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湘南ラストマッチのFW町野修斗、託されたPKに感謝も「悪い流れを断ち切ってドイツに行きたかった」

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湘南ベルマーレでのラストマッチを終えたFW町野修斗

[7.2 J1第19節 横浜FM 4-1 湘南 日産ス]

 ホルシュタイン・キール(ドイツ2部)への完全移籍が決まり、この日がJリーグでのラストマッチとなった湘南ベルマーレFW町野修斗だったが、チームを最下位の苦境から救うことはできなかった。試合後には「最後になんとかこの悪い流れを断ち切ってドイツに行きたかったけど、実力不足もあって悪い流れのままチームを離れることになって申し訳ない」と悔しさをあらわにした。

 首位を走る横浜F・マリノスに対し、開始10分間で2失点を喫する最悪のスタートを切ったこの日の湘南。町野は前半13分に相手GKの裏をかく左足ロングシュート、同26分には巧みな持ち出しから右足で狙ったが、いずれも枠を捉えられず、同アディショナルタイム2分の決定機も相手にブロックされるなど、チャンスはありながらもゴールを奪えない時間が続いた。

「すぐ2点取られたので取り返すしかない状況で、大橋(祐紀)選手と起点になりながら、なんとか取り返そうという中で、もうちょっと質が伴っていたらよかった。実力不足だった」。0-2で折り返したチームは反撃姿勢を見せていたものの、後半6分には試合を決定づける3失点目。ここまで12試合勝ちなし、3連敗中のチーム状態を象徴するような試合運びとなった。

 それでも後半28分、湘南はMF小野瀬康介のドリブル突破からPKを獲得すると、キッカーを託された町野が一矢報いるゴールを決めた。町野によると、PKキッカーは「康介くんに蹴っていいよって言ったけど、蹴らせてくれた」という経緯で決まっていた。

 チームメートに支えられて奪った惜別のゴール。「結果が結果なので嬉しいとかはない。マリノス相手に最後決めることができたけど、結果が1-4なので残念」と敗戦に悔しさを隠せなかった町野だったが、「康介くんも僕が最後というのもあったと思う。本当に感謝しています」と謝意を口にした。

 町野は3日にホームのレモンガススタジアム平塚でサポーターとの交流を行った後、ドイツに旅立つ。最下位での離脱には「申し訳ない」と口にし、悔いがないわけではない。それでもチームメートが「やってくれると信じている」と町野。「僕もチームが変わって厳しい環境に行くので切り替えてやっていかないといけない」とプロとしての決意を示した。

 昨季はキャリアハイの13得点でカタールW杯での逆転メンバー入りを勝ち取り、今季もここまで9得点と個人の結果を出してきた。また結果には見えない部分でも、攻撃の起点となるポストプレー、味方を助ける背後への動き出し、サイドに流れてのクロスと一人で担うには幅広すぎるようなタスクを任されてきた。

 それでも町野は言う。「僕の理想はなんでもできる選手。今季は得点を重ねているけど、チームとして勝利に貢献できたかというと(最下位という)結果が物語っている。実力はまだまだだと思っている」。これからもチームの結果と厳しい姿勢で向き合い、鍛錬を続けていくつもりだ。

 当面の目標は6月シリーズで落選した日本代表への復帰。そして3年後に控える北中米ワールドカップ出場だ。試合後、サポーターから「誰もが日本のエースになれ」との横断幕で見送られた町野は「海外の屈強なディフェンダーに対しても通用するようなレベルに行きたいし、目標はまた日本代表に戻って、代表のストライカーになること。それに必要な部分が何かを常に考えながら成長したい」と飛躍を誓った。

(取材・文 竹内達也)
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