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一年ぶりに日の丸を背負い…U-20W杯で見違える活躍を見せたチェイス・アンリ「守備のところは大丈夫」

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DFチェイス・アンリ(シュツットガルト)

[5.21 U-20W杯グループC第1節 日本 1-0 セネガル]

 ちょうど一年ぶりに日の丸を背負ったDFチェイス・アンリ(シュツットガルト)は、アフリカ王者を相手に力強いディフェンスで守り切った。U-20日本代表の初戦勝利に大きく貢献し、「最初緊張感もあったけど、どんどん自分のプレーが出せたのでよかった」と振り返った。

 一年前、昨年6月にウズベキスタンで行われたU23アジアカップにU-21日本代表として出場したアンリ。グループリーグ初戦のUAE戦に先発するも、緊張を隠せず。失点に絡むミスやPK献上につながるハンドをしてしまい、「一生忘れない試合になった」と悔しさをにじませていた。

 その後、アンリはシュツットガルトのセカンドチームに研鑽を積む。最初は負傷もあって出場機会に恵まれなかったが、今年4月には3試合に出場。3kg増加したという体は厚みを増し、フィジカルで負けない姿に変化していた。そして、その強さはU-20W杯の舞台でも発揮される。

 一年前の緊張した様子はまったく見られず、アンリは要所で鋭いディフェンスを見せた。空中戦だけではなく、相手のスピードに乗った攻撃をスライディングタックルや上半身をうまく使いながら封印していく。「守備のところは僕も大丈夫」。危ない場面は作られながらも、ピンチをしのぎ切り、1-0で価値ある白星を手にした。

 初戦の難しさは経験済みだ。「後半の最後はきつい状態になって、ずっと攻められていた。だけど、最後は無失点に抑えられてよかった」と勝利を噛み締める。「相手の足が長いし、パワーもあるので、後半の残り10分ぐらいはきつかった。最後は5バックだったんですけど、ラインの上げ下げがちょっと曖昧になって、相手がどんどん押し込んできたので、そう言うところは改善しないといけない」。冷静に90分間を振り返り、今後の課題も見つけていた。

 数本の縦パスで攻撃につなげた部分もあったが、ビルドアップには不満が残ったようだ。「もっと簡単に回せる場面はあったし、簡単に僕も(できたらよかった)。やっぱり、初戦という難しさはあったし、もっとワンタッチとかでボランチで使えるところもあったし、そういうところはもっと自分も出さないといけない」。勝利にも満足しない頼もしい姿がそこにはあった。一年前は後悔だらけだった逸材アンリは、ひとつの境地を乗り越え、逞しさを身に着けていた。

(取材・文 石川祐介)
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