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カタールでの半年間に充実感のぞかせる谷口彰悟「良い意味で誰も助けてくれない」

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日本代表DF谷口彰悟(アルラーヤン)

 日本代表DF谷口彰悟(アルラーヤン)は15日のキリンチャレンジカップ・エルサルバドル戦で、海外移籍後初めてA代表のピッチに立った。相手は序盤に退場者を出した中でも、FWブライアン・ヒルの屈強なフィジカルを活かしてカウンター攻撃を狙ってきたが、DF板倉滉(ボルシアMG)とのコンビでほぼ完璧に阻止。カタールW杯で日本中を驚かせた安定感を、異なる環境でもキープしていることを示した。

 谷口は17日のトレーニング終了後、カタール移籍後の自身のパフォーマンスについて「次のW杯を目指したい思いがあったので、周りに流されず、自分の知っている基準を大事にしながらやっていたつもり。それがいい方向に出ていると思う」と手応えを口にした。

 カタールで特に意識しているのは元柏レイソルのFWオルンガのように、いまのJリーグとは異なるタイプのストライカーとのマッチアップだ。「基本的にどのチームにも外国籍選手のFWがいて、強烈な選手がいるので、外国人相手にバチバチやっていくという日本にいたら経験できないことができている」。Jリーグ時代とは異なり、周囲との連係に緻密さを求められないぶん、そうしたデュエルにフォーカスできている側面もあるという。

「良い意味で誰も助けてくれないというか、僕が川崎フロンターレでやっていた時はチームとしてのやり方も理解していたし、もちろん言葉も通じるし、周りの長所・短所を分かった上で対応するところもオートマチックにできていたけど、(アルラーヤンでは)周りも外国人選手で自分のやりたいことを伝えないといけないし、自分のエリアをなんとかしないといけないというある意味晒されているような状況は結構多い。そういった中での対応の仕方は結構変わってくるし、新しい環境でやっていることを実感できている」

 海外経験豊富な数々の選手たちが口にしてきたことでもあるが、世界で戦うディフェンダーに求められるのは何よりも「一人で守れるかどうか」。谷口もその能力を追い求めて海外に渡り、さらなるレベルアップを遂げようとしている。

「W杯を経験していろんな国のトップレベルの選手たちのプレーも見たけど、どの国も後ろは1対1だったり、時には数的不利でも守り切るような選手がいる。横幅の68mを4人で守り切れるのか、3人で守れるのか、時には2人で守れるのか。そういうチームが強かったし、上に行っている。日本のCBもそこを目指さないといけない」

「海外の強くて速くてデカくてという選手に対して、1対1で負けない、広いスペースを一人で守れるというところは目指していかないといけない部分だと思っている。それができれば前にパワーをかけられるし、そういうところは目指していかないといけない」

 いずれは「ヨーロッパに行ったり違う道の可能性もあると思っているし、自分自身もそういうところは狙っている。まだまだチャレンジして、いろんな道を求めて頑張っていきたい」とステップアップも模索する谷口。Jリーグで覇権を争う川崎Fを31歳で飛び出すという異例の決断から半年、そのチャレンジは順調に進んでいるようだ。

(取材・文 竹内達也)

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