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ドイツ&トルコに連勝もDF冨安健洋は視座高く「W杯まで3年あるけど全部勝てればいい」

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日本代表DF冨安健洋(アーセナル)

[9.12 キリンチャレンジ杯 日本 4-2 トルコ ゲンク]

 90分間フル出場を果たしたドイツ戦(○4-1)から中2日、日本代表DF冨安健洋(アーセナル)はトルコ戦でも後半39分から出場し、抜群の安定感で試合を締めた。

 トルコ戦前日の取材対応では「アーセナルでもチャンピオンズリーグがこれから入ってきて、中3日、中2日で試合をしていくことに慣れていかないといけない」と話していた冨安。この日はベンチスタートとなったが、前半途中からピッチ脇で入念なウォーミングアップを行い出場機会に備えると、DF町田浩樹の負傷を受けてピッチに立った。

「怪我で何人か交代するという難しくアンラッキーな日だったけど、常に準備していた。見てもらったら分かるように締める時間帯だったので、ゼロで押さえることを意識した」(冨安)。それまでは劣勢が続いていた中、MF伊東純也の単独カウンターで突き放した時間帯だったが、冨安の投入で安定感が回復。そのまま試合を締めくくり、4-2のままでの勝利に導いた。

 また試合後にはチームのムードも引き締めていた。

 トルコ戦では3-0からリードを詰められる形となり、冨安は「ゆるみは出ましたよね、間違いなく」と厳しく指摘。「そこで試合を決める、殺し切るということをアーセナルでもよく言われる。アーセナルでも早い時間に2-0にしたけど、2-1にされて後味が悪いみたいなこともある。そこで3-0、4-0で決め切るところ、ゆるみを出さないのはやっていかないといけない。もし僕がピッチにいたらより後ろから締めることを意識したい」と力を込めた。

 冨安はドイツ、トルコという欧州の強豪勢相手の連勝にも「僕らにとってはこれが当たり前になるべき」と断言。より高みを目指していく姿勢を強調する。

「今日の試合は4-2ですっきり勝ったわけではない。その感覚というのは僕だけじゃなく、他の選手たちが持っているのは間違いない。これは良い状況だと思っていて、勝てば良いというわけじゃなく、より上を目指しているからそういう空気が出る。ゼロで抑えて4-0、5-0で勝てればよかったし、今はその力があると思っている。より高いところを目指したい。勝ち癖をつけるというところでは、W杯まで3年あるけど全部勝てればいいし、それを目指さないといけない」

 そうした高い視座を掲げるのも、W杯優勝を本気で目指しているからだ。

 トルコ戦に臨むにあたり、報道陣から2002年の日韓W杯決勝トーナメント1回戦での前回対戦の記憶について聞かれていたが、当時4歳だった冨安はトルコと対戦したことも知らなかった様子。だが、その代わりに冨安は過去の歴史よりも、未来の展望よりも、今を生きる選手としての心境を熱を込めて語った。

「トルコどうこうというより、その時代の人たちはその時代でしか日本代表に参加できないわけですし、それは僕らも一緒。サッカー協会は2050年以内に優勝というのを言っているけど、僕らがその時に代表でできているわけじゃないので、僕らには僕らの時代、今しかない。そういう意味で次のW杯が本当に良い状態、良いタイミングだと思うので、それに向けてチームとしても個人としてもやっていきたいなと思っています」

 日常のリーグ戦とも地続きに代表活動を捉え、さまざまな経験を成長のきっかけにしていくつもりだ。

「選手によってチームでの立ち位置、リーグの中での立ち位置も変わってくる。主導権を握るチームなのか、それとも我慢をしながら勝ち点を拾っていくチームなのかも違う。いろんな経験をしてまた代表に来て、またW杯に向けて準備していれば良いかなと思う。僕も含めてしっかり試合に絡んでいく必要がある」

 冨安自身もこれからアーセナルに戻り、世界トップクラスの基準の中で戦う日々が始まる。来週からはUEFAチャンピオンズリーグも開幕し、アーセナルにとっては7シーズンぶり、冨安にとっては初の舞台。同時に過密日程にも入るため、これまで以上の出場機会が巡ってくることも期待される。

「次の代表まで7試合くらいあって、チャンピオンズリーグも入ってくるのでタフな日程になるけど、まずはしっかりフィットした状態でいること。そしてサッカーがまた代表とは変わるので、高い要求に応え続けることも必要になる。少しでも試合に絡んでいけるようにやっていきたい」。まずは世界最高峰の舞台で戦うクラブに集中し、その経験を代表チームにも再び還元する構えだ。

(取材・文 竹内達也)
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竹内達也
Text by 竹内達也

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