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PK失敗から数日…鹿島MF樋口雄太は2Aで逆転牽引、岩政監督と語り合った“有意義な時間”「大樹さんのためにやってやろうと」

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MF樋口雄太 ※写真は過去のもの

[7.16 J1第21節 FC東京 1-3 鹿島 味スタ]

 鹿島アントラーズは12日の天皇杯3回戦でPK戦の末に敗退した。MF樋口雄太は2人目のキッカーで失敗し、さらに再び回ってきた13人目でも失敗。だが、自ら敗因を作ってしまったその4日後、樋口は2アシストで逆転勝利に貢献した。試合後、奮闘した理由に岩政大樹監督との語り合った時間があったという。

 リーグ戦3試合未勝利で、天皇杯も敗退した鹿島は、低迷から再起すべくFC東京戦に臨んだ。だが、前半9分に先制を許してしまう。それでも今節はあきらめない。同23分に樋口の左CKからFW鈴木優磨のヘディングシュートで1-1と同点に追いつくと、前半終了間際には樋口が逆転へと導く。本人曰くシュートだったというPA右からのボレーキックがファーサイドに飛ぶと、FW垣田裕暉がヘディングシュートでゴールに流し込む。樋口の2アシストで試合をひっくり返した。

 後半9分にMFディエゴ・ピトゥカがダメを押し、鹿島が3-1で4試合ぶりの勝利。樋口は2点目に手応えを感じており、「流れの中から決められた。これから鹿島が上に行くために、すごく重要な1点だったと個人的に思う」と強調した。

 昨年8月から指揮官に就任した岩政監督体制で、逆転勝利は初めてのことだった。そんな指揮官のために、樋口が奮闘したのには理由がある。「大樹さんのためにやってやろうという気持ちにさせてもらった」。天皇杯で敗れた後、グラウンドにいた樋口に岩政監督は声をかけた。それはプレー面のことだけではなく、1人の人間として色々なことを語り合ったという。

 試合後の会見で、指揮官は語る。「たまたま一昨日、練習後にグラウンドに座っていたので話をした。PKを外したことがあるかないか、自分もゼロックスで外した経験があると」。それは意図したものではないが、PKを外した樋口の心を少しでも癒すきっかけになった。

 樋口はその時間を振り返る。「チームのことだったり、大樹さんが抱えている問題だったり、僕が思ったこととか。すごく意見交換できて、大樹さんの考えもわかりました。僕の気持ちも伝えられたので、すごく有意義な時間だった。1人の人間として思っていることを意見交換した感じ。大樹さんも1人で悩むと思うんですけど、そこも少し聞けて、僕としては大樹さんのためにやってやろうという気持ちにさせてもらった。それが今日の結果につながった」。指揮官の思いを汲んで、選手が奮闘してみせた。

 天皇杯でのPK負けというショックから中3日で、リーグ戦は4試合ぶり、そして逆転での勝利。チームにたしかな勢いをもたらした。樋口は敵地まで赴いたサポーターに感謝を告げつつ、「こういうアウェーで、難しい試合で一緒に勝っていけるように、しっかり準備したい」とさらなる奮起を誓った。

(取材・文 石川祐介)
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