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U-22日本代表の“ジョーカー”となるか…2連続招集で定着狙う近藤友喜、“右サイド右利き左足タッチ”で実現させた独特ドリブル

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MF近藤友喜(横浜FC)

 ひとつの大きな武器を携え、代表定着を狙う。U-22日本代表に10月のアメリカ遠征から2回連続で招集されたMF近藤友喜(横浜FC)は「メキシコ戦でもアメリカ戦でもドリブルのところは通用した。得意な形でのドリブルは、世界でもやれるなという認識もある」と自信をのぞかせた。

 U-22日本代表に合流する直前にはファインゴールを決めた。11日のJ1第32節・サガン鳥栖戦で、近藤は後半27分から途中出場。すると2-1で迎えた同44分、右サイドからダメを押す。相手選手との1対1から左足のタッチで一気に加速。敵陣PA内の深い位置まで切り込むと、相手GKのニアサイドを突くシュートをそのまま流し込んだ。

 ドリブル突破という持ち味を発揮したゴールに「100点」と胸を張る。今シーズンは右サイドからチャンスを作る場面が多かったが、「数字につながっていない場面が本当に多かった」(近藤)。クロスで敵陣内の味方に合わせるイメージが強かったところ、スタッフやチームメイトから助言を受けた。それは、突破力を生かしてまずゴールを意識すること。助言を生かした得点に「(相手を)振り切るところも、前に入るところも、そのままゴールを決めたところも、自分の理想とする形だった」と“満点”をつけた。

 静止状態で相手を止めてから一気に加速するドリブルは、三笘薫も彷彿とさせる。異なる点は、右サイドで右利きの近藤は左足のタッチで加速するところ。高校時代、スピードに自信がなかったため、ドリブルを武器にするべく試行錯誤した。参考にしたのは、右サイドを主戦場とする浦和MF関根貴大。「右サイドで左足でドリブルしているのを見て、これを自分の形にできないかと」。前橋育英高、日本大とステップを踏んでいく中、自らの武器を磨き続けた。

 2021年、日本大3年生のときに横浜FCに内定した。特別指定選手としてJ1リーグで2試合を経験。翌シーズンも特別指定選手としてJ2リーグ9試合に出場した。プロとして本格スタートを切った今シーズンはJ1で28試合に出場。しかし、序盤は先発出場が多かったが、徐々に途中出場の出番が増えていく。1試合のプレー時間は約20分。当然悔しさを覚えながら、短い時間でできることも模索してきた。

「めちゃくちゃ悔しい。J1残留が懸かっている中で、スタートから出て勝ちにつなげるプレーをしたいという思いもある。でも、チームにそういう(途中出場の)役割は当然ある。それを受け入れてやる選手がいないとチームとして成り立たない。来年以降スタートで出るためにも、今年はチームのために途中出場。70分くらいで相手が疲れてきている中で自分が出てくることで、嫌がっているところは感じる。悔しいながらにそれは一回置いておいて、チームのためにできれば」

 プレーする時間が短いからこそ、集中力は研ぎ澄まされる。「得意な形に持っていけばクロスまで行ける自信はある。20分なら20分でそれを何回成功できるかというところにフォーカスしてやっている」。初招集となったU-22日本代表のアメリカ遠征は初戦・メキシコ戦で途中出場20分、第2戦・アメリカ戦も22分のプレー。短いアピール時間だったが、鋭い突破を何度か見せることに成功。大岩剛監督からひとつの信頼を勝ち取り、今回2度目の招集に至った。

 チームメイトにも自身の武器を認識してもらい始め、得意なプレーを発揮する場は整った。今後はさらなる変化も検討中だ。「この形も分析されてくると思うので、また次のフェーズ。これを対策されたときの形をもっと考えて、みんなと共有したい」と意欲も見せている。

 18日にU-22アルゼンチン代表と対戦し、21日にも完全非公開ではあるが同チームと2試合目を行う。「きょう(アルゼンチンの)映像を見たんですけど、個人の能力やはがす能力は上手い選手が多い。ただ隙もあるかなとは思う。その隙をついていければ勝機はある」。強豪を相手に自身の武器がどこまで通用するか。近藤の出場にも期待が懸かる。

(取材・文 石川祐介)
石川祐介
Text by 石川祐介

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