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「アジア杯では覇気がないなと」合流初日で雰囲気一変、久々代表復帰の長友佑都「細胞たちがうずき始めた」

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日本代表合宿に合流したDF長友佑都

 合流初日からガラッと雰囲気は変わった。カタールW杯以来、約1年3か月ぶりの代表復帰となった日本代表DF長友佑都(FC東京)が合宿初日の練習後に報道陣の取材に対応。「朝の4時か5時に目が覚めて、細胞たちがうずき始めていたので、『いったん落ち着け』と細胞たちには言ったんだけど、それぐらい楽しくて仕方ない」。その第一声から"長友節”で報道陣を笑わせた。

 海外組の多くが帰国前ということもあり、合宿初日の練習に間に合ったのは12人。そのうち5人は室内での調整となり、グラウンドに姿を見せたのはわずか7人だった。うちフィールド選手は長友のほか、MF久保建英、MF田中碧、MF川村拓夢、DF毎熊晟矢の5人だけ。パス&コントロールや変則的な4対1のボール回しなど短い練習時間だったが、ムードメーカーとして盛り上げる長友の存在感はやはり異質だった。

「みんなそろっていないから雰囲気は感じづらいけど」。そう前置きしたうえで、史上最強の呼び声高く、戦前は優勝候補筆頭にも挙げられながらアジアカップでベスト8敗退に終わった現在の代表チームについて、外から見た印象として「元気がないなとは思った」と率直に指摘した。

「アジアカップまではみんな生き生きしていて、躍動していて、覇気があるな、強いなと思っていた。それがアジアカップでは覇気がないなと。何が影響したのかは分からないけど、一つ歯車が合えばガラッと変わると思うし、逆に一つ歯車が合わないとアジアでも勝てない」

 そうしたチーム状況だからこそ、37歳のベテランに白羽の矢が立った。「いい雰囲気、勝つ雰囲気というのは、W杯4回の経験などから自分の中で根拠はある。そういう雰囲気をつくっていきたい」と頼もしい。

「(W杯までの)長い4年間の中でいいときだけなく、難しいときも来る。日本代表で15年間プレーしてきて、いいときばかりじゃない。苦しいときに盛り上げるメンタリティーは必要だし、そこのメンタリティーはだれよりも強いとは言わないけど、コントロールできる。悪いときこそ長友が必要だと思われる存在でいたい」

 カタールW杯後に日本代表に初招集された毎熊、川村ら初めて一緒にプレーする選手もいたが、強風の吹く底冷えの環境でのトレーニングでだれよりも声を出し、年下の選手たちを盛り立てた。「若い選手、新しい選手には僕の熱に引いている感じもあって、少し距離を取られる感じもあったけど、練習して心が近づいたなと。ここからグッと入りたい」。そう熱を込めて話すと、「エネルギーがあり余っているというか、代表に来ると疲れが吹っ飛ぶ。試合2日後は疲労が来るものだけど、ここに来た瞬間、飛んでいった」と力説した。

 ここまで国際Aマッチ142試合出場は、遠藤保仁氏の152試合に次ぎ歴代2位。あと10試合で最多タイに並ぶ。「ヤットさん(遠藤)には常に『ヤットさんを超えたい』と言っていたので、そこはもちろん目指している」。さらに自身5回目のW杯出場に向け、「僕は(5回目のW杯に)行くので。そこは自分の中で決めている。もちろん決めるのは森保さんだけど、自分のイメージの中では行くと決めている。そのために努力して、逆算して取り組んでいる」と力強く言い切った。

(取材・文 西山紘平)

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西山紘平
Text by 西山紘平

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