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デュエルで魅せ、GK大迫を支えた遠藤航…新主将がドイツに示した日本代表のあり方「個で勝りながらチームで戦う」

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MF遠藤航

[9.9 国際親善試合 日本 4-1 ドイツ ボルフスブルク]

 “デュエルキング”の本領を発揮した。MF遠藤航はリバプールに移籍して最初の日本代表戦で、マンチェスター・シティで長年活躍したMFイルカイ・ギュンドアン(バルセロナ)とのマッチアップで上回る場面も作るなど、強豪のドイツ相手にあらためて存在感をアピール。試合も4-1で勝利し、「理想的なゲーム展開になったかなと思う」と手応えを口にした。

 ブンデスリーガのシュツットガルトで過去4シーズンにわたってプレーし、うち2シーズンはリーグのデュエル勝利数トップに輝いた“デュエルキング”のドイツ凱旋試合。その称号にふさわしいプレーを随所で見せていた。

「そこはかなり意識したというか、リバプールに移籍してから自分に求められている部分。ある意味、ポジションはいつもより高めだったけど、後ろで相手を見ながら(ボールが)入ってきたところを潰すことだったり、こぼれてきたところをしっかり取ることだったり、独り剥がされた時に自分がサポートできるポジショニングを意識していた。人に行くことに対しては、今日はかなり個人的にパフォーマンスが良かったと思う。そこは続けていければと思う」(遠藤)

 またMF守田英正(スポルティング)とのダブルボランチは熟練の安定感。この日はGK大迫敬介(広島)が先発に抜擢されており、試合序盤はややあたふたする場面も続いたが、DF冨安健洋(アーセナル)とDF板倉滉(ボルシアMG)とのセンターラインで全く動揺する素振りも見せず、チーム全体に安定感をもたらしていった。

 試合後、開始直後に大迫のミスで招いたピンチを救った守田は「相手のテア・シュテーゲンも素晴らしいパフォーマンスだったけど、それでもビルドアップの部分で3、4回僕たちの選手に引っ掛けてしまうパスがあった。どれだけ上手い選手でも1、2回のミスは生まれてしまう。そこでやめないこと、他の選手がカバーすることが大事」と事もなげに振り返っていたが、遠藤もその姿勢は同様だった。

「サコにも言ったけど、ミスを気にせずにというか、とにかくトライをしてという話をしていた。いまはGKのビルドアップはすごく重要になってくるし、そこを含めてどうやってチームとしてやっていくかというところ。サコがミスをすれば別にサコのせいではなく、周りのサポートがどうなのかとか、チームでどうボールを動かすかというところで、試合前からそこら辺の攻撃の確認はみんなでやれていた。かなりうまくボールを動かしながらゲームを進められていたかなと思う」

 ドイツの選手たちが味方のミスに過敏に反応し、カバーリングを怠るシーンも目についた中、対照的に映った日本代表選手たちの振る舞い。そのチームの中心には紛れもなく、新主将就任でさらなるリーダーシップを発揮する遠藤の存在がある。

 試合後にはドイツに再び勝利してもなお、高みを見据える姿勢を強調していた。

「とにかくW杯で本気で優勝したいという思いはみんな持っているというところで、一人一人の課題だったり、代表だけでなく普段から所属クラブで何をしないといけないかを分かっていると思う。目標設定値が一人ひとりすごく高いものになっていて、それが一番大事なことだと思う。その個の能力が上がれば当たり前だけどチーム力がある。そこをチームのためにやるというのは日本人の一番いいところだと思うので、個で勝れないからチームとして戦うのではなく、個で勝りながらチームで戦う。そうすれば日本代表チームはさらに強くなっていくと思う」

 最後には「これからもっとビッグクラブでやるような選手が増えていけば、より強いチームになっていくんじゃないかなと思います」ともつけ加えた遠藤。新主将に就任して3連勝。強豪国との再戦でも勝利に導いた30歳は、世界を代表するメガクラブでの戦いも通じ、3年後の北中米W杯への道のりを走り出そうとしている。

(取材・文 竹内達也)
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