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なでしこJ、女子W杯ベスト8敗退…終盤の猛反撃実らずスウェーデンに敗れる

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1-2で敗れたなでしこジャパン

[8.11 女子W杯準々決勝 日本 1-2 スウェーデン]

 日本女子代表(なでしこジャパン)は5日、女子ワールドカップ準々決勝でスウェーデンと対戦し、1-2で敗れた。2021年夏の東京五輪でもベスト4入りを阻まれた北欧の強敵にまたしても敗れ、ベスト8で大会を終えた。

 ザンビア、コスタリカ、スペインとのグループリーグを全勝の首位で突破し、前回大会で敗れた決勝トーナメント1回戦(ラウンド16)でノルウェーを3-1で下した日本。目標の世界一に向けた準々決勝では、ラウンド16でアメリカとの延長戦を制して勢いに乗るスウェーデンと激突した。

 日本はノルウェー戦から先発1人を変更し、MF遠藤純に代わってMF杉田妃和を起用。引き続き3-4-2-1のシステムを採用した。ゴールマウスにはGK山下杏也加が立ち、3バックは左からDF南萌華、DF熊谷紗希、DF高橋はな。左のウイングバックに杉田、右にDF清水梨紗が入り、ダブルボランチはMF長谷川唯とMF長野風花。シャドーは左にMF宮澤ひなた、右にMF藤野あおばが並び、1トップはFW田中美南が務めた。

 試合は立ち上がりからスウェーデンの激しいプレッシングに苦しみ、ボールをなかなか前進させられない展開。守備では押し込まれる時間が続き、良い形でボールを回されると、防戦一方のまま時計が動いていく。

 そして前半24分、スウェーデンに最初のビッグチャンス。DFナタリー・ビョルンにシンプルなロングボールを蹴られると、熊谷が対応したが裏を取られ、FWスティーナ・ブラックステニウスに決定的なシュートを放たれる。最終的にはトーキックが枠を外れ、命拾いとなったが、ヒヤリとする場面だった。

 日本も前半28分、左サイドで宮澤が起点を作り、右サイドに展開すると、高い位置を取っていた清水が縦へと突破。ペナルティエリア右をえぐってクロスを上げる。しかし、ファーサイドの杉田には惜しくも合わず、その後の二次攻撃も不発。最初のチャンスを活かすことができなかった。

 すると前半32分、スウェーデンに先制点を取られた。日本は自陣右サイドで警戒していたFKを与えてしまい、MFコソバレ・アスラニにハイボールをゴール前に送り込まれると、これは山下がパンチングで処理したが、エリア内で相手の二次攻撃がスタート。高橋、熊谷らが立て続けにクリアできず、最後はDFアマンダ・イレステットに押し込まれた。

 日本は今大会を通じて初めての先制点献上。嫌な流れはその後のプレーにも波及し、焦りもあってか、パスの精度が上がらない。一方のスウェーデンは前半42分にもMFヨハンナ・カネリッドのダイレクトパスからアスラニがボレーシュート。なんとかGK山下が触り、ボールはポストに弾かれたが、あわや2点ビハインドというピンチだった。

 日本は0-1で迎えた後半開始時、杉田に代わって遠藤を投入。爆発的な推進力と強烈な左足のキックを持つウインガーに反撃を託す。ところが開始直後、スウェーデンに遠藤の裏を突かれると、カネリッドに危険なシュートを放たれ、CKのピンチを迎えた。

 高さで上回られる日本にとっては失点シーンに続いて嫌なセットプレー。冷静に人数をかけて対処し、一度はしっかりと弾き返したかと思われたが、そこでVARが介入する。映像確認の結果、ジャンプした長野の手にボールが当たったことでハンドを取られ、PKの判定。これをMFフィリパ・アンイエルダールに決められ、日本は苦しい2点ビハインドとなった。

 日本は後半7分、田中に代わってFW植木理子を投入。その後はスウェーデンの出足も落ち、ボールを握る時間を増やすと、同23分には藤野の右サイド突破で中途半端なクリアを誘い、こぼれ球を拾った長谷川がミドルシュートを狙う。だが、これは惜しくも枠外。同26分には長野の縦パスを受けた藤野が左足で狙い、GKを強襲した。

 なおも勢いを保つ日本は後半29分、右サイドから植木がドリブルで仕掛け、プレスバックしたFWマデレン・ジャノジーのファウルを誘って倒される。主審はPKの判定を下し、日本に反撃のビッグチャンス。ところが植木のキックはクロスバーに阻まれ、跳ね返りを植木が触ったためファウルを取られ、二次攻撃にもつながらなかった。

 日本は後半35分、今大会5ゴールで得点ランキングトップの宮澤と長野を下げ、MF清家貴子とMF林穂之香を投入。同40分には藤野が積極的に仕掛け、ゴール正面でFKのチャンスを獲得した。これを藤野がふわりと狙い、クロスバーとGKに当たったボールがゴールラインを割ったかと思われたが、ゴールラインテクノロジーは反応せず。ノーゴールとなった。

 それでも日本は後半43分、長谷川からのサイドチェンジを受けた遠藤が左サイドでぴたりと収め、エリア内にパスを送ると、清家のクロスが相手のクリアミスを誘発。これに反応した林が勢いよく飛び込み、冷静にネットに蹴り込んで1点差に追いついた。

 そのまま試合はアディショナルタイムへ。表示された時間は10分。十分に同点、逆転も可能な時間が与えられた。そこからは日本が一方的攻勢。植木、清家が次々にゴールに迫る。アディショナルタイム3分には高橋に代わってFW浜野まいかを投入。鎖骨を痛めて欠場が続いていた浜野はこれがW杯デビューとなった。

 ところが浜野はなかなか試合に入れずミスが続き、チーム全体としてもスウェーデンの力強い対人戦に屈し、なかなかゴール前での決定機を作り出せない。後半アディショナルタイム9分、ゴール前での波状攻撃も植木がシュートを打ちきれず、反撃はそこまで。最終盤の猛攻も及ばず、なでしこジャパンはベスト8敗退となった。


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