ている。この3年間、そうだった。明日の試合で変える理由はないと思っている。今年の残り期間では、他のフォーメーションを試験的に見ることはできると思う。相手が予測できないように、柔軟性を持てるようにしたいとは思っている」

―イタリア戦の結果は悔しかったのでは? 明日もブラジルの観衆が日本を声援してくれると思うか?
「なぜブラジル人が日本をサポートしてくれたのかは分からないが、サポートしてくれたのはうれしいことだ。おそらく、我々がどれだけがんばってプレーしているかを見てくれたからだと思う。日本は70分間、決意を持ってプレーしていた。パスミスもほとんどなかった。ブラジルの観衆は、ボールをコントロールできるチーム、パスできるチームを気に入っているので、日本に声援を送ることを決めたのではないか。

 試合が終わったときは、もちろんガッカリした。4点目は試合が終わる数分前に入れられた。70分までは世界の強豪相手に試合をコントロールしていた。最終段階で負け、後味の悪い試合だった。それは明らかだ」

―チームのセキュリティーについてどう思っているか? 何か選手に指示していることはあるか? また国際経験を積むために選手はもっと移籍したほうがいいか?
「選手に指示を与えることはない。警備がホテルにいるのは見ているので、守られているとは思うが、それだけの緊張が社会にあるのは残念だし、なければいいと思う。かなりの選手がすでに欧州のリーグで経験を積んでおり、中にはトップリーグでプレーしている選手もいる。その経験は有益だと思う。私の言う国際経験は、チーム全体として国際経験を積むことだ」

―イタリア戦の終盤の選手交代に点を取りに行く意図が見えなかったが?
「交代は3人以上できない。それが限度だ。早い時間に交代させなかったのは、後半の途中まではゲームをコントロールし、支配していたから。3点取ってから、パワープレーをやろうとしたときに。右SBをより攻撃能力のある選手に代えた。右サイドの力を補強したかったからだ。チームはダイナミックだったが、エピソードの積み重ねでゲームは決まる。イタリアは勝つべき場合ではないときでも勝っている。難しい状況のときにも勝てる能力を、今の我々は持っていない。そこを改善しないといけない」

(取材・文 西山紘平)

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