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「10番が無理だったので」20番で“再出発”…久保建英がW杯後初先発で躍動1ゴール2アシスト

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MF久保建英(ソシエダ)

[6.15 キリンチャレンジ杯 日本 6-0 エルサルバドル 豊田ス]

 不完全燃焼に終わったカタールW杯、新型コロナウイルス検査に阻まれた3月シリーズを経て、ようやく迎えた新体制での初先発。日本代表MF久保建英(ソシエダ)が1ゴール2アシストの大活躍で圧巻のクオリティーを見せつけた。相手が前半早々に退場者を出した影響もあったが、「着実にこういう試合で点を決めることが大事だと思うのでそういう意味では満足している」と手応えを語った。

 まずは前半開始早々、最初のセットプレーで違いを見せた。MF三笘薫(ブライトン)のドリブル突破で獲得したFK、久保とMF旗手怜央(セットプレー)が位置についていたが、キッカーを志願した。

「旗手選手とどっちが蹴るかという話の時に、ここのところいいフィーリングでセットプレーを蹴れていたので、『最初に僕に蹴らせてくれますか?』って言ったら、旗手選手が『角度的にもここはファーなんじゃない?』って言ってくれたので、それでいいボールを上げられたって感じですね」

 鋭いアウトスイングのボールをゴール前に送り込み、高い打点で合わせたDF谷口彰悟(アルラーヤン)のヘディングシュートを演出した。

 その後は前半17分に左からのクロスに左足で合わせるも枠を外れ、同22分には旗手のミドルシュートのこぼれ球を右足で狙うも枠外。シュートの精度を欠いたが、同25分に自ら起点と仕上げを担う形で結果を出した。

 右サイドでボールを受けた久保がサイドチェンジを左に通し、三笘のドリブル突破を導くと、一度はボールを奪われたが三笘がすぐさま奪回。その間に久保はペナルティエリア左にもぐり込み、難しいコースから左足でのシュートを決め切った。

「基本的に彼は単独で勝負できちゃう選手だけど、あそこまで高い位置だと縦よりは中に切り返すかなと思って、それが僕がいい位置にいたらもしかしたらリターンをくれるかなと。軽い気持ちだけど入って行ってよかった」

 そこまでの間に外したシュートよりも難易度は高いゴールかと思われたが、「一番自信はあるところなので、オッズどおりかなと(笑)」と久保。「(外した場面は)ふかすかなと思った部分もあったので、あれが一番簡単でした」と冷静に言い放った。

 また後半15分には、“00ジャパン”の中心選手として2017年のU-17ワールドカップに共に出場したFW中村敬斗(LASKリンツ)のゴールもアシスト。「終わった後もめちゃくちゃ『ありがとうタケ』って言ってくれたんでよかったです」と笑顔で振り返ったが、見事な技術と状況把握で相手を引き寄せ、中村をフリーにした選択が光った。

「基本的に中に切り返すときはほぼほぼ全体が見えているので、堂安選手が一人つり出してくれたおかげで、オフサイドではないかなと。目の前のディフェンスよりは(中村が)前にいたけど、たぶんつり出した相手のところでディフェンスもついてきてるかなと思って、あとは落ち着いて彼が決めてくれたのでよかった」(久保)

 そのまま後半20分に途中交代。試合後の取材対応では「伊東純也選手にももっと取れただろと言われたし、前半2〜3回取れたシーンがあったのでそこは悔やまれますね」と満足していなかったが、1ゴール2アシストは上々の結果だ。

 カタールW杯では発熱のため決勝トーナメント1回戦クロアチア戦を欠場し、不完全燃焼の結末となった。第2次森保ジャパン初陣の3月シリーズでも、新型コロナウイルスの陰性確認が取れず、出番はコロンビア戦の終盤のみにとどまった。そこから迎えた6月シリーズ。背番号も11から20に変わって心機一転、再出発を果たした。

 背番号については「10番が無理だったので、他の番号だったらどうでもいい。とりあえず誰も着けなさそうな20番でいいかなと」とエースナンバーへの欲求をのぞかせつつも、まずは前を見据えた久保。「(背番号よりも)結果が出ていることが一番なので、深い意味もなくこれから頑張れればなと思います」と決意を語った。

(取材・文 竹内達也)

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