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日本vsアメリカ 試合前日の森保一監督会見要旨

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森保一監督

 日本代表は23日、ドイツ・デュッセルドルフで行われるキリンチャレンジカップでアメリカ代表と対戦する。森保一監督は22日、試合会場のデュッセルドルフ・アレーナで前日会見を行った。

 以下、試合前日の森保一監督会見要旨

●森保一監督

「キリンチャレンジ杯のアメリカ戦を戦わせていただくが、まずはサポーターの皆さんにいつもの応援を感謝したい。ありがとうございます。明日のアメリカ戦だが、W杯に向けていい準備となるように試合に臨みたいと思っている。ただし、W杯に向けての準備の親善試合とはいえ、目の前の一戦に最善を尽くすこと、勝利を目指すことを続けながら、やってきたことを積み上げていけるよう、W杯に向けていい戦いができるよう、いい結果を出せるよう、積み上げになる試合ができれば」

——これまでと違うエッセンスを加える部分はあるか。微調整をする部分はあるか。
「ベースの部分は変わらないと思う。そこを軸に目の前の対戦相手は変わっていくので、チームのベースであるコンセプトを軸にしながら対戦相手とわれわれの戦い方を噛み合わせた時、出てくる相手の良さを消すことと、相手のウィークを突いていくことを試合の中で出していければ。ただ相手あっての試合で、対戦相手に勝たないといけない。W杯仕様ということに走りすぎて何かを変えないといけないことにメンタルが行きすぎて、これまで築いてきたベースが失われないよう、ベースがありつつ、アジアの戦いからW杯という世界の戦いに臨んでいくにあたっての積み上げができるよう、変化をもたらせるようにしたい」

——練習公開日に4-2-3-1のシステムを試していた。最近は4-1-4-1が続いていたが、テストしたい思いがあるのか。
「これからの親善試合、W杯に臨むにあたって、4-1-4-1、4-2-3-1、6月にガーナ戦の終盤に3バックも短い時間だが試した部分はオプションとして持っていきたい。明日の試合についてはこれから練習で最終的に詰めて決めていきたいが、4-2-3-1か4-1-4-1で臨みたいと思っている」

——ベースのところを失わないようにというのがあったが、選手が必死になってアピールに向かうこともあると思う。ベースを失わないようにするため、チームの積み上げをするため、それぞれの観点でどういったことを意識させたいか。
「まずチームの積み上げという部分ではアジアでの戦いとW杯での戦いで、対戦相手が違ったり、力としても違うところがあると思うが、まずはベスト16の壁を破ってベスト8まで行くというのは最初から最終目標として持ちつつ、どういうことをやっていけば目標に辿り着けるかを持ちながら、目の前の対戦相手に打ち勝っていくためにはどうしたらいいかということ、目標を持ちながら目の前の最善を尽くすというのをやってきた中、ベースは変わるものはない。選手のメンタル、目の前の対戦相手という選手が目にしている部分はアジアと世界の戦いは違うという認識があると思うので、これまでやってきたことが全てではないが、活きてくるものだと自信を持って、さらに世界で勝つためには何をしなければならないかを持ってほしい。アピール合戦ということについては代表でこれまでの親善試合をやっていても、直近の6月に国内で戦わせていただいた4試合についても、競争であったり、生き残りは含まれていると思う。代表に絶対的に保証されているものはないというのは選手はわかっている。常に競争の中でプレーしてくれている、でも競争だけでなく、日本のために戦うんだということを持ってくれている。私自身は心配はしていないし、仮にアピールの姿勢が強いなと思っても、そこは歓迎しながらチームのほうに向いて来られるように働きかけをしたい」

——連係連動、ハードワークというベースがある中で、ここからの2か月で積み上げなければいけないことは。
「これまでどおりということを言いすぎないようにしないといけない。選手は代表活動とともにもちろん自分の所属チームがある中で、所属チームと代表を行ったり来たりする中、比重としては日常の活動は所属チームのほうが大きい。これまでどおりと言っても、そこは飛んでしまっている可能性があるので、代表活動の時に試合前の与えられた期間の中でどうやって戦うかを映像ミーティングや、ピッチ上の練習でしっかり確認しながらベースを把握してもらえるようにしたい。攻撃の優先順位、守備の優先順位でコンセプトとして伝えているが、対戦相手によって状況は変わるので、そこでボールを高い位置で攻撃から守備に切り替わった瞬間、ボールを奪いに行きたいけどいったんコンパクトなブロックを作って、相手の攻撃に制限を加えながらボールを奪いに行く、そこから守備から攻撃に行くという対戦相手との噛み合わせで起きることを確認して試合に臨んでいきたい。守備では失ったところから即時回収したいが、そうじゃない時、相手に握られた時に、握られて困るのではなく、持たせながらプレッシャーをかけて、相手が嫌がる守備をするんだ、そこから奪って攻撃に行くんだという、見た目では受け身に見えるかもしれないが、気持ちの面で攻撃に移れるように、いい守備から攻撃に行けるようにというのがよりレベルの高い相手には必要。攻撃では速攻と遅攻で、いい守備から攻撃にという速攻、カウンターを仕掛けるところは素早く攻撃に移れるようにしなければならないが、相手も簡単にやらせてくれる相手ではない。ボールを握りながら、自分たちの時間をしっかり作りながら、相手にダメージを与えていけるように、強い相手と戦う中でトライできるようにしたい」

——好調な選手が攻撃陣にいる。最終予選で活躍できなかった選手も多いが、どう組み込んでいくか。
「最終予選で中心として戦ってくれた選手たちを中心に、もちろんチームづくりを進めているが、いま好調な選手をどうチームに組み込んでいくかは明日の試合でも試していきたい。今回、代表初招集ということではないが、国内組でE-1選手権の活躍から今回招集した選手も含めて、時間としてはどれだけ与えてあげられるかわからないが、チームの積み上げをしていくことも含め、試さなければならないこと、試したいことを組み込んでいきたい。好調な選手、新たに加わってきた選手たちに全員チャンスをあげられるかわからないけど、できる限りピッチに立ってもらって、その選手をどれだけできるかということと、融合の幅を広げていけるようにしたい」

——4-3-3と4-2-3-1は好調な選手に合わせてシステムを考えていくのか。
「システムありきではないと思っている。両方ともわれわれのやれるシステムだと思っているし、使い分けできるかなと思っている。また選手を新たに最終予選で中心で出てくれていた選手から、また違う選手を加えていく部分においてはシステムが変わってもいいかなと思う。チームとしてよりパワーを持てることであったり、活かせるようなチームづくりをできればと思っている」

——トップ下を置くメリットは。
「これからの戦い方を考えた時、対戦相手の力がアジア最終予選からすると格段に上がっているという中で、守備から攻撃にどれだけスムーズに移っていけるかという部分。トップ下が前線に吸収されることもあるかもしれないが、4-1-4-1と4-2-3-1になった時、1トップという点では変わりない部分はあるかもしれないが、トップ下に一つ守備から攻撃に移る、ボールを握ったときにより起点となるところを前線に増やすという意味ではわれわれがいい守備からいい攻撃に移っていく時のバリエーションが増えていくというのがある。明日の試合ではそういうところを試したいし、見ていきたい」

——板倉滉が怪我し、冨安健洋と酒井宏樹が戻ってきた。これまでは守備陣の連係が強みだと思うが、試しておきたい部分は。
「同じピッチに立つことによってこれまで築いてきたものもあると思うが、冨安であったり酒井宏樹であったり、怪我で活動を共にできない期間があった中、感覚をすり合わせる部分では今回の活動は非常に大きいと思う。決まった選手だけが試合に出るわけではないし、アジア最終予選でも中心で戦ってくれた選手はいるが、怪我であったりアクシデントであったりでピッチに立てないことがあった中、誰が出てもチーム力を落とさないで、戦力として機能する部分は常に持っておかなければならないと思う。6月シリーズで1試合1試合大きくチームを変えながら戦ってきた中、選手には連係連動の阿吽の呼吸という部分であったり、以心伝心で動ける部分が損なわれたストレスは大きかったかもしれないが、これまでの経験も踏まえ、そしてW杯という非常に心身ともに大きなプレッシャーがかかる中、同じ選手とずっと組むことにはならないかもしれない。交代枠も5人ということ、試合にかかるインテンシティが高い中で戦っていくということでひょっとしたら多くの選手を変えながら戦う選択をしないといけないかもしれないので、6月のストレスかかった試合の経験をまた本大会に向け、そういう選手を代える状況になった時でも誰と組んでも機能する、誰が出ても試合に勝っていくところをできるように、今回の活動でも選手たちに自信を持ってもらえればと思っている」

——さきほど語られていたチームコンセプトはこれまでも選手たちに伝えてきた部分だと思うが、それでも若手選手からは6月シリーズ以降、共通認識が必要といった意見が出ていた。そレを踏まえてミーティングで取り組みを変えた部分はあるか。またそういった共通認識について、この試合でどういった成長を見たいか。
「新たな試みではないが、これまでの代表活動の中で言えば、ロシアW杯が終わってチームが立ち上がってきて、W杯2次予選まではベースのコンセプトの部分をより厚くしていきながら活動してきた。そこでチームが機能していた部分もあるし、もちろん足りなかった部分もあると思うけど、最終予選になって一気に対戦相手のレベルが変わり、相手も分析を深めてきて、こちらがやろうとすることをつぶしてくる中で、われわれとしても相手との噛み合わせの中で基本的なコンセプトにプラスその試合でのベースとなるもの、オプションとなるものを加えていくことはやってきて、そこに厚みをもたらしてきた。さらに6月シリーズであった課題、W杯に向けてよりレベルの高い相手と戦う時に、(チームとして)やるべきことを忘れてはいけないが、試合で起きるシチュエーションを想像して準備するというところを厚みを持って準備していることは言える。どれだけの厚みかは、選手たちがどう受け取っているかわからないけど、チームづくりと、チームが前進する過程で起きていることが違ってきているので、スタッフも選手に対しての働きかけ方は内容を変えていると思っている。先ほども言ったが、データ的に数字はわからないが、4年前の立ち上げの時から、アジア杯が終わった後、2次予選、最終予選、選手がだいぶ入れ替わっているので、これまで通りという言葉を使いすぎると、経験の浅い選手には『これまでどおりってなんなの?』となるので、そこは五輪の活動、A代表の活動とを通してやってきた中で、『みんな分かっているだろう』と自分が勘違いしないよう、一回一回より丁寧に、できる限り、自分たちがやるべきことを伝えていく作業を、チームとしても、グループとしても、個人にも働きかけていきたい。選手たちはW杯で勝つために集中力が高くなってきていて、あれもやりたい、これもやりたいという向上心をすごく持っていて、日本が世界に勝つために考えてくれている。足りないところは出てくると思うが、そのつどできる限りの修正をして、W杯で勝つ確率を1%でも2%でも上げていけるように良い準備をしたい」

(取材・文 竹内達也)
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