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アルゼンチンU-20W杯メンバー発表 冨樫剛一監督会見要旨

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冨樫剛一監督

 U-20日本代表の冨樫剛一監督は8日、都内で記者会見を行い、5月20日にアルゼンチンで開幕するU-20ワールドカップのメンバー20人を発表した。メンバーの枠は21人だが、残り1人は後日発表されるという。

以下、冨樫剛一監督の会見要旨
冨樫剛一監督
「U-20W杯に向けて、日本がシーズン中ということもあり、たくさんの方にご協力、ご尽力いただいた。特にJリーグの各チーム、また大学の関係者に多大な協力をいただき、誠に感謝いたします。ようやくW杯に育成のチームが参加できる。ものすごく力がつく大会に参加できるということで、本当に思い切ってプレーができるように整えていきたい。インドネシアから開催地がアルゼンチンに替わったが、南米の地でよりフットボールの強さというのを私たちも感じることができる。そこで日本の若者がしっかりと戦う姿をぜひ皆さんに届けていきたい」

──選考にあたり、世界大会ならではの重視した要素はあるか。
「AFCの大会では23名の登録だった。フィールド2名を減らす形の21名になったということが、まずチームを作る上で大きい要素となった。私たちはアジアNo.1を目指してAFCを戦ったが、取れなかった。その中で、私たちも世界一という目標を下げるのではなく、その目標に近づくためにどういう選手を選んだらいいのか。アジアのベスト4に残った4チームを比較したときに、私たちがよかったものはより良くしていかないといけない。そして、自分たちができなかったものが不足しているものなのか、あるいは意識の問題なのか。そういうところでしっかり精査をして、そして予選の当たる3チームを想定した中で、自分たちのウィークをよりストロングに変えていけるようなメンバー構成をして、今回の選手を選出した」

──メンバー枠は21人だが、1人足りない。
「現在リーグが行われていることもあり、体調、怪我というものが出てきてしまっている。それのチェック、コンディションも含めて、現時点では20名とさせてもらっている。ここ何日か、何時間かでいろんなものが見えてくる。また、新たに1名は発表する」

──キャプテンは決まっているか。
「彼らとまだ話はしていないが、基本的に私たちのチームが積み重ねてきたものを、そのまま大会に向けて出せるような選考をしていきたい」

──海外組でU20アジア杯に出場したDF高橋仁胡(バルセロナ)以外に、DFチェイス・アンリ(シュツットガルト)、MF福井太智(バイエルン)を招集した。
「AFCを戦っていく中でより強度の高い、よりスピーディな、そして高さも含めていろんなもの、まだまだアジアの中でもっと良くしていかなければいけない。欧州視察に行って彼らをしっかりチェックした中で、もちろんゲームも含めて、彼らが戦っている日常が間違いなくW杯のレベルに近い。彼らが私たちのチームで力になる選手、必要になる選手として選出させてもらった」

──アンリ、福井の成長している部分とは。
「福井太智に関しては、バイエルンのセカンドチームでしっかりとレギュラーを取って、攻守の中心としてプレーしているのを現地でも確認している。リスタートのところも彼が蹴っている。バイエルンの監督が代わったときトップチームの練習も参加させてもらっていて、ものすごくいい状態でいる。アンリもチーム自体があまり調子が良くなく、主戦場はセカンドチームになるが、ゲーム展開も非常に苦労している中でもがき苦しみながらもゲームの中での環境、インテンシティも含めてしっかり戦っている」

──FW坂本一彩(岡山)は4月に負傷していた。間に合うと断定していいか。
「チームにも合流しているので、しっかりとメディカルも含めてチェックした中で選出させてもらっている」

──この年代がW杯で戦える意義や、アルゼンチンという環境で戦う上で、監督が選手に伝えたいことはあるか。
「U-20というチームは、選手としても、人としても完成している選手たちではまだまだない。完成したチームの中で、たとえば世界一にたどり着いても、その先A代表のW杯の優勝にたどり着ける選手はなかなかいない。それなら多少粗さがあっても3年後に彼らが成長して、A代表に入ったときに、こういう風に成長していけるんだろうなと。想像が皆さんの中につくような戦い方で選手たちと世界一を目指していきたい。私も南米は20年ぶりくらいで、選手たちも南米にすら行ったことがない。アルゼンチンの印象も何も知らない。知らない状態なので、知らないからこそすべてを受け入れる準備ができている。その中で私たちがフットボールに集中して、チームで戦っていけるようにしていければ」

──この年代の選手たちが実戦経験を積めないことも想定していた中で、選手たちはここ1か月で出場時間を伸ばしている。
「U-20世代の試合出場は本当に難しいということが普通と思っていた。ただ、彼らは去年から、AFCの最終予選でいろんなことを感じていた。常に言っているのは、日常が大事、自チームが大切ということ。ポジションを取って、ゲームに出始めている選手たちもたくさんいることは、間違いなく日本にとってもすごく大切なこと。そういう意味では、私の選考も非常に最後選ぶのが難しかった」

──出場時間が増えた選手がいる中で、選考の中心はU20アジア杯メンバーだった。その葛藤はあったか。
「フィールドプレーヤー18名、GK3名でなければ、A代表のW杯みたいに26名選べれば本当に楽だった。ここ最近でゲームの中で伸びてきていることは実際に自分も確認している。その中でやはり一番大きかったのは、18人を選ぶ中でのポジションバランス。またこのポジションでのスペシャルな選手を何人選ぶか、というところで非常に悩んだ。もともと私たちのチームは、システムも含めて柔軟性を持っているチームだと思っている。より新しい考えを持っている中で、選手たちにはトライをしてもらう。そういう中で、思考の柔軟性を持った選手というのがもうひとつポイントになった。シーズン中ということもあり、各国は事前にスペインに集まってゲームを繰り返したりしているが、私たちはそういう時間がなかった。いままで積み重ねてきたベースからプラスアルファ、何ができるかというところで選んだのが正直なところ。もちろん選ばれなかった選手は悔しいと思う。そういう反発力はサッカー選手である以上ずっとここからついてくる。彼らがしっかり成長して、サッカー選手としてやれるまで、もっともっと高い目標を持ってプレーしていくと思う。そこは自分は期待して、選手の成長を見ていきたい」

──21日の初戦から10日前までには現地入りしたいと言っていた。理想に近いスケジュールにはなったのか。
「アルゼンチンまで時差がある中で、1時間の時差を解消するのに1日必要といわれている。そういう計算の中で、10日前に入れればという話をさせてもらった。それは選手たちのコンディション、怪我も怖いので、そこまでに行ければいいなと。ただリーグもあり、本当に協力をしてもらわないと実現できないことだった。たくさんの方が関わり、協力していただき、いろんな話し合いを見た上で、U-20日本代表に協力してくれる。私にとってはベストなタイミングだと思うし、非常に感謝している。向こうに着いて、15日にトレーニングマッチも入る。そこからまたコンディションを整えて、第1戦まで時間がある。選手たちと一緒に、しっかりとそういうものも心に感謝を込めて、初戦からしっかり戦えれば」

──15日に非公開でU-20アルゼンチン代表と対戦する。
「昨年の5月に行ったフランス遠征で、彼らにものすごくいろいろな気づきを与えていただいた。それが南米予選で負けてしまって、非常に残念だったが、彼らが開催国枠で復活した。そのチームでトレーニングマッチでやろうと言ってもらえたということは、彼らもゲームで日本に対して何かを感じてくれたのかなと。彼らはもちろん予選を敗退している中で復活してきている。開催国のチームとトレーニングマッチをするということは、よりそのトレーニングマッチで強度も含めて、しっかりと出してくれると思う。私たちにとってはひさしぶりの海外。そして移動も含めた中で、アルゼンチン戦をまずしっかりとした強度で戦えるか」

──グループリーグ初戦のU-20セネガル代表の印象はどうか。
「初戦のセネガルはアフリカNo.1。個の戦いになってしまうと、ものすごくレベルの高いチームといま認識している。私たちがどういう戦いをしていくのか、選手たちとしっかり共有して、なるべく自分たちの土俵に引き入れるような戦い方ができればいいと考えている」

──第2戦のU-20コロンビア代表の印象はどうか。
「コロンビアに関しても、5月のフランス遠征で実際に戦っている。そして私たちはゲームに負けている。そういう部分でいっても、印象は強いチームであり、実際に力もあるチーム。特にカウンターのところでは鋭さがある。前線の選手たちの個のクオリティは非常に高い。日本のその雰囲気の中でゲームを進めていったら、たぶん一発でやられてしまう。選手たちもコロンビアに対しては、そういう印象を持っている。だから、緩みがないようなゲームができるかなと考えている」

──第3戦のU-20イスラエル代表の印象はどうか。
「イスラエルに関しては、昨年のヨーロッパ選手権を私も実際に現地で見ていた。ものすごくいいチーム。私たちと似たようなゲームをしてくる。コレクティブであり、テクニックもある。そのチームはそんなに身長は高くはなかったが、スピーディな攻守を持っているチーム。実際にヨーロッパ選手権でも、決勝は化け物のようなイングランドと延長まで行って、あわよくばという戦い方をしている。ただ、そこからあまり活動をしていないようで、私たちもその間の情報も含めてしっかりとスカウティングをしていく。最終戦は本当に大事な戦いになるので、戦っていければ」

──改めて大会の目標は何か。
「私たちはアジアのNo.1になれなかったが、世界一という目標は下げない。そこから選手たちは自チームでしっかりと成長してきている。私たちスタッフも、そこを目指す戦い方ができるようなものを選手たちに共有していきたい。ここから若い選手たちは、みんな夢じゃなくて、目標として世界一を語ってくるレベルに日本はなったんだなという風に感じている。私たちが言うように、選手たちが本当に世界一を目指している。ヨーロッパ、南米と、若いころに勝った経験がある選手がほとんどなので、彼らもそういう思いでW杯に臨んでくれる」

──最高成績が99年ワールドユースの準優勝。その壁を超えるために必要なものは何か。
「いつもならこのU-20のチームは、U-17のW杯を経験した選手が入りながら20のW杯を目指すようなチーム編成になる。コロナ禍で20も17も行われなかったことにより、このチームは誰もW杯を経験したことがない。未知との遭遇ではないが、知らないからこそ思い切って高い目標を掲げて、それでも目の前の一戦一戦をしっかり戦って、そこにたどり着きたいと考えている」

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