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U-20W杯組が帰国後2日で戦列復帰…横浜FM山根陸「サッカー人生は続くので1試合も無駄にできない」敗退後“決起会”での時差ボケ対策も奏功

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MF山根陸(横浜FM)

 U-20ワールドカップが行われたアルゼンチンから帰国してわずか2日後、横浜F・マリノスMF山根陸がJリーグの舞台に帰ってきた。この日はベンチ入りのみで出場機会はなかったが、試合前から試合中にかけて負荷を上げたアップメニューもこなしており、大会が終わったその時からピッチに立つための準備を行ってきたことがうかがえた。

 U-20日本代表は5月11日に日本を出発し、U-20W杯のためアルゼンチンでの活動をスタート。大会初戦でセネガルに1-0で勝利したものの、コロンビア、イスラエルに立て続けの逆転負けでまさかの連敗を喫し、C組3位で無念のグループリーグ敗退に終わった。3試合ともに出場した山根は自身のプレーには随所に手応えを感じていたという一方で「チームを勝たせられるかどうかが大事。そこの部分が足りなかった」と自身の課題を突きつけた。

 それでも敗退が決まった後には、すぐにJリーグに向けた準備をスタートさせていた。

 日本は5月27日のイスラエル戦に敗れた時点では敗退が確定しておらず、他グループの順位決定を待つため、翌28日にも滞在先のメンドーサでリカバリートレーニングを実施。同日夜にグループリーグ全日程が終わって敗退が決まり、ようやく帰国の途に着くことになったが、航空便の関係で帰国日が1日後ろ倒しになるなど、大会後は難しいコンディション調整を迫られていた。

 そうした中でも「グラウンドがなくてなかなか動けない状況だったし、コンディションを整えるのが難しかったけど、気持ちの部分だけは切らさず、次に帰ってプレーしろとなっても自分のベストを尽くせる準備だけはしておこうと思っていた」という山根。「負けて悔しかったけど、サッカー人生は続くので1試合も無駄にできない。この試合も大事な試合だと思っていたので、すぐに切り替えられた部分もあった」。敗戦から前を向き、このFC東京戦に照準を合わせていたようだ。

 基本中の基本となる身体のケアは「移動のところで言えば、体重は減らしたくないし、むくまないようなソックスを着けたり、なるべく機内食や水分を多く摂るようにして、できることはやりました」と入念に実施。また時間を遡る東から西への移動に比べ、時間が進む西から東への移動が厳しいとされる時差ボケ対策にもしっかりと取り組んでいた。

「時差のところでは、向こうで(航空便の都合で)2日間くらい何もしないことがあったので、なんとか頑張って起きておいて、夜中にみんなと寝ないようにゲームしたり、おしゃべりしたりしていました」

 選手たちの“決起会”では「もっとああしておけばよかったねというW杯の話をしたり、今後のそれぞれのサッカー人生をどうするかという話をした」と同じ世代、同じレベルの志を持った仲間との貴重な時間を過ごした様子。チームは結局、今月1日午前にようやく帰国に至ったが、「帰ってきて時差ボケもなかったのでうまくいったと思う」と試合に間に合わせた。

 そうして成し遂げた復帰初戦でのベンチ入り。そのこと自体も立派だが、この日はさらに上を行く存在からの刺激も受けた。

 対戦相手のFC東京ではU-20W杯でフル稼働していたMF松木玖生がハーフタイムから途中出場。大会中も「玖生は(Jリーグで)試合に出続けているので、試合を一緒にやっていく中で、いろんな状況が起こりうる中で彼の存在感はさすがだなと思ったし、ああいう選手が試合に出続けるのかなと思う。もっともっと頑張ろうと刺激をもらった」という山根だったが、ピッチで奮闘する姿に感銘を受けていた。

「試合前に会ったけど彼も身体はキツそうだった。その中でもハーフタイムに出ることになって、監督に信頼されているんだなというのがあった。彼のそういうタフさ。自分は出られていないけど、彼はああやって出られてしっかりパフォーマンスしていた」(山根)

 そんな松木も後半22分に不運な肘打ちで一発退場処分を下され、不完全燃焼でピッチ外へ。「退場にはなったけど気にすることはないし、尊敬の気持ちしかなかった」という山根はウォーミングアップエリアから歩み寄り、盟友の奮闘をねぎらう姿も見せていた。

 次はそれぞれの立場、それぞれの場所でパリ五輪、A代表を目指す。山根にとってはまず、Jリーグ屈指のレギュラー争いに挑む日々となる。「毎試合いいパフォーマンスをすることが大事なので、1試合1試合いい準備をするだけかなと思う」(山根)。思い望んだ結果に大きく届かなかった世界舞台を経て、U-20世代の日常が再び始まった。

(取材・文 竹内達也)
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