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劇的弾導く絶妙スルーパス…最前線で輝いた川崎F瀬川祐輔「絶対に逆を取れると思った」

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FW瀬川祐輔

[7.15 J1第21節 横浜FM 0-1 川崎F 日産ス]

 0-0で迎えた後半終了間際、川崎フロンターレの劇的決勝ゴールを導いたのはFW瀬川祐輔のキラーパスだった。

 後半アディショナルタイム4分、ゴール前のやや引いた位置でMF遠野大弥からのパスを受けた瀬川は、冷静なトラップからペナルティエリア右を走ったDF大南拓磨にスルーパスを供給。「最初はシュートを打とうと思ってトラップしたけど、ちょっと無理だと思って、ワイドに広げようと思ったら、拓磨が走り出していたので気づいたら出していた」。これが完璧に大南の足元に通り、鋭いクロスからDF車屋紳太郎の決勝ゴールが決まった。

 右サイドに走っていた大南を「目が合ったのが全てかなと思う」と見逃さなかったことに加え、相手のギャップを突くパスの精度も光ったワンプレー。「絶対みんなの逆を取れると思った。普通に出したら(相手に)当たると思って、2人くらいの内側を通したと思うけど、もっと内側に通せばいけるかなと」。決まった直後にはアシストした大南のもとに向かった瀬川は「よく追いついたなと思って」と2020〜21年には柏レイソルでも共にプレーした後輩をねぎらった。

 また後半26分には、鋭いプレスバックからのスルーパスで遠野の裏抜けをお膳立てし、ペナルティキックにつながる決定機も演出していた。最後はFW家長昭博のキックがGK一森純に止められて先制点にこそつながらなかったが、瀬川のこだわりが詰まったプレーだった。

「僕の中であそこはスライディングしないというか、倒れないことは毎試合キーポイントにしている。相手の選手がスライディングしたところで、僕は立ってプレーすることを大事にしている。そこで前に大弥が走っていたのでいいボールを出せたと思う」。球際を制した駆け引きへの手応えを口にした。

 ストライカーに負傷者が多発していることを受け、現在は本職ではない3トップの中央でのプレーが続く。苦しむチームの中で求められる役割は大きいが、この日は自身の強みを活かして勝利に貢献した。

 しかし、この日はそれでも一つ心残りがあったという。悔やんだのは1-0とした直後、相手セットプレーを起点としたカウンター。GKの一森が飛び出していた背後のゴールにロングシュートを狙ったが、わずかに枠を外れ、追加点のチャンスを逃していた。

「できれば最後に点を取りたかった。あれをしっかり決めないといけない。役割は果たせたと思うけど、あそこで2-0にできるかできないか。結果だけ見た人からしたら2-0というゲームはもっと圧倒したと思えると思うし、1-0か2-0かは違うと思う」。自身に厳しい要求を突きつけつつ、「課題として向き合いたい」と力を込めた。

(取材・文 竹内達也)
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