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無失点勝利の陰の立役者はゴールラインで大仕事をした浦和DF岩波。お手本は神戸のあの選手

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殊勲のディフェンスを見せたDF岩波拓也

[8.19 ACL決勝T1回戦 浦和5-0ジョホール 埼玉]

 間一髪のシーンだった。浦和レッズDF岩波拓也がチームを無失点勝利に導く殊勲ディフェンスを見せたのは3-0とリードしていた後半16分。“マレーシアの雄”であるジョホールにやや押し込まれそうになっていた時間帯だった。

 浦和がビルドアップの途中でボールを奪われ、GK西川周作が飛び出したところで、ジョホール選手がヘディングシュート。ここでゴールライン上に立ちはだかったのが岩波だった。相手FWのヘディングは枠を捉え、威力もあったが、冷静に左足でクリアした。

「ああいう時に1つでも失点すると流れも変わったりするのがこのアジアの戦い。1失点も許さないのがチームの中での自分の仕事だと思いますし、常にミスを想定しながらプレーするのが自分の仕事だと思っています」

 胸を張るように振り返ったのは、“たまたま”ではないからだ。ゴールライン上で相手シュートをブロックしたり、掻き出したりといったプレーを、岩波は毎年数回ずつ見せている。もちろん、相手が目の前にいる場合などはラインを上げてオフサイドを取るという判断もあり、ポジショニングはまさに臨機応変だ。

 お手本は2017年まで在籍した神戸時代の先輩DF北本久仁衛(現神戸コーチ)。「北本さんは、シュートブロックやキーパーが出ていった後のカバーはピカイチでした。自分は神戸でプレーしてる時から近くで見てきて、そういう選手から盗みながら自分のモノにしてきて、今に生きていると思います」

 ゴール裏を埋め尽くし、90分間休みなく“声出し応援”をしてくれたサポーターの力も後押しになった。

「まさかこのACLの決勝トーナメントが日本で、しかも埼玉でできるというのは予想もしていなかった。僕たちにとっては心強いし、アドバテージだと思っている。相手も感じたと思う」

 2018年から浦和でプレーしている岩波は、2019年にACLで決勝まで進んだ経験があるが、2017年の優勝は知らない。「今年は僕にとって2回目のACL。1回目は決勝まで行って悔しい思いしたので、まずはそこまで進めるように、あと2試合、しっかり準備したい」と力強く言った。

(取材・文 矢内由美子)
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