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”消えたフリ”から精密アシスト…パリ世代の町田FW平河悠が黒田流トリックCK演出「練習より綺麗に決まった」

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FC町田ゼルビアMF平河悠

[4.16 J2第10節 町田 3-1 大分 Gスタ]

 J2首位攻防戦の運命を大きく分けたFC町田ゼルビアの先制点は、黒田剛監督考案の鮮やかなトリックプレーから生まれた。大きな役割を果たしたのはMF平河悠。「セットプレーでずっと点が取りたかったし、毎試合デザインを変えながらやっていた中でなかなか取れていなかった。守備はじれずにやっていてチャンスが来ると思っていたので取れて良かった」と振り返った。

 前半23分、右CKをMF高江麗央がセットすると、ゴール前に立っていた平河がマークを引き付けながらキッカーの近くに走り寄り、そのままボールを受けずに流れた。これは“消えたフリ”によるフェイント。後ろから走り寄ったDF翁長聖がショートCKを受け、平河がすぐさま方向転換してゴールライン際に向かうと、マークを振り切りながらボールを受け、折り返しのパスをゴール前へ。これがFW荒木駿太のダイレクトシュートをお膳立てした。

 試合後、報道陣の取材に応じた平河は「セットプレー練習でやっていた通りに綺麗に噛み合って、練習より綺麗に決まったくらいだった」と、してやったり。見事な“受けるふり”からのアシストには「ヒジくんが流して、ちょっと弱かったのでファーストタッチでしっかりもう一つ運んだ時に間が見えた。駿太くんがあそこに入るのは練習どおりだったので流し込むだけだった」と謙虚に語った。

 黒田剛監督は記者会見で「1点を入れることによって、堅守という意味でわれわれが志向しているサッカーを前面的に出せる」と手応えを語った一方、大分トリニータの下平隆宏監督は「セットプレーはかなり警戒していて、警戒していた中でやられてしまったので精神的にもきつかった」と話すなど、ターニングポイントとなった先制点。立役者となった平河は「セットプレーで点数を取ってから相手も崩れた。先制点を取れたことが勝利につながった」と胸を張った。

 そんな平河は山梨学院大から正式に加入した今季、開幕節から10試合連続で先発出場。負荷の大きいサイドハーフのポジションでほとんどの試合で80分間以上走り抜き、首位に立つチームの揺るぎない主力に君臨している。「10試合で全部スタメンで起用していただいて、かなり出場時間も出させてもらっているので、自分に求められている役割は最低限は果たせていると思う」と手応えを語る。

 その上で「もう少し数字を出せれば理想」とさらに高い基準も見据えるが、「そこを求めすぎて他のところがおろそかになるのは違う。まずはチームに求められていることをやりつつ、自分の数字であったり、攻撃のドリブルやスピードなどの色を出していければ個人としてもレベルがもっと上がる」と冷静にステップを踏んでいく構えだ。

 2001年1月3日生まれのため、年齢制限ギリギリでパリ五輪の日本代表入りの資格もある。「入れるに越したことはないし、誰もが目指しているところ。自分にやれることをやってそれにつながれば」。この日はパリ五輪につながるU-22日本代表の大岩剛監督も現地で視察。指揮官の御前で大きなアピールを果たした。

(取材・文 竹内達也)
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