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2度のリードを守れず終了間際の失点でドロー。時間の使い方を悔やむ千葉イレブン

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[9.23 J2第35節 千葉2-2東京V フクアリ]

 後半41分だった。右サイドでボールを受けたジェフユナイテッド千葉深井正樹が中に切れ込みながら相手を引きつけ、右奥の荒田智之にパス。荒田がゴール前にグラウンダーのクロスを送ったところへ、ファーサイドへ飛び込んできたのが谷澤達也だった。

 敵陣を鮮やかに切り裂いて流し込んだシュートで2-1。待望の勝ち越しゴールだ。わき上がるスタジアム。黄色一色のジェフサポーターが歓声を上げている。

「来るとしたら、あそこしかないと思っていた」。谷澤が振り返った通り、まさにしてやったりのゴールだった。

 3試合ぶりの勝利まであとわずか。だが、そこから先の試合の進め方に、ピッチ内の意識の統一性が見えなかったのが残念だった。前線の選手は相手ボールを追い、最終ラインは引き気味に守った。その結果、中盤は間延びした。

 そして、試合終了間際に悪夢が起きてしまう。ロングパス一本で裏を取られてまさかの失点。最後まであきらめないイレブンは、必死にCKチャンスを獲得したが、その攻撃が途切れたところで長い笛が鳴った。雨に濡れたピッチに膝をつく選手の姿は痛々しかった。

「最後、ボールを回せば良かったというのはあります」と肩を落とす深井。右SBで先発出場した高橋峻希は「ある意味、負けた試合より、もったいない、という思いが強い」と、こちらも唇を噛む。木山隆之監督は「決して悲観するような試合ではないし、(試合の終わらせ方にも)悔いはない。(2位以内で)自動昇格もまだいけると思っている」と言うが、言葉の響きはさほど強くない。

 両チームのシュート数は合計33本。打ち合いとなったオープンな試合で、球際で双方が見せた意地や気迫は素晴らしかったが、千葉にとっては悔しさの募る結果だ。これで3試合勝利なし。上位チームが敗れたため、順位は上がるが、この後は、もう隙を見せる余地がない。

 救われるのは選手たちが「内容は悪くない。勝ち点1を前向きにとらえたい」(谷澤)「連敗していたので勝ち点1で次につながる」(坂本将貴)「残り試合は全部勝つという気持ち」(深井)と目の輝きを保っていること。昇格争い3年目のシーズンは、残り7試合。正念場だ。

(取材・文 矢内由美子)

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