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日本vsドイツ 試合前日の森保一監督会見要旨

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日本代表森保一監督

 日本代表は9日、ドイツ・ボルフスブルクのフォルクスワーゲン・アレーナで行われる国際親善試合でドイツ代表と対戦する。森保一監督が8日、試合会場で前日会見を行った。

 以下、試合前日の森保一監督会見要旨

●森保一監督
―ドイツとはW杯で戦って以来の再戦で、今回はアウェーで試合が行われる。W杯の勝利は日本の歴史にとってとても大きいもので、今回勝てればさらに大きな勝利になる。明日への意気込みは。
「W杯でのドイツとの対戦で我々が勝利できたことは、日本のこれまでのサッカーの発展を実感することができ、自信を持つことができた勝利になったと思う。しかしながら、まだまだ足りないというところ、もっと上げなければいけないというところは、結果とは別に内容の部分ではさらなる成長をしていかなければいけないということをドイツが強さをもって教えてくれたと思っている。明日の試合も勝利を目指すということはもちろん、代表として第一に考えていく戦いの中でも、ドイツ代表が世界トップクラスの力があるということに変わりはないので、前回の戦いがどうであったかではなく、世界のトップクラスの力を持っているドイツとの戦いの中で、我々の今の立ち位置を測る最高の対戦にできるようにしていきたいと思う。個々の力、チームの力を測るという意味でも、よりチャレンジして戦えればと思っている。少し話が前後してしまうが、我々日本がW杯に7大会連続で出場することができ、そして世界の強豪、優勝経験を持つドイツ・スペインと対戦しても勝利ができるというところは、ドイツの指導者であったり、選手であったりという方々が日本サッカーの発展に大きく貢献してくださって、いまの日本がサッカーの強化ができているという点が間違いなくある。これまで日本サッカーの発展に貢献していただいたドイツの指導者の方々、選手の方々に改めて感謝をお伝えしたい。その上で明日の試合でさらなる成長につながる戦いをできればと思う」

―W杯の戦いも踏まえて、チームとしてどういう展開の試合をしたいか。チームとしてチャレンジしたい部分は。攻撃、守備でどういったところを狙いとしてもって臨むか。
「W杯からのということで、過去の経験はもちろんあるが、これからをどう作っていくかという戦いの中で、ドイツとの対戦だけの過去を考えるのではなく、チームの積み上げの中で良い守備から良い攻撃へというところ、そして全員攻撃・全員守備が世界で勝つために日本に必要なところだと思う。明日の試合も日本が世界で勝つために必要な良い守備から良い攻撃にというところを試合の中でより発揮できるようにしたいと思う。質問されているW杯からの積み上げとして、さらなる成長としては、良い守備から良い攻撃への攻撃の回数、チャンスをより増やしていくところと、守備の部分でも意図的に奪える回数を増やしていくということを過去のW杯の経験よりさらに上げていければと思っている」

―3月シリーズは4-2-3-1をベースにやって、6月は4-1-4-1をベースにしていた。フォーメーションはどんな考え方で臨みたいか。またFWの構成はどういうポイントで選びたいか。
「フォーメーションとしては4-2-3-1でスタートしたいと思うが、ドイツも可変で4-2-3-1、4-3-3、6月のシリーズは3バックを試したりとか、いろんな戦術を持って試合に臨んでくると思う。我々も形としては4-2-3-1でスタートするにしても、可変しながら試合を進めていけるようにということは考えて、柔軟にその状況に応じて対応できるように、より準備を進めて試合に臨みたいと思っている。FW等々の陣容については今日の練習を見て決めさせていただきたい」

―6月シリーズが終わった後、いろんな精度を高めないといけないと言っていたが、具体的に高めていきたいものが何かあるのであればいくつか思い浮かぶものは。またバスケットボールW杯が終わったあと、バスケ界からはサッカー界から学ばないといけないという声が出ていた。サッカー界は日本のスポーツ界のロールモデルになりたいという考えはあるか。
「逆に何を上げたらいいですか。でもおっしゃる通り、全てを上げていかないといけないと思う。世界との戦いの中で良い守備から良い攻撃にというのを言っているが、守備だけにフォーカスするつもりはもちろんない。攻撃も守備も全て上げていかないといけないと思う。ただやはり局面局面で個々が勝っていくところは、より攻撃においても守備においても力を持った上で、組織として連係連動できる日本の良さを発揮しなければいけないと思っている。サッカーはゴールを奪う、ゴールを守るというところの前に、ボールの奪い合いから始まるというところはドイツが日本に教えてくれているように、いまブンデスリーガで多くの日本人が個々の強さ、個々の責任を全うしながら勝っていって、チームとして組織として戦っていくかというのは、まずは個の部分から局面で勝っていって、組織としてつながるというところをやっていかないといけないと思っている。これまで私が代表の監督として仕事をさせていただいている中で、我々の力と同等以上の相手と戦うことは間違いなく現実的に多い中で、良い守備から良い攻撃、その攻撃というところもより守から攻へ素早い攻撃を仕掛けていく回数を増やすということをやりながら、ボールを握って縦に行くのか、ワイドに攻めていくのかというところを徐々に選択肢を増やしていかなければいけないと思っている。そういうところが上げていくところだと思う。明日の試合は難しい試合になると思うが、我々の良さである選手たちの粘り強く戦っていくところを、攻守に選手たちには発揮してほしいと思う。あとバスケットボールのことでは、僕はコメントを聞いていないのでどうつなげて話をしたらいいか分からないが、まずはサッカーはW杯でロシア、カタールという舞台に参加させていただいて、フットボールというスポーツが国と国をつなぐ、人と人をつなぐ、フットボールという一つの共通言語で国と国、人と人がつながり、世界で最も人気のあるスポーツかなと思う。その中で我々がやっていくということは、バスケットボールの方々がどういうタイミングで喋られたのかわからないけど、日本として考えるにあたって、いま多くの選手がヨーロッパなどのサッカー大国であったり、日本と違う価値観の中でサッカーをして生活をしているというところで、スポーツの中で一番海外組が多いのがサッカーかなと思っている。そういった意味では日本の価値観、日本の良さは素晴らしいところがたくさんあるが、日本だけの視野での日本の良さではなく、サッカーは五大陸全てでW杯などの国際大会ができるスポーツだと思うので、世界の価値観を選手たちが感じながら、そしてサッカーというスポーツを通して感じながら、日本の良さをどうやって発揮していくかというところ。これも私自身が思っていることだが、価値観やフットボールのグローバルスタンダードをより知った上で、日本の良さを上乗せして戦っていく、そして勝っていこうとしているのが我々だと思う。そこは全てのスポーツにも共通するところかなと思う。世界の価値観を知った上で日本の良さを発揮していく、それがサッカーに一番できるところだと思う。我々はサッカーから世界一を目指して戦うということをいまやっている中で、いま越えられていない壁を越えていく、レベルアップしていくという中で、それがサッカーだけでなく、スポーツ全体として日本人が世界で勝っていくというところにつながっていくよう、サッカーを通して、他のスポーツであったり、スポーツではないところにも良い影響が伝えられるようにできればと思う」

―冨安健洋が初の代表活動だが、彼が加わったことでどんなことに期待しているか。
「まずは彼が持っている身体能力、そして技術的な能力、全てをチームに活かしてもらえると思う。彼は怪我で所属チームでも代表チームでもプレーできない時期はあったが、彼が世界トップトップのプレミアリーグでプレーをしているという中で、力を発揮できていることを考えると、自然と全てが日本代表、日本サッカーにとってプラスになると思っている。実際にこれからの戦いの中で彼のプレーをよりチームに活かしていくという意味では、試合の中でよりコンパクトな戦いをするために、攻守が切り替わった時のポジショニングの速さはまずは活かしたいと思う。特にディフェンスラインであれば守から攻につながるところで、押し上げをしっかりすること、攻から守に切り替わった時に良いポジションで相手に対抗できるような素早い判断はチームの中でより上げていけるように彼の能力を活かしていきたい」

―代表活動の前に結果を出して合流した選手が多かった。その中で今回は普段より長い5日間の準備期間があったが、普段と違う取り組みができたか。
「まず一つ目は非常に日本のサッカーのレベルが上がったことが言える。ヨーロッパの舞台で5大リーグ、ないしヨーロッパの舞台で活躍している、結果を出している選手が多くなり、26人を選ぶことが非常に難しくなった。今回選ばれていない選手もまだまだ多くの選手が、今回のドイツ戦やトルコ戦に選ばれていてもおかしくない活躍をしている。力を持っている選手がいるということは日本サッカーのレベルが上がった、選手層がより厚くなっていることが言えると思う。できるのであればもっと多くの選手を招集して、チームの活動をして試合に臨みたいなと思う。私自身、日本のサッカーにとって非常に喜ばしいことかなと思うが、私自身にとって非常に熾烈なポジション争いがあり、選手を見極めていく中での熾烈な力量を見極めていかないといけない。非常に難しい選考になっているということは言えると思う。悩みたくないです(苦笑)。でもそれは日本のサッカーにとって良いことだと思うので、選手たちには競争は厳しいかもしれないが、もちろん所属チームで世界の中での競争力に勝っていくところと、日本代表として日本人同士の争いも踏まえて、よりレベルアップするためにもお互いより良い刺激を与えられる、厳しいけど素晴らしい環境になっていると思う。今回の準備期間という意味では、これまでの活動の中では親善試合でも2日間全体練習ができればいいかなというくらいで、カタールW杯予選では一度も全体練習なしで臨んだこともある。それを考えると時間を与えてもらっているのはありがたい。そこで何をやっているかというと、チームのコンセプトとなるミーティングであったり、練習をより全体的な戦術だけではなく、皆さんにも見ていただいたが、個別の小グループの中でチームコンセプトのベースとなるトレーニング、ミーティングをさせてもらえている時間として使わせてもらっている」

(取材・文 竹内達也)
●北中米W杯アジア2次予選特集ページ
竹内達也
Text by 竹内達也

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