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森保監督が欧州から帰国…久保、三笘、南野ら9試合視察「存在感を示している選手が非常に多い」

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日本代表森保一監督

 日本代表森保一監督が26日朝、欧州視察から帰国し、羽田空港で報道陣の取材に応じた。森保監督は9月シリーズのドイツ戦・トルコ戦を終えた後、そのまま欧州に滞在し、MF久保建英(ソシエダ)やMF三笘薫(ブライトン)ら日本人所属チームの9試合を視察。「ヨーロッパの中で日本人選手が非常に存在感を放って活躍していると全体的に感じた」と手応えを口にした。

 森保監督が視察したのはブンデスリーガ2部のニュルンベルクグロイター・フュルト、プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドブライトン、ベルギーリーグのシントトロイデンメヘレン、欧州CLのフェイエノールトセルティックソシエダインテル、ELのLASKリンツリバプール、リーグアンのモナコニース、セリエAのラツィオ対モンツァ、プレミアリーグのアーセナル対トッテナムの9試合。代表の中心メンバーが所属するチームが中心だが、第2次体制で招集外が続くMF南野拓実のモナコ、東京五輪世代のFW林大地とFW奥抜侃志が所属するニュルンベルクにも足を運んだ。

 現地視察した試合以外も映像でのスカウティングを続けているといい、「ヨーロッパで選手たちが活躍しているなというのと、チーム内での存在感が増していると感じた。国内のリーグ戦、CL、ELで得点を取って存在感を示している選手が非常に多いので、さらにこれからの期待がふくらんだ」と森保監督。一方で「同時に日本人選手が世界の舞台で活躍することは間違いなく日本サッカーの発展であり、嬉しいことだが、選手選考はあらためて難しくなった」と招集メンバーを絞り込んでいく上でのポジティブな葛藤も口にした。

 9月の欧州遠征ではドイツ・トルコという欧州の強豪相手に2連勝し、カタールW杯後の取り組みに手応えを得た森保ジャパン。国内で行われる10月シリーズでは、カタールW杯前に対戦したカナダ、チュニジアとの再戦を予定しており、11月から始まる北中米W杯アジア2次予選や来年1月に控えるアジアカップへの準備を本格的にスタートさせる。

 そこで注目されるのが選手選考だ。一つの国際Aマッチウィークで2試合続けて親善試合が行える機会は、北中米W杯アジア最終予選が終わる25年6月までなく、今回は新戦力のテストを行う貴重な機会。また日本国内での試合ということで、欧州組の長距離移動負荷もあるため、大幅なメンバー変更を行うメリットもある。

 もっとも、森保監督は「選択肢にはあるが、現実はどうなるかというところはまだ決めていない」と慎重な姿勢。「試したい、見てみたい選手は本当にたくさんいる。ただこれまでやってきたベース、これまでの積み上げをゼロにして失ってしまってはこれからの戦いが難しくなる。積み上げの部分と試す部分はこれからスタッフミーティングもあるので、方向性を決めていきたい」と述べるにとどめた。

 また今回の欧州視察についても「私のこれまでの行動を見ていただければわかっていただけると思うが、できるだけ多くの選手を見ていこうということで、国内外で視察をさせてもらっている」と位置付けを説明しつつ、「これからのチーム内での競争という部分でも、いろんな評価をして、これからの招集に向けて、より選手層を厚くするということと、より多くの選手に戦術・コンセプトの部分を知っておいてもらいたい。いろいろと考えて選手選考していきたい。全ての選手が呼べるわけではないので、そのつどのベストということで考えていきたい」とただちに招集に直結するわけではないという見通しを示した。

 新戦力の大量招集に踏み切ったとしても、既存戦力との連係構築ができなければ、今後の戦力として扱っていけるかの判断材料にはなりにくい。そのため10月シリーズもまずは、これまでのベースを維持しながら、新たなトライを行っていくことになりそうだ。森保監督は「土台がゼロになってしまうと、11月から始まるアジア予選や、W杯に向けてもチーム作りがうまく進んでいかないので、ベース・土台をしっかりするところと、試したい選手をどう招集するかを考えていきたい」と話した。

 一方、これまでの中心メンバーにもGKシュミット・ダニエル(シントトロイデン)、MF遠藤航(リバプール)、MF田中碧(デュッセルドルフ)のように移籍などの関係で所属先での出場機会が減った選手もいる。

 そうした選手の招集について森保監督は「総合的にとしか答えようがないところがある」と説明。「過去から今があって、未来につなげていく中で、われわれのチームの活動において選手たちを評価してチームづくりをしていくところと、選手たちが普段活動している所属チームの中でどういう状況にあるか、所属チームがどういう戦いをしていくかにおいても、いろんな見方をして、総合的に決めていかないといけない」としつつ、「基本的にチームでプレーしてくれている選手が望ましいとは言えると思うが、これまでも所属チームで出ていなくても代表チームで活動している中で総合的に判断して招集させてもらったこともある。何か一つの基準でというのは難しい部分がある」と述べた。

 また遠藤に関しては「航はプレミアリーグは誰もが行けるところではない。たどり着くこと自体がなかなかできない中で、そこは評価していないといけない」と世界最高峰のリーグで挑戦していることに前向きな見解を示した。

 加えて森保監督は、カタールW杯メンバーに招集されながらもアキレス腱断裂で参加を辞退したDF中山雄太(ハダースフィールド)にも言及。チャンピオンシップでの直近2節でフル出場が続いている中、「復帰戦はコーチに視察に行ってもらっているし、映像でも確認している。長期離脱した後にフル出場していて、非常にハードワークしているプレーを見て、リカバリーができているなと。長期離脱の後に90分あの舞台で試合に出ることは驚きがあった」と回復ぶりに目を見張りつつ、「選考のテーブルには上がってくる選手」と述べた。

 森保監督は2週間の欧州視察を通じて、「(欧州では)個の力をもって局面を打開できる、止めることができる選手がより組織的に戦っている。われわれも日本人の良さとして組織力を活かして戦うところを忘れてはいけないが、個の力で局面を打開すること、止めることをできるようにしないといけないと改めて感じた。より強度高く戦う中で、技術を発揮しなければいけないと感じた」と総括。10月シリーズに向けて「常に前回よりも、次の活動でレベルアップできるように成果と課題を振り返りながら、チームのレベルアップ、選手個々のレベルアップができるように準備できれば」と意気込みを述べた。

(取材・文 竹内達也)
●北中米W杯アジア2次予選特集ページ
竹内達也
Text by 竹内達也

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