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W杯予選2戦5ゴールもFW上田綺世「フィニッシャーが僕だっただけ」

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日本代表FW上田綺世(フェイエノールト)

[11.21 W杯2次予選第2戦 日本 5-0 シリア ジッダ]

 北中米ワールドカップアジア2次予選で2試合連続の先発起用となった日本代表FW上田綺世(フェイエノールト)が、2試合合計5ゴールの大活躍で連勝スタートに大きく貢献した。それでもシリア戦の試合後、上田は現状の実績にも「相手が参考にならないと思う」と冷静に振り返り、「日本代表としていい崩しや形が作れて、そのフィニッシャーが僕だったというだけ」と謙虚に語った。

 初戦のミャンマー戦でハットトリックを記録し、勢いに乗った状態でシリア戦の代替地サウジアラビア・ジッダに乗り込んだ上田。DF谷口彰悟と並んで2試合連続の先発起用を受けると、前半のうちにゴールを重ねた。

 まずは前半37分、DF伊藤洋輝からのクロスボールをMF伊東純也が折り返すと、的確なポジショニングで右足ボレー。冷静にゴールネットを揺らした。さらに同40分、今度は伊東のグラウンダークロスに対してファーで合わせて2点目。シリアが守備を固めていたことでそう多くのチャンスは訪れなかったが、着実にゴールを生み出した。

 相手が守備ブロックを敷いてきた中、ほとんどスペースがなくても奪った2試合合計5ゴール。持ち味の動き出しはダイナミックな裏抜けだけでなく、相手にわずかなスキを生み出すことでも効果を発揮した。

「あまり流れ過ぎるとクロスを上げる時に枚数がいなくなる現象が起きるし、僕としても点を取れるポジショニングをすることが周りへのサポートになるし、ゴールを決めるきっかけになるとも思ったので、それが前半に何回かハマったのかなと思う」

 そうした動き出しは必ずしもパスが出てこなくても、続ける価値があるという信念に支えられている。

「僕が動いているのに対してパスが出てこないとか、パサーがいないとか、そういう捉え方もされるのかなと思うけど、今日もそうだし、勝っている状況で五分五分のボールで勝負するのかというところもあるし、必ずしも味方が見えていないわけじゃなく、戦術的に出てこなくていい動き出しもある。相手に対して繰り返すことでストレスを与えることもあるし、そういうイメージがあるし、出てくるのが全てじゃない」

 その信念はさらにハイレベルな相手と対峙する時に活きるというビジョンがある。「もっと厳しい試合になったら、ちょっとでもいい動き出しを僕がタイミング良くできれば選んでもらえると思う。それは状況によって変わるもの」。アジア相手の大量得点はあくまでも通過点。その視線の先には世界の強豪国とのしびれる戦いがある。

(取材・文 竹内達也)
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竹内達也
Text by 竹内達也

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