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3発演出でブラジルを圧倒も…宮間「勝ってよかったとは言えない」

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[4.5 キリンチャレンジ杯 日本4-1ブラジル ホームズ]

 なでしこの主将はどこまでも貪欲だった。1得点1アシストを含む3ゴールを演出。ロンドン五輪で金メダルを争うライバルであり、FIFAランキング4位のブラジルを一蹴してもMF宮間あや(岡山湯郷)は淡々と語った。

「ブラジルは(エースの)マルタ選手もいなかったし、(コンディションで)彼女たちがフィットしているとも言い切れない。4得点を挙げて勝ち切れたことは前向きに捉えているけど、まだまだ質を上げていかないといけないところは多い」

 前半16分、ハーフウェーラインを少し越えた位置からのFK。ゴール前に放り込んだボールが相手のクリアミスを誘い、オウンゴールで先制した。1-1で折り返した後半13分には「合図をした」と右CKからニアサイドに走り込んだFW永里優季の頭にピンポイントで合わせ、決勝点をアシスト。「練習でセットプレーをやる機会はなかなかないので、試合の中でお互いの意図があって、得点につながったのはよかった」と胸を張った。

 後半16分には永里のシュートをGKが弾いたところに詰め、自ら追加点。「永里選手からボールを受けるか、おとりになるかだと思っていた。彼女と目も合っていたし、それで彼女はシュートを選択した。彼女の力強いシュートは日本の武器。それがこぼれてきて、押し込むだけだった」と感謝した。

 体調不良のMF澤穂希が不在のなでしこジャパンを主将として牽引している。前半は中盤の左サイドでプレーし、後半からはボランチに入った。「前半はワイドを使えていなかった。ワイドに散らせるように心がけた」とゲームメイク。ブラジル特有の身体能力や足の長さに前半はパスをカットされる場面もあったが、「ある程度、いつも通るパスが引っかかるのは想定していた。いつ慣れるかだと思っていたし、後半はスムーズにパスが回った」と試合の中で修正していった。

 3日にアメリカがブラジルに3-0で勝っていたため、日本が単独優勝するには4点以上取って3点差を付けることが絶対条件だった。「得点差を付けて勝たないといけない状況で臨む試合は難しい」と言うが、五輪のグループリーグでも同様の状況があることも想定し、チームとして「3点差以上での勝利」を課していた。

 有言実行の4-1勝利。「(五輪のグループリーグでも)2戦勝って3戦目を迎えられれば一番いいけど、もしつまずいたときのシミュレーションになった。4-0で勝てれば一番よかったけど、前半の得点が1、失点が1で折り返しても、自分たちの勢いを持って後半に入れたことがよかった」。きっちりとノルマをクリアし、アメリカ、ブラジルという世界の強豪を抑え、キリンチャレンジ杯のタイトルを獲得した。

「さらに質の高いブラジルを知っているので、勝ってよかったとは言えないが、(チームとしてブラジルとの試合を)経験している、していないでは違う」。中3日の自分たちに対し、ブラジルは中1日。ホームの利もあった。本当のブラジルはこんなものではない。ロンドンで金メダルを獲得するためにも、宮間は最後まで冷静に分析していた。

(取材・文 西山紘平)

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