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技術・戦術、そして心身のタフネスが問われる90分。U-17日本代表がGL突破をかけてV候補・セネガルに挑戦

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U-17日本代表は15日、セネガル戦前日練習を行った。

 16日、U-17日本代表はU-17ワールドカップのグループステージ最終節となるU-17セネガル代表戦に向けての前日練習を実施した。

 選手21人全員が参加して行われたこのトレーニングではセットプレーを含めたセネガル対策を入念に施しつつも、最後はリラックスしたムードで切り上げ、次戦へと備えた。2試合の疲れは当然あるものの、ここまで離脱を余儀なくされるような深刻な負傷者や病人は出ておらず、しっかりと準備を整えて「負けの許されないゲームシチュエーション」(森山佳郎監督)となるアフリカ王者との試合に臨むこととなる。

 ここまでアルゼンチン、ポーランドを破って2連勝のセネガルに対し、日本はポーランドに勝つも、アルゼンチンに敗れて1勝1敗。17日の裏カードはアルゼンチンの優位が予想されることから、「負けるとかなり苦しい状況」(森山監督)なのは間違いない。逆に引き分けならば、3位の上位4チームに滑り込んでのグループステージ突破は決定的。最初から引き分け狙いのサッカーで入ることはないものの、頭のどこかに置いておく必要はある可能性だろう。

 似たようなシチュエーションだった今年のU-20ワールドカップでは、「日本のベンチに別会場の試合経過の情報が素早く伝わっていなかった」(反町康治技術委員長)という失敗もあり、この反省をしっかりフィードバックして臨む試合ともなる。

 もちろん最初から引き分けを狙うようなことはあり得ないが、セネガルは「これまでの2チームとはまるで異なるキャラクターを持ったチーム」(森山監督)である点は踏まえておく必要がある。カウンターに絶対的な自信を持つ相手に対して不用意な攻めは禁物だ。

「こちらが先に簡単な失点をするようだと、それを取り返しに前へ出た瞬間にカウンターでやられるという、手のつけられない状態になる。ポーランドは実際に10点取られてもおかしくない試合になってしまっていた。前へ前へと行きたい気持ちが出て中途半端になってしまうと相手の思うツボ」(森山監督)

 勝てば突破だと猪突猛進するのではなく、ある程度じっくり試合を運びたい考えだ。そして「アルゼンチン戦の後半のように、行くときは行く」と明確にメリハリを付けて勝負に出るイメージを持つ。森山監督は「引き分けでもいいという状況が微妙に判断を鈍らせる可能性はあるので、試合の流れを見極めながら、こっち(監督)の責任で」決断する腹づもりだ。

 すでにA代表メンバーに名を連ねる選手をズラリと揃えるアフリカ王者のセネガルは、大会の優勝候補の一角を担う強豪チーム。「日本だと時速30kmを超えるスタッツを試合中に記録する選手は『速い』と言われるけれど、セネガルはこの年齢で34km、35kmを超える選手がいる」という傑出した身体能力の持ち主も揃うだけに、攻守両面で「より緻密なポジショニングとかコンビネーションが大切になる」(森山監督)。

 一方、守備面に粗さはあり、連係が乱れる場面も少なくない。アルゼンチンのような統率されたタフガイの集団というわけではない。ゴールのチャンスは十分にあるだろう。いずれにしても、技術・戦術、そして心身のタフネスが問われる90分になるのは間違いない。日本時間17日18時から、日本の17歳たちが大きな壁に挑む。

(取材・文 川端暁彦)

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川端暁彦
Text by 川端暁彦

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