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磐田で発表になった異例のGK同時帰還…常葉大GK中島佳太郎「これも運命」「光希がいたから」

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大学経由で磐田に帰還することになったGK中島佳太郎(左)とGK杉本光希

 GKという一人しか試合に出られないポジションということを考えれば、異例とも言えるリリースだ。4月14日に立正大GK杉本光希の来季入団内定を発表したジュビロ磐田は28日、同い年の常葉大GK中島佳太郎の入団内定を発表した。

 何よりまずは夢を叶えた。中島は静岡県磐田市出身の生粋の磐田っ子。小学生の時に磐田の下部組織に入り、そこから高校卒業まで、ずっとサックスブルーの一員として過ごした。「正直、一番最初に声をかけてくれたところに行こうと決めていたけど、それがたまたまジュビロだった。でもやっぱり、ジュビロに戻れるのはすごく光栄なことだと思っています」。

 そして「運命」として受け止めている。U-18に上がるとき、新潟県の中学校から同じゴールキーパーが加入することになった。杉本光希とのライバル物語はそこから始まることになる。「でも高校の時は3年生の夏くらいまで試合に出られなかった。2年生のときは(近藤)壱成くん(法大→千葉)と光希がポジションを争っていたし、自分の代になったら光希がずっと出ていたので」。ただ控えに回ろうとも、常に「悔しさや負けたくない情熱」を持ち続けたという。

 大学進学後も順風満帆ではなかった。大学も「一番最初に声をかけてくれた」という常葉大への進学を決めたが、肩を脱臼した影響で、2年生の夏過ぎまでリハビリに時間を費やした。コンスタントに試合に出始めたのは、3年生になってから。しかし2大会ぶりに出場した大学選手権(インカレ)では、法政大を完封するなど、ベスト8進出に貢献。今春のデンソーカップチャンレンジ(デンチャレ)では準優勝を経験すると、日韓定期戦を戦った全日本大学選抜にも選出された。

 磐田から声がかかったのは、そんな自分でもプロへの道筋が見え始めた時期だった。「声をかけてもらったのは、デンチャレのあと、全日本選抜のキャンプ前です。そこから帰ってきて、ちょっとしてからオファーを貰いました」。もちろん杉本も一緒に帰ることが分かったうえでの判断になったが、「これも運命かな」「そういう星の下に生まれている」と理解して、オファーを快諾した。

 さらに先日まで行われたU-22日本代表候補合宿には、GKでは大学生で唯一選出。杉本も21年に呼ばれたことがあるが、今回は中島にチャンスが回ってきた。「GKは僕以外みんなプロだったけど、試合に出ている僕の方が気づきが多い部分もあった」と手ごたえを得ることが出来た。

「でも大学生のレベルでしかやれていないことの差はあるし、上には(小久保玲央)ブライアン選手や(鈴木)彩艶選手がいる。そこを超えないと代表に行けない。だからここで得たものを大学に帰ってやり続けることが、次も代表に選ばれるきっかけになると思います」

 運命に導かれるようにして再び一緒のチームでプレーすることになった2人だが、GKは同じチームで一緒に試合に出ることはない。そのため、中島が育成型期限付き移籍をする話も出ているという。「僕も自分を見たときに、試合に出て経験を積んだ方が成長の伸びしろが多いと思う」。杉本との勝負は、長期的な視点で考えていくつもりだ。

「光希と高校の時に出会えたことで、いろいろな挫折を経験した。光希がいたからここまで成長できたと思っています。これからも与えられた環境でやり続けるだけ。自分にベクトルを向けてやり続けることが、自分が一番上に掲げていることに到達すると思うので、目標に向かってやっていきたいと思います」

(取材・文 児玉幸洋)
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