beacon

京都の19歳FW久保が8か月ぶりゴール、「いいスタートを切れた」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[3.3 J2第1節 G大阪3-3京都 万博]

 復活の狼煙をあげる一発だった。京都サンガF.C.は2-2で迎えた後半ロスタイム、FW中村祐哉のスルーパスにFW久保裕也が反応。オフサイドラインぎりぎりをかいくぐり、GKとの1対1から落ち着いて右足で流し込んだ。

「いい形でスルーパスが来て、ちょっとオフサイドかなと思ったけど、決められてよかった」。試合終了間際の勝ち越しゴールで3-2。これが決勝点かと思われたが、その直後にPKで追いつかれ、試合は3-3の痛み分けに終わった。

 チームが追いつかれたことへの悔しさは当然あるが、久保自身にとって開幕戦で奪ったゴールの意味は大きい。まだユース所属の高校3年生だった11年シーズン。J2で30試合に出場し、2ケタの10ゴールを挙げると、天皇杯でも準決勝、決勝と途中出場で2試合連続ゴールを記録した。その将来性を期待され、12年2月のアイスランド戦ではA代表にも初選出された。

 ところが、正式にトップチームに昇格した12年シーズンは20試合に出場し、わずか1得点と苦しんだ。エースとして期待された昨秋のAFC U-19選手権でも不発。U-19日本代表は3大会連続でU-20W杯出場を逃し、「僕の力不足。自分が何もできなかった」と、悔しさしか残らなかった。

 後半35分からの出場となったこの日、「点を取ることだけを考えて積極的に行った」と、期する思いがあった。新しいシーズンをいい形でスタートさせたい。その決意が、昨年6月24日の水戸戦(1-3)以来、約8か月ぶりとなるゴールを生み、「ずっと点を取れてなかったので……」と安堵の表情につながった。

「今シーズンはいい形で入れたし、これを続けていきたい。いいスタートを切れてよかったけど、まだまだ先は長い。これを維持したいし、次の試合に勝つことだけを考えて、1試合1試合戦っていきたい」。京都はもちろん、日本サッカー界にとってもさらなる成長が期待される19歳のストライカー。開幕戦ゴールで、復活への確かな一歩を踏み出した。

(取材・文 西山紘平)

TOP