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日本代表北中米W杯アジア2次予選メンバー発表、 森保一監督会見要旨

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 日本サッカー協会(JFA)は4日、東京都内で記者会見を行い、11月の北中米ワールドカップアジア2次予選の2試合に臨む日本代表メンバー26人を発表した。森保一監督が約45分間にわたって質疑に答え、山本昌邦ナショナルチームダイレクターが一部補足した。

●山本昌邦ナショナルチームダイレクター
「この東京駅前、八重洲という歴史的な場所から世界の山頂を目指す、W杯への挑戦が始まる。歴史的な場所で会見ができることを嬉しく思う。関係者の皆さんありがとうございます。我々の長く、高い目標への挑戦、旅がサムライブルーサポーターの皆さん、日本の未来の希望となる戦いに挑んでいきたい。歴史的な挑戦をサポーターの皆さんとともに成長していければ。よろしくお願いします」

森保一監督
「11月に行われるホームでのミャンマー戦、アウェーでのシリア戦と2試合を戦うが、2026年のW杯に向けていよいよ2次予選の厳しい戦いが始まると身の引き締まる思いでいる。一戦一戦、勝利を目指して戦い、チームが少しでもレベルアップしていけるよう、チーム一丸となって戦いに挑んでいきたいと思っている。この2試合に関しても、しっかりと勝ち点6を取れるように日々の練習から、個々にできること、チームにできることを選手・スタッフ全員で実行して、最善の準備をして、そして勝利という結果を、内容も含めて少しでも次につながるものを作っていけるように、掴み取れるようにしていきたいと思っている」

─W杯予選の試合登録枠は23人だが、26人を選んだ理由は。
「まず第一の大きな理由としてはこの2戦の戦いにおいて怪我人やアクシデントなど、不測の事態が起きた時、26人の選手で乗り切っていこうということで登録人数は23人だが、プラス3人の選手を招集した。まだ決めているわけではないが、選手のコンディション等々も踏まえて、この26人で1戦目、2戦目と選手を入れ替えながら戦うことも選択肢として考えていきたいと思っている」

─前回の2次予選でもミャンマーと対戦し、海外組を呼んで戦って10-0の大勝だった。今回も完全にフルメンバーを招集しているが、あえてそうしている意図は。
「フルメンバーの捉え方は人それぞれ違うところもあるかもしれないし、毎回その時の活動のベストとして招集させてもらっている。26人以外にもフルメンバーと呼べる力を持っている選手はまだまだいる。そこはいろんな評価の仕方があるとは思っている。ただ、経験してもらうだけの場ではないということは考えている。このW杯2次予選から、最終予選、そしてW杯本大会へ目標を持って、チームが前進していく中で、チームづくりとして同じ経験を共有しながら前進していくことで、よりチームの結束力が強まる、高まると考えられる。ただし、全てだとは思っていない。状況によって、いろんな選手を試しながら、選手を入れ替えながらチーム編成をしていくことはやっていきたいし、すでにこの26人以外にもどんな状況になってもメンバーに加わってもらい、日本代表として厳しい戦いを勝ち抜いていけるだけの力を持っている選手たちと、チーム戦術の共有はこれまでもしてきている。そこは状況によって考えていきたい。一つ大きな理由としてはチームとして戦っていくことで経験を共有していき、どんな試合にも成果と課題は必ずあるので、そこを共有しながらチームの積み上げをしていくことを選択肢として考えている」

─過密日程の中で怪我をするリスクも高まるが、そのことをどう考えているか。たとえば過密日程にない選手でミャンマー戦を戦い、シリア戦で欧州組を呼ぶという選択肢はあったのか。
「一言で言うとあった。いろんな選択肢を考えた中でチーム編成を考えた。この一戦目は一つのチームで戦う、2戦目はサウジアラビアでシリア戦に向けてチーム編成をすることも考えた。国内組だけの編成、海外組だけの編成もいろんなことを考えた上で今回の編成を決断した。怪我のリスクは皆さんも心配されていると思うが、我々も心配している。誰も怪我をさせたくないし、選手には少しでも良いコンディションで戦ってもらいたいと考えている。ただ、それと同時にこれまでの日本代表を考えても、厳しい中でタフに戦い続けるから成長できているという部分もある。怪我のリスクはもちろん最大限に考慮した上で選手起用をしたい。起用して、休ませるというのは招集してからでも考えられる。考えた上で試合に向けてのメンバーを決めていきたい」

─ベストメンバーに近い招集だが、2次予選に出場した経験のある選手はそれほど多くない。予選を戦っていくことによってどのようなものが得られるか。
「どんな対戦相手と戦っても成果と課題はあることと、どんな相手でも我々の成長につながる戦いはできるということ。これから我々が目標とする戦い、場所に向けて、一戦一戦、いろんなことを試すこともやっていくし、いろんな経験をできて、そこを共有することで『あの時はこうだったよね、ああだったよね、だから今回はこうしよう』ということができる。いろんな国に行った時、いろんな対戦相手と対戦した時に、より多くの選手がそれらを共有できていることは、何が起きても乗り越えていけるという普段通りの力を出していける対応能力を持っていけることにつながるし、チームとしての結束力につながっていくかなと思っている。そこが大きな目的になる。皆さんも心配されていたように、怪我のリスクはいろんなところであると思うし、普段もサッカーをやる上では格闘技と言える球技だと思うので、いろんなところに怪我のリスクはある。できるだけ疲労による怪我がないようにと言うのと、コンディションが悪い中で無理やりプレーさせてしまうことによる怪我はないようにという点はできるだけ気をつけていきたい。皆さんが2次予選というものをどう捉えられているかわからないが、2次予選はそんなに甘くない。前回のカタールW杯予選のホームではミャンマーに10-0で大勝したと思うが、アウェーのミャンマー戦は2点しか入っていない。それも簡単にすぐに点が入って試合をコントロールできたという状態ではなく、非常にグラウンドが悪い中、勝っていかないといけない、点を取らないといけないという、実は非常に難しい戦いをし、実は僅差で勝ってきていた。以前の歴史の中で言うとザッケローニさんの時ですかね。(日本にとって最初のステージの3次予選で)2敗していることもある。前回は全勝することができたが、そんな簡単ではない。今回の2次予選のシリア、DPRコリア(北朝鮮)、ミャンマーと最終予選で戦ってもおかしくない相手がいる中、我々が油断なく、スキなく、しっかり勝っていけるようにという心構えを忘れてはいけないを忘れてはいけない」

─鎌田大地、堂安律、相馬勇紀の3選手が復帰しているが、3選手についてお聞かせください。
「コンディションが戻ってきたので、そこも現地でJFAデュッセルドルフのオフィスから選手とコミュニケーションを取ってもらい、我々は日本からも常に映像でチェックしている中、まずはプレーの状態、パフォーマンスが代表選手としてふさわしいということで、怪我の状態や再発のリスクがないかを確認して、招集させていただいている。一人一人で言うと、堂安律は親知らずの治療で前回のIW(国際Aマッチウィーク)に治療して、いろんなコンディション不良の再発リスクを抑えて来られるようになった。また本人にとっても継続して試合に出ることが可能で、所属チームにとっても何か問題があって、コンディション不良になって、大切な選手を失うと言うリスクが軽減されたと思う。本人が所属チームでしっかりとしたプレーできることで、我々にも戦力として還元される。10月は親知らずの治療で招集せず、それが癒えていることが確認できたので招集した。鎌田も膝の痛みがあって、試合直後、リーグ戦とCL連戦の後で戦ってきた中で代表に招集し、長距離移動をしてハードな試合をすることが怪我を悪化させる可能性が高いとして招集しなかった。昨日は欧州CLのフェイエノールト戦に出場していたが、プレーのチェック、コミュニケーションでのチェックもした上で招集させていただいている。相馬に関しては所属チームで3-4-3のシステムで、左サイド、右サイドと両ウイングでプレーすることをタフにできており、よりゴールに仕掛けていくところの彼の良さと、上下動して攻守に関わるという部分もまた確認させてもらい、招集した。招集するかしないかは全てに選手に言えることだが、チーム状態として皆さんに伝えたいが、試すべき選手・戦術に合わせて選手を招集させてもらうことももちろんあるし、選手もたくさんいい選手がいるので、招集可能な人数の中で招集できたり、できなかったりということが起こり得るのは理解していただければ。我々はより多くの選手をスタッフ全体でしっかりチェックした上で招集させていただいている」

─守田英正は直近の公式戦を欠場しているが、怪我の状態は問題ないか。また前回途中離脱の前川黛也を再招集した理由は。
「まず守田についてはしっかりコミュニケーションを取った上で、どういう状態で練習をしているかを確認した上で招集させていただいている。ただここから2試合あるので、何か起きた場合は対処していきたい。代表のメディカルスタッフとスポルティング・リスボンのメディカルスタッフ間では状態をやり取りをしていて、プレー可能だということで招集させていただいた。黛也は前回、怪我で途中離脱したところは残念だったが、また所属チームに帰って休まず、相当痛みがある中でだったと思うが、そこで頑張って試合に出続けて、いいパフォーマンスをしてくれているところを評価させていただいた」

─2次予選の未経験者が多い中で、特にGKには経験の少ない選手が並んでいる。ここはピッチが悪いとか影響を受けそうだが、どう捉えているか。またカタールW杯から9人が変わっているが、この1年間の積み上げという点で9人が新しく今の代表に入ってきている状況をどう捉えているか。成果があったと考えているか、それとももうちょっと変わっ手もよかったと思っているか。
「成果は皆さんに判断をお任せしたい。ただチームとしては確実に前進して来られていると思うし、確実により幅広く、より高くということについても積み上げはできてきていると思っている。先ほども言ったが、この26人以外にも招集してもなんら問題のない、力を持った選手がいる。カタールW杯までもそうだが、それから約1年が経った今の状況の中でも、戦術的にも、幅広い選手にも経験してもらいながらチームづくりは確実に前進して来られているかなと思う。人それぞれ見方や意見は違うところはあると思うし、いろんなご意見があるとは思うが、9人という数は数えていなかった中で、それが多いか少ないかはお任せしたい。ただカタールW杯では26人中19人が初出場だったこと、しかもまだまだ伸び代がある選手が多く経験してくれた中で、その選手たちを軸にチームとしては前進してきているのかなと思っている。ただこれは競争のあるプロの世界なので、これまでのチームづくりの中で、重要だと思う選手に関してもリスペクトは変わらないが、競争の中でより良い選手が出てきたと思った時は競争の部分でしっかり評価したい。そしてGKはおっしゃる通り、経験値はすごく浅い、経験が豊富だとは言えない3人だと思うが、それぞれ所属クラブでいいパフォーマンスをしているからこそ代表に選ばれているということだと思うので、普段やっていることをしっかりと出してもらえれば自然とチームの戦力になり、チームが勝つために存在感を発揮してくれるメンバーだと思っている。最初から経験豊富なベテランにはなれない。彼らの伸び代がたくさんあるので、アジアの厳しい戦いを経験しながらたくましく、大きな選手になってもらいたい」

─シリア戦のキックオフ時間が変更になった。暑さも残る試合になると思うが、どのような影響があると考えているか。
森保監督「まずは決定事項の中でベストを尽くすことを考えないといけない。現実の中で我々は勝つためにどういう最善の準備ができるかというところと、試合中に選手個々の力、チームとして繋がりを持って、その時の最大のパフォーマンスをどれだけできるかに気持ちを持っていかないといけない。持っていかなければいけないというと、意図的のような感じはするが、現実以外は何もないので、現実の中でベストを尽くすこと、現実の中で勝っていけるようにということで、これまでも考え方を共有していきた。アジアの戦いの中では不測の事態、思ってもいなかったアクシデントはたくさんあるので、ネガティブに考えるより、現実の中で自分たちが勝っていくためにやること。アクシデントなど想定外なことはあるが、自分たちが勝っていって、その経験でより大きくなれることを考えて戦っていきたい。時間が変わって、気温がとかいろんなことが出てくるが、これまでもいろんなことを想定してやってきた中、変わった中で起こり得ることへの対応はしっかりしていきたい。応援してくださる皆さんにとってはよりリアルタイムで見ていただける、(テレビ放送が未定のため)何を見ていただけるかはわからないが、チェックしていただけるようになればいいなと思う」

山本ダイレクター「チームには決まった環境で最善の努力をしてもらっている。一方でサッカー協会の幹部、スタッフみんなが力を合わせ、AFCやFIFAに強く交渉、意見を言ってもらっている。サッカー協会としての結束も間違いなくあると思う。サッカー協会全体でサムライブルーサポーターの応援も含め、これからは親善試合ではないので、1試合1試合厳しい戦いが続くが、結束して戦う準備ができているということはお伝えしたい。

─今回の招集メンバー全員が第1戦のミャンマー戦に帯同するか。
「ミャンマー戦に全員揃う予定になっている」

─現状ではシリア戦のテレビ放送が発表されていない。調整中という認識で良いのか。
山本ダイレクター「その通りです。最大限に調整をして、応援してくださる皆さんにライブでしっかりと見てもらいたい。この長くて高い、成長の選手の過程を皆さんの脳裏に焼き付けていただきたい。サッカー協会で最大の調整していただいているので、ギリギリまで続くのかなと思っている。時間とか場所、日程が変更された中、協会内部にも負担がかかっている。お越しのテレビ局の皆さんも含め、なんとかそこに辿り着ければと思っている」

─ミャンマーとシリアの印象は。ヨーロッパ勢、南米勢と戦ってきていた中、これまで以上に日本にリスペクトを持って戦ってくると思うが、アジア勢へのイメージは。
「2チームの印象だが、まずミャンマー代表からお話しすると、非常に前回のカタールW杯2次予選で戦った時よりも経験値が上がっていいチームになっている。チームの中心に世界大会を経験したことのある選手がいて、チーム力が上がってきている。ドイツ人の監督が来られて、個々の責任、ハードワーク、局面で戦うところ、より激しく厳しく組織としてやっていくチームになってきているなと思っている。シリア代表においては個々の局面で激しく戦いながら、いい守備をしっかりしながらカウンター攻撃を仕掛けてくる、非常に試合巧者なところがある。ミャンマーとも同じ印象の部分があるが、球際のところを勝って、そこから攻撃につなげていく、クーペル監督が非常に選手個々により高い要求をしながらチーム力が上がっている印象を持っている。(日本の)戦い方としては世界で勝っていくことを最終的な目標にして、より攻撃も守備もいろんなバリエーションを持って、相手を上回っていくことをやっていかないといけない。アジアだからということは私自身はあまり考えておらず、自分たちがとにかく力をつけることが大切だと思っている。ただ現実的にアジアの戦いはあって、相手がより守備を固めて戦ってくるだろうなというのは想像して準備をしないといけない。そう言った意味ではアジアだからではなく、世界には強固な守備をしながらカウンターを仕掛けてくるチームはたくさんあり、10月の親善試合でも戦ったチュニジア代表は非常に守備組織がしっかりしていた。そこから奪って速攻という部分では、アジアで戦う部分においては非常にレベルの高いチュニジアというチームと戦わせていただいたことで、そこで相手の守備網をこじ開けていくところは10月の親善試合でも経験した。イメージを持ちながら、目の前の対戦相手の特徴が変わってくる中で対応していきたいと思っている」

─中立地、サウジアラビアでの開催でならではの難しさもあるか。また中立地開催が1か月前で発表されたことによる影響は。
「中立地だから難しいということだけではなく、アウェーの地はやはり難しい戦いになるだろうなと想像しているし、これまで経験させてもらったところでもある。準備に関しては決定が伝えられるのが遅かったこともあり、非常に準備としては難しいと思うが、JFAのスタッフは本当に頑張ってくれて、我々現場の人間にとっては問題なくいい準備をさせてもらえるかなと思っている。ただ環境もだが、相手のシリアはホーム、ホームで移動なしで2試合戦える。試合としては試合時間も変わらないし、条件は変わらないと言えるかもしれないが、こちらは長距離移動があってコンディションを整えなければいけないところと、彼らは移動なしでその前の期間からチームづくりをして戦って来られるという点で、我々にとってより難しい戦いになる覚悟をしないといけない。決まったことについて、何かコメントすることはしたいと思っていないし、する気もないが、より厳しい戦いが待っていることを覚悟して、それでも我々が勝っていく。勝っていって次に前進していかないといけないと思っている」

(取材・文 竹内達也)
●北中米W杯アジア2次予選特集
ゲキサカ編集部
Text by ゲキサカ編集部

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