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夢の世界一への大きな一歩…W杯予選デビューの期待高まるGK鈴木彩艶「積み重ねてきたものを出せれば」

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GK鈴木彩艶(シントトロイデン)

 日本代表は20日、サウジアラビア・ジッダのプリンス・アブドゥラー・アルファイサル・スタジアムで、北中米ワールドカップアジア2次予選・シリア戦の前日練習を行った。入念にロングキックを確認していたGK鈴木彩艶(シントトロイデン)は練習後、「W杯につながる部分では非常に重要な一戦だと思うけど、まずは自分が積み重ねてきたものを出せればと思う。結果にこだわっていきたい」と意気込みを語った。

 鈴木は10月シリーズのチュニジア戦(○2-0)にフル出場し、昨年夏のE-1選手権・香港戦(○6-0)以来となるA代表キャップを記録。欧州組も交えたフルメンバーでは初出場を果たした。今回のW杯2次予選では初戦のミャンマー戦こそGK大迫敬介(広島)が先発し、後半途中からGK前川黛也(神戸)が出場したが、シリア戦の前日練習では鈴木が入念な居残り練習を実施。W杯予選デビューを果たす可能性が高まった。

 前日練習ではGKにとって生命線となるスタジアムの芝生の状態と向き合い、「綺麗に見えるけど、ショートパスがゆがむというかズレる。弾み方が普段と違うのでそこは注意しないといけない」と確認。また午後5時45分キックオフで残る蒸し暑さにも「バーレーンでU23アジア杯を戦っていたので、慣れはあった。暑いのかなと思っていたけど、涼しいなという印象を受けた」と頼もしく話した。

 2002年生まれの鈴木はパリ五輪世代からのステップアップ組。恵まれたフィジカルと192cmの長身、高い技術に支えられたシュートストップとパンチングは世代別代表時代から高く評価されてきた。もし敵地でのシリア戦に起用されるとなれば、単に経験を積ませるという目的ではなく、GK争いの序列が覆っていく可能性も大いに考えられる。

 そうしてA代表で存在感が高まれば、“A代表経由パリ行き”を掲げるU-22日本代表チームにとっても実りは大きい。「パリ五輪が全てではないけど、そこを目指す上ではやっぱり上のレベルで国際試合を経験できるのは非常にすごいこと。ここで得たものをパリ世代に参加した時にパフォーマンスを発揮したい」。そこに鈴木は「でもこのチームにいる以上はA代表にしっかりと集中したい」と付け加えることも忘れなかったが、パリ五輪でゴールを守るという責任感は確かに持っている。

 そんなU-22日本代表は18日、アイスタで行われた親善試合でアルゼンチン代表を撃破。「もちろんゲームは見ていた」という鈴木は日本代表のチームメートともこの一戦について話したという。「強豪国を倒していたし、ゲームに出た時にパフォーマンスを出さないといけない。まずは自分自身にフォーカスしている。パリ世代が結果を出すことはA代表にも刺激があると思う。チームの選手の皆さんともゲーム結果や内容は話していたので、いい内容で結果だったと思う」。同世代からも大きな刺激を受けながらA代表のピッチに立つつもりだ。

 もっとも鈴木にとって、パリ五輪は一つの通過点であることに変わりはない。

 かねがね「夢はW杯で優勝させること」と語っていた鈴木にとって、W杯予選はそのスタートラインに立つための大事な舞台。「前回のW杯はもちろん見ていたし、選ばれなかった悔しさももちろんある。次の大会では優勝を目指すという部分では、(チームは)この前のミャンマー戦からスタートを切った。そういったところで、(シリア戦は)優勝につながる一歩として大事なゲームだと思う」。2年半後の大舞台に向け、期待の若き守護神が大きなステップを踏み出す。

(取材・文 竹内達也)
●北中米W杯アジア2次予選特集
竹内達也
Text by 竹内達也

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