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ベルギー戦は「正直、善戦していない」長友がいま語った“日本と世界の差”

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日本代表DF長友佑都(マルセイユ)

 日本代表DF長友佑都(マルセイユ)は、昨年11月のオーストリア遠征以来となる代表招集となった。久々の活動に「すごく充実している」と笑顔を見せた34歳は「自信がないとここには来ていない」ときっぱり。若い世代の突き上げも感じる中、自らも成長を続けながら来年冬のカタールW杯を目指す構えだ。

 長友は今季、DF酒井宏樹も所属しているマルセイユに完全移籍し、リーグ・アン25試合に出場。ガラタサライでは2019年12月を最後に登録メンバーを外され、コロナ禍も含めて約9か月間にわたって公式戦出場のない時期が続いたが、見事なカムバックを果たした。

 移籍当初は初めて経験するリーグ・アンのフィジカルレベルの高さに四苦八苦。「自分も約9か月離れていたので、100%じゃない中ですごく苦労した。イメージはあるけど体が反応しなかったり、相手がそれ以上のスピードやフィジカルを持っていたり、アダプトするのに苦労した」と厳しいの日々を過ごしていたという。

 それでも、かつて7年半にわたってセリエAでプレーし、数多くの監督の下でレギュラーを守り抜いてきた豊富な経験でカバー。「まだ満足はしていないけど、シーズンを通して右肩上がりによくなっていった」というコンディション面の向上もあり、「いままで積み重ねてきたものを活かし、多くの試合にも出られたし、まだ自分はやれるなという自信を持てた」と手応えの残るシーズンとなった。

 そうしたサバイバル力は、日々成長意欲をたやさずサッカーと向き合う姿勢の賜物だ。

「日々過去のW杯の試合や、自分たちの試合、そしてトップレベルの試合を研究したりしている」という長友は、2018年ロシアW杯で敗れたベルギー戦も分析した様子。「日本代表は善戦したなと言われているけど、正直に言って全然善戦はしていない。内容的にはすごく厳しい内容だったというのが正直なところ。ベスト8に行けたのにとか、惜しかったのにと言われるけど、内容を見たら全然まだまだ遠い。惜しくもなかった」と振り返りつつ、トップレベルとの違いを次のように語った。

「毎日サッカーの研究をしながら見ているが、何が違うかというと、ボールが目的地になっていて、ボールにつながっている日本人と、未来につながるトップクラスの選手たちという大きな差を目の当たりにした。トップレベルの選手は1秒、2秒先とつながっていて、それを意識してプレーができている」。

「これに対して日本の選手は常に現在。ボールに意識が行っていて、ボールへのサポートが多くなる。もちろんボールにつながるのも大事だけど、サッカーはゴールを取るためにやっていて、未来につながらないといけない。トップレベルの選手たちは常に1秒、2秒先の未来につながっている。もっと言えば5秒、10秒先の未来につながっている。そういう選手との差は非常に大きいと感じている」。

 単に「ボールを持つ前に次のプレーを予測しておく」といったような“ボール中心”の意識ではなく、ゴールという最終的な未来に向け、いま適切な選択をし続けるという“ゴール中心”の意識——。長友は2019年の活動でもたびたびこの差に言及し、「意識一つで全ての行動が変わる」と強調していた。

 その後、コロナ禍によって代表活動は止まってしまったが、長友は再び日本代表の場で言及。「(感染対策で)リラックスルームがなく、コミュニケーションをなかなか取れなくて難しいけど、そういう話はしていきたい」とし、後輩たちに教えを受け継いでいく構えを見せた。

 そのためには、長友自身も可能な限り長く日本代表に生き残っていくことが必要となる。

「森保さんの求めるサイドバックは運動量があって、質も高くないといけないし、攻撃も守備も高いレベルでこなせないといけない」。日本代表での目指すべきサイドバック像をそう見極めた長友は「若い選手がたくさんいるので、どんどん競争が激しくなると思う。自分自身、負けないように強い気持ちで覚悟を持って戦いたい」と力強く語った。

(取材・文 竹内達也)
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