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“有言実行”の4年3か月ぶりA代表復帰もFW小川航基「でもここがゴールじゃない」

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FW小川航基(NECナイメヘン)

 育成年代から世代屈指のポテンシャルを評価されてきたストライカーが、ようやく日本代表のステージにたどり着いた。FW小川航基(NECナイメヘン)は国内組編成だった2019年12月のEAFF E-1選手権以来4年3か月ぶりの代表復帰だが、欧州組を交えたフルメンバーのA代表招集はこれが初めて。合流初日の練習後には「だいぶ遠回りしたけど、ここからが勝負だと思う」と決意を語った。

 桐光学園高出身の小川は2020年の東京五輪(※1年延期)を目指す世代別代表でエースを担っていたストライカー。17年にはDF冨安健洋、DF板倉滉、MF堂安律、MF久保建英らとともにU-20W杯にエースとして挑むなど、世代の得点源としての活躍が期待されていた。

 ところがその大会中に左膝前十字靭帯断裂・半月板損傷という重傷を負い、約1年間にわたる戦線離脱を強いられると、復帰後も所属先の磐田でレギュラー争いに苦戦。水戸時代の19年にE-1選手権で初の代表入りを果たし、デビュー戦の香港戦でハットトリックの大活躍を見せたものの、その後は再び世代別代表にも選ばれない時期が続き、東京五輪の選考レースからも脱落していた。

 転機となったのは22年、完全移籍先の横浜FCでの活躍だった。初めてシーズンを通してエースストライカーとして起用され、41試合26得点という結果でJ2得点王を獲得すると、昨季も昇格1年目のJ1リーグ戦で15試合6ゴールを記録。その活躍が評価され、夏にNECナイメヘンへの期限付き移籍で欧州挑戦のチャンスを獲得した。

 昨年7月の移籍セレモニーでは「次に日本に帰ってくるときは必ず日の丸を背負って帰ってきます。そして次のW杯で点を取るのは僕です!」と決意を表明。あれから約10か月後、オランダで公式戦28試合12ゴールという輝かしい結果を引っさげ、一つ目の宣言を見事に実現させた。

「有言実行してここに帰ってこられたのは自信になるし、やっぱり口だけじゃないというのを少なからず見せられたと思う。でもここがゴールじゃない。ここからが大事だと思う」。2つ目の宣言がこれからの使命だ。「本当に心の底から僕の力が必要だと思って言ったこと。まずは2次予選、最終予選と続いていくけど僕のゴールでW杯出場を掴み取れたらと思う」と決意を語った。

 オランダ移籍後はチームメートとのコミュニケーションを積極的に取り、信頼構築に取り組んだという小川だが、活躍につながった要因は「チームが僕を見てくれるようになったのが大きい」と振り返る。

 そのためには「僕が点を決められる能力があるということを示すのが一番」だったという小川。「こいつ点を決められないなと思ったらクロスは上がってこないし、こいつ一人しか中にいなくても上げたらマーク外して点を決めるなって選手ならクロスは来る」。最大の持ち味であるゴールセンスで活路を切り拓いてきた自負がある。

 日本代表でもゴールに生きる姿勢は貫くつもりだ。オランダでは守備時のプレッシングのクオリティーやポストプレーの力強さでもレベルアップを感じさせているが、小川自身は「得点を取ること以外にもオランダの監督は求めてくるけど、その中でも自分のストロングは得点を取るところなんだぞというところを森保さんにもコーチにも見せたい」と断言。「僕は得点を取るのが一番大事だと思っている。もちろん監督はいろんなことを要求してくるかもしれないけど、そこだけを求めていると言っても過言ではないくらいそこに対する思いは強い」と力を込める。

 今回の活動では北朝鮮とのW杯予選2連戦が組まれており、タフな試合になることは必至。それでも小川は「負けられない戦い。W杯がかかっている中で、絶対に勝たないといけない中でのゴールを大事なところで決めるのがストライカーだと思っている。そういった意味でも自分の意義を見せたい」とゴールという結果でのアピールにこだわっていく構えだ。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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