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一度は覚悟した最悪の事態、それでも見えた希望…W杯間に合った板倉滉「完全にフィットした状態でドイツ戦に行ける」

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日本代表DF板倉滉(ボルシアMG)

 一時はカタールW杯への出場が危ぶまれる大怪我を負った日本代表DF板倉滉(ボルシアMG)が、本大会になんとか間に合った。ドーハでのトレーニング4日目の14日、深いパープルの新スパイク姿で全体練習に合流。終了後には「完全にフィットした状態でドイツ戦に行ける」と力強く口にし、初戦ドイツ戦の出場に向けて大きな希望を感じさせた。

 今季のブンデスリーガで高い評価を獲得してきた板倉は今年9月12日、所属クラブでのトレーニング中に左膝内側側副靭帯の部分断裂の重傷を負い、長期離脱を強いられた。カタールW杯最終予選では3試合で最終ラインを守り、7大会連続のW杯出場に貢献していた最中の悲劇。1週間後には代表のドイツ遠征も控えていた中、最悪の事態も頭をよぎっていたという。

「やっぱり、(怪我を)やった瞬間は『これ厳しいな』っていう思いはあった。膝の怪我も初めてだったので。これはワールドカップ厳しいんじゃないかなっていうのはまず怪我した瞬間に思いました」

 それでもチームの処置は早く、負傷した約30分後にはMRI検査を受診。症状が想像よりも深刻ではないことが分かった。「ギリギリで間に合うかもという話を受けて、そこからは僕としての目標も決まった。ここ(W杯)に向けて良い状態で仕上げていくという目標に変わった」。負傷の2日後、板倉は自身のSNSで「やるよ俺は!」と決意を綴っていたが、すでに2か月後の夢舞台に向けて動き出していたという。

「まずは治すことが第一優先。もうできることは全部やろうと思っていた」という中でも、リハビリは思うようにいかないこともあった。それでも「もう1段階良くなってほしいところが進まないとかそういう状況になると、多少は不安になったりして、焦りもあったけど、メディカルチームと話をしながらしっかりとしたリハビリ生活を送れた」と折れることはなかったという。

 日本サッカー協会(JFA)も現地にメディカルスタッフを派遣し、クラブと並列してサポートを行ってきた。「常にトレーナーの方がデュッセルドルフのJFAの事務所にいてくれたので、(午前中に)チームでリハビリが終わったら、午後はそこに行ってリハビリをするという形ですごく助かりました」。また近所に住むDF吉田麻也もしばしば板倉の家を訪れ、コラーゲンサプリをプレゼント。板倉は「それを飲んでるときが一番ヒザが治ってる感じがした」と振り返るなど、さまざまな支えを受けながら復帰への道のりを歩んでいたようだ。

 そんな板倉は10月上旬にランニングを再開。その後はクラブからドイツ代表のMFヨナス・ホフマンとともに強度を上げたトレーニングを行う姿が公開されるなど、順調な回復ぶりをうかがわせていた。その結果、今月1日のメンバー発表でW杯行きが決定。リハビリ期間に目標としてきたステージにたどり着いた。

 さらに今月11日にはブンデスリーガ中断前最終節のドルトムント戦にベンチ入りすると、後半43分からボランチの位置で出場。アディショナルタイムも含めて約7分間プレーし、実戦復帰を果たした。試合後には「元気な姿でワールドカップに行けることは嬉しい」と喜びを語ったのと同様、日本代表にとっても心強い姿をアピールしていた。

 いまでは単にピッチに立つことだけでなく、その先を見据えられるようにもなった。「個人としてゃもっともっと上げていけると思う。(W杯初戦の)ドイツ戦にフィットしている状況をつくると考えたときには、あそこでの出場はすごいステップだったと思う」。そう手応えを述べた板倉はW杯前最終戦となる17日のカナダ戦に向けて「カナダ戦あるし、練習も含めてできるので、完全にフィットした状態でドイツ戦には行ける」と自信も示した。

 2か月間にわたったW杯への復帰シナリオも、いよいよ最終章。「(カナダ戦の出場は)監督次第だと思うけど、僕自身はカナダ戦で万全な状態にということで来ているので。カナダ戦をやればさらに間違いなくコンディションが上がってくると感じているし、ドイツ戦前にこうして1試合できるのがすごく良かった」。今季のブンデスリーガ序盤戦で見せていたパフォーマンスを考えれば、万全の状態ならW杯で大きな戦力になるのは明らか。まずはカナダ戦で最後の仕上げを果たし、自信を持って夢の大舞台に挑んでいくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)

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