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盟友・菅原に花を持たせたトリックFK“発案者”久保建英「相手もたぶん僕が蹴るだろうなと…」

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トリックFKを話し合うMF久保建英とDF菅原由勢

[11.21 W杯2次予選第2戦 日本 5-0 シリア ジッダ]

 日本代表は3-0で迎えた後半2分、ゴール左斜め前でFKを獲得すると、MF久保建英とDF菅原由勢がキッカーの位置に立った。右利きのほうが有利なポジションではあったが、10月の活動では「僕が出ているときにFKのチャンスがあって僕が蹴らなかったことはないのでその姿勢を継続したい」と話していた久保。当然、ここでキッカーを名乗り出るものと思われた。

 ところが久保はボール方向に走り出すと、足裏でかすかにボールを動かすトリックFKを選択。これに菅原が走り込み、強烈な右足シュートでゴール右隅に突き刺した。前日の非公開練習後、報道陣に「すんごいFK決めちゃったから」と猛アピールし、「チャンスがあれば」とキッカーを志願していた菅原。その光景を再現するようなイメージどおりの一発だった。

 試合後、久保はミックスゾーンでこのFKに至った経緯を明かした。

「相手もたぶん僕が蹴るだろうなと思っていたと思うので、それがいい布石になったかなと。由勢もなんか俺が蹴りたいみたいなこと言ってきてたし、僕が直接蹴るよりも(相手が)ニアに寄ってたんで。僕のイメージでは『落として菅原選手がニアに打つかな』と思ったけど、ファーに打ったので『おおっ』と思ったら当たって(入った)。綺麗なゴールだったと思いますね」

 決めた菅原によると、このトリックFKは久保の発案だったという。「ずらして打てない?と建英に言われて、いけるねと。あとはタイミングだけ。よくアイディアを思いついたと思う」。世代別代表でも共に戦ってきた盟友に「タケも蹴りたい思いがあったと思うけど、それを尊重してくれた」と感謝を語った。

 一方、久保も“譲っただけ”で終わるつもりはない。「ああいったプレーもたまに入れていくことで、僕がFKを蹴れる布石にもまたなってくるんで」と次のチャンスに意欲。今日のところは「菅原選手も代表初ゴールですよね。すごく僕も嬉しいです。アシストで記憶にも記録にも残ると思うんで良かったです」と盟友に花を持たせていた。

(取材・文 竹内達也)
竹内達也
Text by 竹内達也

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