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女子W杯のなでしこブレイク候補…藤野あおばが明かす豪快シュートの秘訣「幼いころは質より量だったが…」

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MF藤野あおば

 強烈な弾道が何度もゴールに突き刺さった。日本女子代表(なでしこジャパン)は2日に国内トレーニングキャンプ6日目を実施。MF藤野あおば(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)はシュート練習で鋭いシュートを決めた。

 初の女子ワールドカップに臨む19歳は、一歩ずつ主力としての歩みを進める。そのために代表活動で見えた課題には、しっかりと取り組んでいる。選手同士のコミュニケーションで「曖昧な求め方が多かった」。相手の意見を聞きながら、より積極的に自分がやってほしいことを伝えるようにした。この姿勢を気づかせてくれたのは、なでしこジャパンのレジェンドでもある宮間あや氏だという。

「(シーズンが終わってから)宮間さんとお話させていただく機会があった。仲間に伝えていくというところは、もっとやったほうがいいという話だった。自分も、そこに出してもらえればあと一歩ゴールに近づけたのに、というシーンはあった。そういうところは強い気持ちで伝えていくことを、いま頑張っています」

 藤野は昨年に準優勝で終えたU-20ワールドカップでは、準々決勝・フランス戦で劇的な同点ゴール。今季のWEリーグでは11得点を挙げ、その得点力は折り紙付きだ。昨年10月にA代表デビューを果たし、ここまで9試合に出場。いまだ無得点だが、W杯での初ゴールも期待される。

 この日行われたシュート練習では、PA手前からミドルシュートを決める場面もあった。足の振りが鋭いと定評がある藤野の右足シュートは訓練の賜物だ。「幼いころは質より量だった。とにかく打ちまくるというか、数をこなす。体に染み込ませていった」。しかし、高みを目指すにつれて、シュートチャンス自体が減っていく。量よりも一本に込める集中力を上げていった。

 それはシュートを打つ直前の動作から始まるという。「強いシュートを打つためのコースを見極める以前に、トラップがしっかり定まっていないとうまく受けれない。トラップはすごくこだわってやっている。ボールの置き場所ひとつで、シュートコースも狭まる。そういうインパクトの部分は日ごろの積み重ね」。強力なパワーだけではなく、繊細なボールコントロールがその威力を生んでいた。

 これまでは前線の選手が中盤まで降りてサポートに回ったが、前線の数を保つために、前線に人を残しながらボールを動かす形に変えつつある。1日には男子高校生と実戦形式でトレーニングを行い、その手応えを掴んだようだ。14日には女子W杯前最後の練習試合としてMS&ADカップ・パナマ女子代表戦に臨む。「現在の組織力を高めて、こういけるんじゃないかなという可能性は感じられてる」。実績十分のヤングスターは、自身初の大舞台で躍進を目指す。

(取材・文 石川祐介)
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