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A代表初招集での個人チャントをイジられたDF森下龍矢「マイホームだからねって(笑)」

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日本代表DF森下龍矢(名古屋)

 キリンチャレンジカップのエルサルバドル戦から一夜明けた16日、A代表デビューを果たした日本代表DF森下龍矢(名古屋)が報道陣の取材に応じ、「(反響は)地元の友達からぼちぼちって感じでしたけど、お父さん、お母さん、あと奥さんがすごく喜んでいたのでよかった」と喜びを語った。

 この日のトレーニングは名古屋のホームタウンである豊田市内で行われたこともあり、MF三笘薫(ブライトン)、MF久保建英(ソシエダ)、MF堂安律(フライブルク)、MF伊東純也(スタッド・ランス)ら欧州トップレベルでプレーするスター選手に並び、森下にも大歓声が送られた。

 森下は「名古屋の子どもたちにちょっとでも夢とか希望とか与えられれば。今までサッカー選手を見て夢をもらっていたけど、あらためてそういう立場になったんだなと実感する時でもあった」と感慨に浸りつつ、自身が憧れた選手は「ジネディーヌ・ジダン」とプレースタイルの全く異なる選手の名前を挙げ、報道陣を笑わせていた。

 エルサルバドル戦ではスタジアムに集まったサポーターから個人チャントが何度も歌い上げられた。Jリーグ経験が短いまま欧州移籍した選手が大半となった現在の日本代表において、選手の個人チャントが歌われるのは異例中の異例。ホームスタジアムならではの演出に「びっくりしましたね。僕以上にみんなびっくりしていた」と驚きを明かした。

 他の選手からは「なんで初招集なのにチャントあるの?」とイジられたというが、「マイホームだからねって言いました(笑)」と森下。「まさか自分のローカルチャントが流れるとは」と照れ笑いを浮かべ、「(他の選手にも)認められる選手になるようにもっともっと頑張らないといけない」と話しつつも、「豊田スタジアムはホームなのでいい落ち着きのなかでプレーできたと思うし、ボールが切れた時に僕のチャントが流れているとそれに気づいたりもした。そういう雰囲気を作り出してくれた皆さんに感謝したい」と終始嬉しそうだった。

 試合では持ち前の豊富な運動量を活かし、国際試合の強度下でも絶え間ないアップダウンを披露。その一方、守備ではプレッシングに行った際に入れ替わられたり、ハマってもファウルの判定が下されたりしたことで「一夜明けても出られて嬉しかったことより、もっともっと成長できる部分があった悔しさのほうが大きい」と振り返る。

 それでも「爪痕はそこまで残せなかった」と話す際の口ぶりもどこか晴れやかだった。

「でもJリーグでできていた部分があって、それがどれだけ通用するか試してみたところ、まだまだ伸び代があると気付かされた試合だった。成長の機会がたくさんあるのはサッカーの面白いところだなと思いながらポジティブに捉えている」

「これからトッププレーヤーのビデオをSPOTV NOWとかDAZNとかで見るじゃないですか。そういう目線で見られるのは嬉しいですね。これくらい寄せてるんだとか、移動中にこれくらい詰めてるんだって」

 大学時代には就職活動も行っており、一度は第一線でのサッカー生活を終える可能性もあった森下。そこからこうして日本代表に上り詰めたシンデレラストーリーの陰には、日々の意識の高さと、高い基準と向き合う努力があったことが垣間見える。

 充実の代表活動もあと5日間。もう1試合、20日にはキリンチャレンジカップ・ペルー戦も残されている。「もちろん全力プレーをする」と言い切った森下は「守備の部分に特にこだわりたい。逆に攻撃はどれだけ味方と合わせて自分のストロングを出して行けるか。そこはもうちょっとライトな感じで捉えられているので、守備のところにフォーカスしてプレーしたい」とエルサルバドル戦での経験を糧に、さらなる成長を遂げていく構えだ。

(取材・文 竹内達也)

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