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W杯でドイツ撃破弾、ブンデス残留導く大仕事も…FW浅野拓磨「常に結果を残せる選手になりたい」

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日本代表FW浅野拓磨

 日本代表FW浅野拓磨(ボーフム)がキリンチャレンジカップ2試合に向けた合宿初日の12日、報道陣の取材に応じ、自らの大仕事でブンデスリーガ残留を勝ち取った最終節を振り返った。「まずは残留できたことが何よりで、そのために全部出し切るしかなかった。自分でもこれまでもそうだけど、持ってるなという感情はある」と照れ笑いを浮かべながら語った。

 カタールW杯でドイツを破る劇的な決勝ゴールを決めた浅野は、ブンデスリーガでも“持っていた”。入れ替え戦プレーオフ圏内の16位で迎えた最終節のレバークーゼン戦、相手が退場者を出したのを機に勢いよく攻め込むと、前半19分にクロスから先制点をアシスト。さらに同34分にはCKから追加点を決め、1ゴール1アシストの活躍で勝利に導いた。

 この結果により、昇格2年目のボーフムは残留圏内の14位でフィニッシュ。最下位に沈んでいた序盤戦からの大逆転を果たし、浅野がその立役者となった。

 もっとも、浅野は「終わり方は良かったので気持ちよく日本に帰ってくることはできた」とは言うものの、“持っている”と評される形での活躍に満足してはいなかった。

「常にやれる自信を持ちながらやっているし、結果がどのタイミングで出るかのところだと思っている。僕としては常に結果を残せる選手になりたいので、確かにヒーローになれるタイミングがちょくちょくあって人より多いかもわからないけど、それよりも大事なところを求めている。まだまだ成長しないといけないと今季を終えて思った」

 昨季から3シーズンぶりとなるブンデスリーガに復帰し、厳しい戦いを経ることによる成長は実感している。「個人的にはどの試合も100%でやっていて、自分のマッチアップで負けている感覚もなかったし、パフォーマンス的にも自分としてはやれることはやっているかなという感覚はあった」。そう話した浅野はボーフムの選手の個人能力に言及しつつ、「個人個人の能力はブンデスの中でも高いと感じていた。僕自身も対戦相手に負ける感覚は全然しない」とも言い放った。

 しかし、昨季は27試合3ゴール4アシストを記録したが、今季は最終節の活躍を含めても25試合3ゴール2アシスト。「客観的に見ても数字という結果では全く満足できるものはない」と自らに厳しい目も向けている。

 日本代表の舞台でもその姿勢は同じ。「毎回毎回代表に来るたびにすごい選手が増えていて、個人個人が上がっているなと招集のたびに感じている。僕もそれについていかないとなと思うし、日本が強くなるためにいい環境が整ってきているんじゃないかとは思う」。W杯のヒーローという肩書きにすがることなく、「この代表の中でも自分がみんなよりも劣っているところは理解している」と高い基準に向き合いながらポジション争いに挑んでいくつもりだ。

 また日本代表ではカタールW杯を終え、前回の3月シリーズからボール保持の質向上をテーマに掲げているが、そこでも妥協なき姿勢を貫こうとしている。浅野にとって、日本代表が優先すべきは勝利という結果だ。

「前回2試合とも勝てていないし、チームとしてもパッとしない結果に終わってしまった。2試合でそれを変えられるかというと簡単じゃないし、同じような結果になってしまうこともある。ただ一人一人がチャレンジする姿勢。代表で求められていることもあるけど、それ以上に一人一人が勝ちにこだわって、対戦相手に勝ちに行くつもりで僕自身もやりたいし、チームとしてもやっていけたら、前回とは違う結果になるんじゃないかと思う」

(取材・文 竹内達也)

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