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21歳GK鈴木彩艶がW杯予選デビュー! 安定のハイボール処理に規格外の弾丸フィード「良いアピールになった」

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GK鈴木彩艶(シントトロイデン)がW杯予選デビュー

[11.21 W杯2次予選第2戦 日本 5-0 シリア ジッダ]

 パリ世代からA代表に上り詰めた21歳の守護神が、夢のワールドカップに向けて大きな一歩を踏み出した。日本代表GK鈴木彩艶(シントトロイデン)は21日、北中米W杯アジア2次予選シリア戦でW杯予選デビュー。安定したハイボール処理と飛距離のあるフィードで随所に存在感を見せ、正GK争いに大きく名乗りを挙げた。

 昨年夏のEAFF E-1選手権香港戦で国内組編成のA代表デビューを果たし、今年10月の親善試合チュニジア戦でフルメンバーのA代表も経験。2試合をいずれも無失点に抑えていた鈴木がこの日、A代表3試合目にしてW杯予選デビューを果たした。

 試合を通して際立っていたのは相手のセットプレーやロングボールに対するハイボールの処理。目の前に相手が立っていても力強く競り合い、正確にボールにアプローチすることで、危ないシーンをほとんど作らせなかった。

「そこは自分の強みでもあると思っているので、そういったフィジカルのところでは負けたくないと思うし、そこをゲームの中で発揮できたのは今後につながると思う。相手に高い選手がいる中でも、もちろんGKなので手を使える部分で、より自分が高いポイントでキャッチできる。弾くか、キャッチするかの判断もできた。落ち着いてプレーできたと思う」

 また0-0の時間が続いていた前半には相手の長身エースFWオマル・アル・ソーマがそらしたボールがDFライン裏に流れてきたのに対し、ペナルティエリア外へのカバーリングも披露。「スペースカバーも意識していた。ポジショニングよく、いい予測でプレーできた」という鈴木はさらに、ダイレクトで左サイドに弾丸フィードを展開するという規格外のプレー選択につなげていた。

 鈴木自身は「理想はもうちょっと前のスペースに蹴りたかった」といい、「前に出たボールこそうまくつなげられたらチャンスにつながる。いい意味で今後の課題だった」と反省していたが、そのプレービジョン自体がさすがのもの。「広く視野を持ってできていた。DF陣に本当に安心感があってやりやすかったし、落ち着いてプレーできた」と充実したW杯予選デビューになった。

 現在の日本代表のGK争いは、9月のドイツ戦に先発したGK大迫敬介(広島)も存在感を示しており、本命と言える選手はいない。それでも鈴木は10月のチュニジア戦、この日のシリア戦とベストメンバーが並ぶ試合でゴールマウスを任されており、来年1〜2月のアジア杯で主力に定着しても不思議ではない状況と言える。

 それでも鈴木は「W杯につながる一戦として自分が試合に出て結果を出せた。アジアカップに向けても良いアピールになったと思う」と一歩前進したことを認めつつも、「自分としてはまだ今日のゲームではシュートも枠内に飛んできていないし、まだまだ勝ち取ったというのは全くないと思う」と謙虚に現状を認識。「まずはこういうゲームに継続して出られるように高いパフォーマンスを維持したい」とさらなるレベルアップを誓っていた。

 なお鈴木はこの日の試合後、フル出場したにもかかわらず、選手たちが着用したユニフォームの入った袋をバスまで持って行き、スタッフを手伝う姿を見せていた。W杯予選デビューを果たしても、日頃からの気配りはそのまま。ピッチ上でも同様に「まずは自チームに戻ってパフォーマンスを発揮することが次のアジアカップにつながると思うので結果にこだわってやりたい」とこれまでの取り組みを継続していく構えだ。

(取材・文 竹内達也)
●北中米W杯アジア2次予選特集
竹内達也
Text by 竹内達也

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