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“10人逆転劇”もたらすJ初ゴール! ルーキー山田新にあった確信「フロンターレは数的不利でも得点を奪えるチーム」

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FW山田新が同点ゴール

[2.25 J1第2節 鹿島 1-2 川崎F カシマ]

 数的不利に追い込まれていた川崎フロンターレを勢い付けたのは、桐蔭横浜大から今季加入し、開幕節でJ1リーグデビューを飾ったばかりのFW山田新だった。後半44分、山田はセットプレーの流れでプロ初ゴールとなる同点弾を沈めると、猛攻を続けたチームはアディショナルタイムに勝ち越し弾。ルーキーの一撃が結果的に大逆転劇の口火を切る形となった。

 この日の川崎Fは、前半早々の失点で0-1のビハインドを強いられる苦しい展開。後半34分には3枚替えで交代枠を使い切り、勝負に出たものの、直後にDF山村和也が一発退場処分を下され、前節の横浜FM戦(●1-2)に続いて数的不利に追い込まれた。ところが、3枚替えの一角で投入されていた山田は前向きな展望を描いていたという。

「逆転しようと思った時に退場してしまって数的不利になったけど、アカデミー時代から見ていて、フロンターレは数的不利になっても得点を奪えるチームだと思っていたので、焦らずにいれば絶対にチャンスはあると思っていた」

 中学から高校年代にかけて川崎Fのアカデミーで過ごし、逆境を跳ねのけるトップチームの姿に憧れを抱いてきた22歳は、その確信どおりのシーンを自ら作り出した。布石となったのは得点シーン直前のプレー。DF佐々木旭からのロングフィードにいち早く反応し、後ろ向きにトラップすると、相手のクリアを誘ってCKのチャンスに持ち込んだ。

 そして運命のCK、MF瀬古樹からのボールがニアサイドに立っていた鹿島の選手のクリアミスを誘い、DF大南拓磨がつなぐと、これにFW家長昭博がバイシクル気味のキックで反応。アクロバティックなプレー選択に鹿島守備陣はいったん足を止めたが、これにも山田はしっかりと反応していた。

「アキさんがああいうことをするのはみんな知っていて、驚くようなことではなかった」。ゴールマウスから逸れていくボールに対し、懸命に足を伸ばして反応すると、後方からMF佐野海舟に引っ張られながらもフィニッシュ。力強い体幹に支えられたバランス能力を活かし、ゴールを陥れた。

 また得点シーン直前のCKにも手応えはあったようだ。「開幕戦では自分の特徴を出すようなプレーがなかなかなかったので、CKを獲得したシーンのように背後に抜け出すところを開幕戦よりも意識していて、それが結果に繋がったかなと思う」。さらに「メンタル的な部分でも開幕戦は高まりすぎていた部分もあったので、今までの自分を信じて、いつも通り試合に入るようにというのは心がけてやったことがうまくいった」と言葉を続け、デビュー戦からのメンタルコントロールにも手応えをのぞかせた。

 開幕前に掲げた今季の目標は10得点。ルーキーとしては大きな数字ではあるが、ここでの初ゴールは順調な滑り出しだ。「今シーズンはJリーグ奪還もそうだし、自分は10ゴールという目標を立てているので、そこに向けて2試合目で少ない時間の中で最初の得点を取れたということは大きいかなと思う」。そう前向きに語りつつ、「想定内というかこれくらいじゃなきゃいけない」とも言い切った。

 その覚悟は自身のゴールの受け止め方にも表れていた。「自分としてはもう1点取って、自分のゴールを決勝ゴールにしたい気持ちがあったので、そこはまだもっと求められる部分でもある」。今度は自らがチームに勝利をもたらすべく、まずはスタメン奪取に向けてトレーニングからアピールしていく構えだ。

(取材・文 竹内達也)
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